「今のところは絵に描いた餅」J1第1節 ヴィッセル神戸-浦和レッズ(1-0)
石もて追われた形になったフィンケ監督の後、ペトロビッチ体制に一新しての開幕戦ということで注目された試合。
レッズは、新潟から移籍したマルシオ・リシャルデスとエジミウソンの2トップに、原口と田中達がSHに入るという、形式上は4-4-2ではあるが見方によっては4-2-4とも見える攻撃的なフォーメーションで挑んできた。対する神戸はオーソドックスな4-4-2。
ところが、やっぱり蓋を開けてみればレッズのサッカーがまるで機能しない。狙いとしては、田中達と原口に素早いサイドチェンジでボールを渡し、そこからドリブルを中心とした個人技で崩すというのは分かるのだが、そこに2トップがどう絡むかがはっきりしていないし、DFやボランチがボールを持っても前線の4人がただ立って待っているだけなので、良い形でサイドを崩す場面がほとんど作れない。
逆に、サイドが高い位置まで上がっている分、神戸がボールを奪った後に中盤から後ろがどう連動してボールを奪うかが整理されていないので結局はギリギリでボールにアタックするしか無くなり、序盤からイエローカードをもらう事になったのが最後に響いてしまった。
神戸の方はしっかり守ってハーフカウンターという形は出来上がっているのだが、慢性的な展開力不足は今年も変わらないようで、せっかくの良いチャンスもパスミスで潰してしまったり、サイドや中盤の自陣側でのつなぎでミスをして決定的なピンチを招くなど、こちらもあまりパッとしない出来。
後半になると浦和が修正してきて、前半は全く攻撃の出番が無かったSBがオーバーラップしたり、柏木が前線に顔を出すなど流動性を見せるようになって浦和に流れが傾きかけた62分、ボールを奪われた鈴木が相手を引き倒してしまって2枚目のイエローで退場してしまう。1枚目のイエローは気の毒だったとは言え、あまりにこれは軽率なプレイだった。
10人になった浦和は自陣で守りを固める作戦に変更したが、これでもともと遅攻では崩せない神戸の攻撃が余計にどん詰まりになり、まるで得点の匂いがしない試合になったなと思ったら、76分にポポのFKがズドン。これも強烈な一撃だったとは言え、浦和が作った壁と数m離れたコースに飛んでいったので作り方のミスでは無かっただろうか。
その後は浦和も反撃に出るがチグハグな攻撃に終始し、神戸もカウンターから惜しい場面は作るが最後の詰めは甘いままで試合終了。神戸がホームでの開幕戦を白星で飾った。
とにかく浦和はまだまだ時間がかかりそうだな、というのが率直な感想。フィンケ時代も内容重視と言いながらやっぱり結果の悪さに皆が耐えきれなくなったという、人気チームゆえのジレンマを背負っているクラブなので、どこまで辛抱できるのかに焦点が当たることは間違いない。これから柏木が大きく化けないとこのサッカーは厳しいかもしれないね。
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「リベリを完封した内田」ドイツカップ2011準決勝 バイエルン・ミュンヘン-シャルケ04(0-1)
普段ほとんど見ないスカパーのGAORAで、何故かドイツカップの放送をやっていたので先週シャルケがバイエルンを破った試合を見てみた。
バイエルンのホームスタジアム、アリアンツ・アレーナで迎えた一戦で、シャルケはボランチにアナン・マティプ・クルーゲを並べたトリプルボランチを敷き、前線はラウルの1トップにフラド、ファルファンという形にして来た。
その狙うところは明確で、リベリとロッベンという世界最強クラスのウイングを備えたバイエルンに対し、SBと左右のボランチでコンパクトにサンドイッチし、攻撃は前の3人でカウンターを狙うというものだった。
リーグではチグハグなシャルケは、何故かカップ戦になるとやる事なす事うまく行ってしまい、この試合でもマガトの狙い通りに展開し、バイエルンがサイドにボールを運ぶと3ボランチがすぐさまスライドしてサイドにカバーへ入り、SBは縦を注意深く切ることに専念することが出来、前半はほぼ完璧にバイエルンの攻撃を封じ込めることに成功していた。
そして前半15分に、セットプレイが2度続いた後に、最後はヘヴェデスが頭でコースを変えたCKに、まるでボールがそこに来ることを完全に予期していたかのようなラウルの素晴らしい飛び込みでシャルケがまんまと先制点をモノにする。
前半は相手の勢いをうまくいなしてハーフタイムに持ち込んだシャルケだったが、後半になるとバイエルンがサイドの圧迫を強化してきて、サイドの守備からのボールを何とか前に運ぼうとするシャルケに対し、どんどんとボールに対してプレスを仕掛け、奪ったボールに対してSBが攻撃参加することで、シャルケに対して数的優位とポジショニングの混乱を引き起こさせ、何度もサイドからセンターへのボールからシュートを放つ。
