政治【主張】メア氏発言 政治利用せず移設実現を2011.3.10 03:00

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【主張】
メア氏発言 政治利用せず移設実現を

2011.3.10 03:00

 米国務省のメア日本部長が米大学生らに「沖縄の人はゆすりの名人」などと発言したとされる問題は県民感情を傷つけ、沖縄県議会が謝罪要求決議を可決するなど反発が広がっている。

 枝野幸男官房長官が「事実なら極めて不適切で容認し難い」と抗議し、ルース駐日米大使やキャンベル国務次官補が「伝えられた発言は米政府の政策や見解を反映しておらず、遺憾だ」と陳謝したのは全くの当然である。

 同時に心配なことは、この問題で普天間飛行場移設問題がさらにこじれることだ。政治の道具にも使われかねない。民主党政権下で移設問題が迷走した経過を考えれば、菅直人政権の責任は重い。住民が懸念する基地の危険性除去のためにも、普天間移設の速やかな実現に全力を投じるべきだ。

 メア氏は2年前まで沖縄総領事を務め、普天間問題にも通暁している。発言録は「正確でも完全でもない」としているが、移設問題が過去1年半、迷走を重ねたことに強い焦燥感もうかがえる。

 そもそも移設問題の原点は15年前、住宅密集地の普天間飛行場をヘリ墜落などの危険性の少ない名護市辺野古地区へ移し、海兵隊の抑止機能も維持するという日米合意にある。移設推進に向けて、多大な経済支援も行われてきた。

 日本の平和と安全に直結する在日米軍の「抑止力を維持し、県民の基地負担も軽減する」という原点に戻れば、普天間移設、海兵隊のグアム移転、嘉手納以南の基地返還の3つを同時に満たす現行合意が「最良の計画」(米政府)であることは明白といえる。

 にもかかわらず昨年末、当時の前原誠司外相が普天間周辺の危険除去対策を進言した際、一部反米団体などは「危険を除くと基地が固定化される」などと反発した。今回の問題もそうした政治行動に利用されないように、とりわけ菅政権は移設の利点について住民への説得を強める必要がある。

 この問題以前に、鳩山由紀夫前首相の「方便」発言などで県民感情は深く傷つけられている。

 発言は極めて遺憾だが、菅首相に求められるのは、今回の問題で生じた不信や混乱を乗り越えて日米が連携を深め、「だからこそ移設は必要だ」という新たな推進姿勢で臨むことだ。それなしには、日米同盟の深化も望みようがないことを認識してほしい。

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