アタック25・第3部


  9、収録前に
 分厚い扉の先には、いつもブラウン管の向こうに広がる光景があった。右から四人が座る解答者席、児玉さんが陣取る司会者席、そして沢木さんが佇む出題者席がコの字型に並んでいた。解答者席の後ろにはやはり見慣れた応援席があるものの、一人の応援者も見当たらない。おそらくは解答者を緊張させないための配慮で、この辺にも四半世紀続く番組の深慮が垣間見えた。全員着席後、お客入れ。
 その後はフレームに収まるように席位置、立ち位置などのカメラテスト(この時不正解時の「お立ち」の映像も収録)、音声の合わせ、クイズの進行に関しての過去問を使ったけい古、パネルの取り方を実際にパネルを使っての確認などの最終打ち合わせが間断なく進む。この辺の進行も手馴れたもので、改めて「プロは凄い」と感心しきり。この時初めて解答者席の真ん中、白の席の端に不正解ブザーがあるのを知る。
 打ち合わせ終了後、児玉さん、沢木さんと全員で記念撮影。(この写真は後日郵送される)
 トイレ休憩を挟んで、いよいよ収録開始。さぁ、戦いの始まりだ。

  10、ついに始まった、が
 まずは人物当てクイズ。最初のヒントは「昭和12年神奈川県生まれ」。この時点で僕の頭は石原慎太郎に固まってしまい(実際には昭和7年兵庫県生まれ)、富永さん「加山雄三」で易々と正解されてしまう。
 その後都合3問連続で富永さんに正解され、3〜13のタテラインの形成を許す。今から考えれば別にこんなモノはどうでもいいのだが、スタジオにいると一瞬「ヤバイ」と思ってしまう。その焦りは人間をとんでもない方向に導いてしまうもので、続く「足利義満」を正解したがパネルを取ろうとコールしたのはなぜか4番。これこそヤバイのだがテンションが上がっていると途方も無いことを考えるもので、「この後4問連続正解すりゃいいんだ」と、超のつくポジティブシンキング、を通り越して只のアホの思考に陥ってしまう。
 案の定次も富永さんに正解され、初っ端からカドを配給してしまった。

  11、いきなり勝負どころ
 次の四字熟語クイズは加畑さんがお立ちになり、続いては5ヒントクイズだが、ここで僕はなぜか「答えるところでは無い」と早合点してしまい、バー(アタックの早押し端末は通常のボタン型ではなく、棒状)から手を離してしまう。まぁここで答えても確かにメリットは少ないが、損でもないので押しに行っても構わなかったのだが。この問題「緑」富永さんが正解し、早くも上に準ラインが完成。ゲ、この流れはヤバイぞ。
 その後師井さんの連答、加畑さん再びのお立ちの次の問題「アメリカの五大湖で全域が/」が解答権を取る。これは第13回ウルトラクイズの決勝で長戸氏が最高のポイントで正解した問題で、当然そのことを思い出しながら押したのだが、なぜか口を突いて出てきたのは「エリー湖」。当然正解は「ミシガン湖」で、ここで思ってもみなかったお立ちになってしまった。
 その後富永さんが3連答でパネルを青一色に染める。次の問題「打率、打点、本塁打の内長島茂雄が王貞治を上回っているもの」(打率)が正解した…は良かったものの、本来ここは答えちゃいけない場面で、苦し紛れの22番がまた窮地へと自ら追い込んでしまう。正にミスがミスを呼ぶ、最悪の流れだ。

  12、すでに勝負有り!?
 続く「恵那山トンネル」(実は一度「えなやまトンネル」と解答し、正確な「えなさんトンネル」に出題から収録し直した。だから放送されたのは「やらせ」である(笑))も連答しただが10番で斜めにラインを築かざるをえず。
 で、結局富永さんに連答されて21番を配給する結果に終わる。も連答で20、19番に入ったもののむしろ病状は進行しており、その後スルー、加畑さん、の連続お立ちの後富永さん「藤田まこと」正解され21番を取られて右にもラインが完成し、この時点でほぼ勝負有り。
 気がつくと、アタックチャンスは目の前だった。

  13、小休止
 この後お地蔵様だった二人が正解して窓に入り、パネルは残り5枚。ということで児玉さんの「アタックチャンス!」の掛け声と共に、ここで収録はいったん中断。
 休憩中恒例の「パネルおじさん」(的なスタッフ。確かプロデューサーさん)が現れて、解答者にこれから勝つためのパネルの取り方をを指南してくれる。
 それが終わると児玉さんが控え室から、これも恒例の飴を持ってきて、解答者や応援席に配って下さる。全員飴を舐めて緊張をほぐし、さあ収録再開…とADが掛け声を出すと児玉さんが「僕まだ飴舐めてる」とひとボケ。これでまた緊張がほぐれる。
 児玉さんが飴を食べ終わり、今度こそ本当に収録再開。

  14、終盤戦というか消化試合というか
 児玉さんの2度目の「アタックチャンス!!」の掛け声と共に試合再開。が、勢いというものはいかんともしがたく、このアタックチャンスも富永さんに取られてしまう。ここで虎の子の残り1枚も消された上にチャンス後の問題も取られて、この時点で準パーフェクト。
 次の問題で17番に入って何とか邪魔はしたもののすでに勝負は決しており、この後富永さんは余裕のお立ち。その敗戦処理でが3連答して空き地の4枚を掠め取って、結局は19対5対1対0という大差で敗れてしまった。
 あ〜あ、負けちゃったよ。

  15、戦い終わっても日は暮れず
 と、ここでまた収録が中断して表彰式の練習。再開後のパネルクイズは「プサン港に帰れ」が写ってサービス問題で、富永さんは苦も無く「プサン」を正解して見事に旅行獲得。
 全てが終わって控え室に戻り、賞金や交通費の精算を済ませた後に賞品を渡される。さすがに空気清浄機は大きすぎるので後で送られたが。富永さんは優勝賞品のカーペットも送ってもらうことに。
 以上で「アタック25」は全て終了。解散後新大阪まで歩き、新幹線で来た道を帰る。


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