が、この試合で「No Neuer!」の紙をバイエルンサポーターから掲げられてしまっていたノイアーがこの試合でも獅子奮迅の活躍を見せ、至近距離から放たれた超決定機もがっちりとセーブし、シャルケの危険な時間帯を1人の働きで乗り越えてみせた。
後半も30分を過ぎるとバイエルンにも攻め疲れが見え始め、シャルケもバイエルンの攻撃に慣れてきたのかその後はそれほど危ない場面を作られること無く、逆にカウンターからファルファンが一撃を放ったが、疲れもあるのか踏ん張りきれずにボールは枠を外れて0-2には出来なかったが、シャルケはドイツカップのホームで20年間負けていなかったバイエルンを破る金星を挙げた。
これでドイツカップの決勝は2部のデュイスブルクが相手となり、まずシャルケの優勝は堅いだろう。と思っていると足元を掬われたりするんだけどね。
内田は一度リベリにやられかけた場面はあったが、総じて守備面で素晴らしい働きを見せ、サイドを抑えるだけでなくPAの中のスライディングで決定機を防ぐ場面もあり、いつの間にここまで守備が向上したのかと目を剥く思いがした。まあ、そのおかげで次のシュツットガルト戦は出来が悪かったんだけど、これだけ働いたらしょうがないよね。
シャルケの次はいよいよCLバレンシア戦だけど、第1レグをアウェイゴールの1-1で折り返しているので、ホームでの試合は同じ3ボランチにして来る可能性は十分にあると言える。さて、リーグでは崖っぷちのマガトが汚名返上する采配が出来るのか注目だ。
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「逆に岡崎は持ってないね(笑)」ドイツ・ブンデスリーガ第25節 シュツットガルト-シャルケ04(1-0)
長友のセリエA初ゴールに今日の話題は全部持ってかれてしまうだろうけど(笑)、一応本筋の試合選評を。
岡崎と内田がともにスタメンで、ポジション的にもマッチアップする位置ということで注目された試合は、岡崎のシュツットガルトに軍配が上がった。
前半は完全にホームのシュツットガルトペースで、ドイツカップでのバイエルンとの激闘を制したシャルケは明らかに全員の動きが悪く、右サイドには内田とコンビが良くなってきたファルファンが入ったが、そのファルファンもボールを引き出す動きがほとんど無くて前を向いてボールを持つ機会がないために、内田も上がるタイミングがつかめずビルドアップに専念するばかりになっていた。
フンテラール師匠がケガのために、FWの先発はラウルとガヴラノヴィッチだったのだが、ガヴラノヴィッチにそれほど高さが無い上に中盤からパスが出てこないので存在感が出せず、そうなるとラウルもどんどん中盤へと下がってしまい悪循環。
しかしシュツットガルトも、プレスの出足でシャルケを上回ってどんどんと前線へとボールを繋ぎはするのだが、まだ岡崎と他の選手の息が合わずミスパスになってしまう場面も多く、なかなか得点までには至らなったが、15分にヘヴェデスがPA内でシュツットガルトの選手に倒されたところにミドルシュートが飛んできて、それが倒れていたヘヴェデスの手に当たって一発レッド&PKという、シャルケにとっては何とも不運な判定で試合が動く。
10人になった事とリードをした事で、これでかえってシュツットガルトの動きが悪くなり、特に後半に入ってからはどちらが10人なのか分からないぐらいにシャルケが押し込みまくったのだが、サンドバックになりながらも最後まで何とか持ちこたえ、降格ゾーン突入からギリギリ踏みとどまった。
精彩を欠いた内田は、おそらくミッドウィークに待ち受けるCLへの温存で、フラドどともに前半でお役御免。岡崎はフル出場で、後半にはセットプレイから2度もシュートを放つが、相手に当たってまたもゴールならず。長友よりはるかに多い時間出場してチャンスもあったのに決められないとは「持ってない」なと(笑)。
まあ、特に守備面で中盤まで戻って積極的に参加する岡崎の姿勢が今のシュツットガルトを支えているのは疑い無く、点を決められないからと言ってチームやサポーターの信頼が無くなるとは全く思わないが、攻撃面でのコンビネーションは早く改善してほしいなと思った。
それはぶっちゃけて言うと、岡崎の動き出しが早過ぎる点に尽きる(笑)。遠藤ならともかく、このチームでのパス出しは、岡崎をまずルックアップしてからツータッチ程度で動き出しのスペースに合わせて出てくる感じで、岡崎は相手から味方にボールが移った瞬間にもう動き出しているので、かえってパスが出せなくなってしまっているんだよね。
そりゃ岡崎のタイミングでパスが出ればチャンスになるのは確かだけど、そのタイミングでパスが来るようなチームだったらこの順位にはいないわけで、まずは辛抱して味方のレベルに合わせて良いリズムを作る方に努力をしたほうがいいんじゃないかと思う。
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