北朝鮮、ネットで韓国定着希望者4人の家族の映像公開

 北朝鮮の対南(韓国)宣伝ウェブサイト「わが民族同士」は、先月韓国側に漂流してきた北朝鮮住民31人のうち、韓国定着の意思を示した4人の送還を求める家族の動画を9日に公開した。家族らは動画で「4人の韓国定着は全て韓国の工作によるもの」と演説調で主張し、韓国政府を非難した。韓国への定着を希望した女性パクさん(22)の母だというキム・オクチンさんは「逆賊たちは、娘を返してほしいと求める親の切実な思いを踏みにじっている」と語った。また、定着を希望する男性ホンさん(44)の妻と名乗るキム・ヒョンスクさんは「夫は自分を育ててくれた母親や祖国を裏切るような人間ではない」と主張した。船長オクさん(38)の妻や、最年少のポンさん(21)の保護者も、動画で同じようなことを訴えた。

 これに対し、韓国政府の安全保障関連部処(省庁)の関係者は「動画に登場する家族の表情を見ると、“あなたたちが戻らなければ自分たちが死ぬ”と定着希望者に訴え、精神的な圧力を加えようとしている」と指摘した。定着希望者に圧力を加えるために家族を連れ出すような精神的拷問は、世界的に見ても異例のこと。

 北朝鮮はこの日夜、韓国に漂流した31人の家族全員の共同名義により、赤十字を通じて韓国統一部(省に相当)長官と大韓赤十字社総裁あに手紙を送り、31人全員の送還を求めた。手紙には「定着希望者4人とその家族の体面を妨害するな」と記載されている。

 これに対し、韓国政府当局者は「定着希望者らは全員が個人的理由を抱えていると聞いている。脱北者の数が2万人を超える時代に、政府が韓国定着をめぐり工作を行うべき理由などない」と述べた。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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