とある東の国の中にある幻想郷。
その幻想郷の中にあるとある小さな神社、
博麗神社。
そこは今、僕と博麗の巫女の二人だけで住んでいる。
正確には後一匹、庭の池に亀が住んでいるが、それは気にすることではないと思う。
この話は僕と言う人間が巫女や魔法使いという奴らと日々を楽しく過ごしていくお話である。
…………いけたらいいな。
話を始める前に少しだけ僕の事を少しだけ紹介しておこう。
僕の名前は沙耶。幻想郷の外からやって来てので幻想郷の住人で言うところの外来人だ。
苗字は無い……というより覚えていない。
僕が覚えている中で最も古い記憶は水の中で溺れていることだった。
何故、僕が溺れていたのかは残念ながら記憶には残っていない。
というより、それ以前の記憶が無いのだ。
所謂、記憶喪失というものだ。
しかし、全てを忘れたわけではない。
物の名前も分かるし、その使い方も分かる。
忘れたのは自分の事に関係するエピソードだけだ。
どこで生まれたとか、どこに住んでいたとか、よくある記憶喪失だ。
では何故名前だけ分かるのかと言うと、僕の唯一の持ち物であったぬいぐるみに書かれていたからである……らしい。
実際に僕がそれを確認したわけではなく、僕を助けてくれた先代の博麗の巫女が見たそうだ。
僕もその文字を見たかったが、先代が僕が着ていた服と一緒にぬいぐるみを洗ったときに汚れと共に文字も消えてしまって見ることは叶わなかった。
その他もろもろや紆余曲折などがあったが、記憶が無いのに外の世界に帰しても意味が無いという先代の発言で僕が博麗神社に住み込むことが決まったのである。
博麗神社に住み込んで既に数年がたち幻想郷の暮らしにも神社の仕事にも慣れてきた今日この頃。
僕は箒を片手に掃除と実益を兼ねて境内の落ち葉を集めていた。
本来なら今日は彼女の当番であるが、今現在彼女はうさばらし……もとい巫女の仕事として妖怪退治というより今回は魔退治に向かっていったので僕が掃除をしているのである。
いつもなら僕も一緒に退治しに行くが今回はちょっとした事情でおとなしくお留守番をすることにしたのだ。
特に面白いこともなくお昼の時間まで掃除をやっていた僕は一息いれることにした。
いつもならこの時間帯になると元気な奴が遊びに来て飯や酒をたかりに来るのだが、ここ最近はなぜかおとなしい。
来ないなら来ないで構わないのだが少し心配だ。今度様子でも見に行こうかな?
「あら? もう掃除は終わったのかしら?」
背後から声を掛けられた俺は腰を上げ、声を掛けた相手のほうへ向き直る。
「まあな。それにしても随分と早かったな靈夢」
「沙耶が手伝ったらもっと早かったけれど」
「攻撃が聞かなきゃ手伝うこと自体が無理だろうが」
「弾除けには丁度いいわよ」
容赦が無いよこの子
僕の目の前にいて会話を勤しんでいる女の子……博麗靈夢は今代の博麗の巫女である。
外見は紫色の髪の毛を腰のほうまで伸ばしており、それを紐で縛ってまとめていて頭に赤いリボンを乗せており、
服装に関しては職業の通り紅白の巫女服を着ている。これ以上に無いくらい巫女らしい巫女服を着ている。
まあ今靈夢が着ているのは博麗の巫女の正装ではないけれど僕としてはこっちのほうが好みである。
決して巫女好きと言うわけではない。というかまだ年齢が二桁も無いのに変なフェチを持っているほうがおかしい。
まあ年齢関してはおよそであり、フェチなんて言葉を知っている時点で前の僕は一体どんな性格で過ごしていたのか…………
正直言って思い出したくない。ぶっちゃけ怖い。知らない過去の自分が怖い。
「まあいいわ。それよりお腹が空いたからお昼にしない?」
「それに関しては同感だな。今日は朝から何も食べてないし」
僕は靈夢の提案に素直に賛同した。
「じゃあ決まりね。早く行きましょう」
靈夢は早く連れて行けとばかりに僕の背中に飛び乗り、僕は慌てて両手を後ろに回して靈夢を支え、落とさないようにする。
そして、そのまま靈夢を背負ったまま僕らは里に向かって飛び、少しの空中散歩を楽しむことにした。
ボロボロに壊れた博麗神社を後にして…………
今日も野宿だなこれは。
幻想郷に来て無駄にサバイバル技術が向上していくことにこっそりと涙を流す僕だった。
あとがき
頭の中にあるいくつかの東方のssのアイデアの中で形にしてみたのがこの作品です。
時系列は靈異伝の少し後ですね。
あとがきに関しましては今後は書きたいときに書くという感じでいきたいと思います。