政府は専業主婦の年金について新たな救済策の方針を示した。1月に始まった救済策はあまりに不公平だった。見直しは当然だが、主婦間の不公平が是正される一方で、ほかの加入者との不公平が表面化する恐れもある。拙速は禁物だ。
会社員の夫を持つ専業主婦は、夫が自営業になった場合などは国民年金に加入する必要がある。ところが切り替えを忘れ、無年金や低年金になる主婦が最大100万人いることがわかった。厚生労働省は2年だけ保険料を払えば減額せずに年金を払うとしたが、まじめに納付してきた人との公平が保てないなどの批判が高まり手続きを凍結した。
8日に細川律夫厚生労働相が表明した救済案は、3年間の時限措置として(1)本来は2年しかさかのぼれない保険料の未納期間を過去にさかのぼって全額追納できるようにする。分割も認める(2)保険料を払えない場合でも、未納期間を保険に加入していたとみなし保険金を減額して支給する――というものだ。
今回の問題は、届け出を忘れた主婦本人の自己責任が大きいが、旧社会保険庁の周知が不十分だったこともある。一定期間を設け、保険料の追納を認めるのはやむを得ない。その場合は規定通りに金利分を上乗せして徴収すべきだ。
ただし、事実上未加入だった期間を加入期間に算入するのは問題がある。現在の制度では25年の加入期間を満たさなければ年金が支給されない。自分で保険料を払ってきた人にも期間が足りず無年金の人がいる。主婦を特別扱いしては不公平が広がり収拾がつかなくなる恐れもある。抜本的な制度改革を考えるべきで、安易な救済は制度への信頼も損ないかねない。
そもそも、今回の救済でどのくらいの財源が必要になるのか。厚労省は国民に示すべきだ。すでに年金を受給している人にも減額や返還を求めるというが本当に可能なのか。
政府は、まじめに保険料を払ってきた全加入者にしわ寄せが及ぶことにもっと責任を感じるべきだ。多額の出費を伴う救済策を単なる「課長通知」で済まそうとした長妻昭前厚労相の責任は重い。官僚に責任を押しつけて事足りる問題ではない。
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