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きょうのことば
日本経済新聞朝刊の「きょうのことば」を1カ月分掲載しています。
この中から主要なものをピックアップし、「やさしい経済用語の解説」に掲載しています。

2011年3月8日(火)
高度人材
2011年3月7日(月)
医薬品のネット販売規制
2011年3月6日(日)
新興国の鉄道整備
2011年3月5日(土)
電子ペーパー
2011年3月4日(金)
クラウドコンピューティング
2011年3月3日(木)
鉱山権益
2011年3月2日(水)
ワクチン
2011年3月1日(火)
電池の再利用
2011年2月28日(月)
バイオ医薬品
2011年2月27日(日)
普通社債
2011年2月26日(土)
自己資本比率規制
2011年2月25日(金)
レアアース
2011年2月24日(木)
新薬の研究開発
2011年2月23日(水)
国有財産の活用
2011年2月22日(火)
ドバイ原油
2011年2月21日(月)
携帯電話の基本ソフト
2011年2月20日(日)
世界経済の不均衡
2011年2月19日(土)
合併審査
2011年2月18日(金)
2国間クレジット制度
2011年2月17日(木)
チェンマイ・イニシアチブ
2011年2月16日(水)
新興国向け小型車
2011年2月15日(火)
G20財務相・中央銀行総裁会議
2011年2月13日(日)
FTA
2011年2月12日(土)
技術輸出
2011年2月11日(金)
民主党倫理規則
2011年2月10日(木)
ロシアの自動車市場
2011年2月9日(水)
総合特区
2011年2月8日(火)
農業生産法人
2011年2月7日(月)
先端素材
2011年2月6日(日)
日中韓首脳会談
2011年2月5日(土)
経常利益
2011年2月4日(金)
粗鋼
高度人材 [ 2011年3月8日(火) 日本経済新聞 朝刊 ]

 専門的な知識や技術を持つ外国人労働者の総称として政府が使用している用語。検討中のポイント制の原案では「医療」「技術」「人文知識・国際業務」など8種類の在留資格を想定している。自公政権下の2000年代前半から受け入れ策に力点が置かれ始め、09年5月の政府の報告書にポイント制が盛りこまれた。
 高度人材獲得に向けた各国の競争は激しくなっているが、日本への高度人材の新規入国者数は伸びていない。英国やカナダではすでにポイント制を導入済みで、韓国では重点産業に就く外国人を在留期間延長で優遇する「ゴールドカード制度」を導入。ドイツでも一定所得以上の人材の定住許可要件を緩和している。

医薬品のネット販売規制 [ 2011年3月7日(月) 日本経済新聞 朝刊 ]

 2009年6月の改正薬事法施行に伴い、それまで事実上認められていたインターネットなどによる大衆薬の通信販売が副作用リスクの低い医薬品(第3類医薬品)を除いて禁止された。主な風邪薬や漢方薬など副作用リスクが中程度とされる「第2類」については離島や継続利用者に限って2年間だけ通販を認める暫定措置が設けられた。
 規制強化にネット業界などから批判がわき起こり、ケンコーコムなどは「規制は憲法違反」と国を相手取って提訴。昨年3月の東京地裁判決で敗訴したが、現在は東京高裁で控訴審が続いている。

新興国の鉄道整備 [ 2011年3月6日(日) 日本経済新聞 朝刊 ]

 経済発展による工業化や人口の増加に伴い、新興国で鉄道インフラの整備が急速に進む見通し。特にインドや東南アジア地域とブラジルでは短い区間を走る鉄道や地下鉄、モノレールなど都市鉄道を中心に入札が計画されている。
 事業規模が膨らむ高速鉄道と異なり、都市鉄道は計画の大幅延期や応札企業が過度な投資を負担するといったリスクが小さく案件も豊富。ただ、都市鉄道でも加ボンバルディアなど世界大手がすでに各国で高いシェアを持つ。価格競争力を高めるため、生産の現地化は入札に勝つための重要な戦略になりつつある。

電子ペーパー [ 2011年3月5日(土) 日本経済新聞 朝刊 ]

 紙のように薄く、柔らかい表示装置。プラスチックフィルム上に色を表示する電子インクと、それを動かす薄膜トランジスタ(TFT)を重ねて印刷して作る。表示機能などに必要な半導体部品はシリコンウエハーの表面を微細加工して回路を描くのが一般的だが、印刷だと真空装置が不要になり初期投資も半減する。
 現在の表示装置はガラス基板上に作るため折り曲げられない。シート状の大規模集積回路(LSI)を量産できれば折り畳める電子書籍が実現。本の特性を残したまま電子書籍が楽しめる。市場規模は2015年に2700億円に達するとの予測もある。

クラウドコンピューティング [ 2011年3月4日(金) 日本経済新聞 朝刊 ]

 ネットワーク上に置いたデータやソフトウエアを通信回線を通じて利用する、コンピューターの利用法。従来はハードディスクなどコンピューターに内蔵した記録媒体にデータを保存していたが、クラウドでは、サービスを提供している業者のサーバー上に保存される。
 利用者はどこにいても自分のデータにアクセスできる利点がある。企業も自前のシステムを構築せずに済むため、コスト削減の手段としても注目されている。日本でも急速に普及しており、2015年度に国内の市場規模が1兆8千億円に達すると予測されている。

鉱山権益 [ 2011年3月3日(木) 日本経済新聞 朝刊 ]

 鉱山の開発・操業事業に出資し、産出した資源を出資比率に応じて引き取ったり、開発・操業事業の収益から配当を得たりできる権利。資源需給が逼迫しても一定量を確保できるほか、価格が高騰した分だけ配当の受取額も増える。半面、資源価格が低迷すれば損失を抱えるリスクもある。
 足元の原料価格の高騰に伴い、国内資源に乏しい日本の素材企業や商社は権益取得に動いている。権益価格の高騰に対応し、ブラジルの鉄鉱石権益を日韓の鉄鋼会社など7社が共同で購入するといった複数企業が連携する事例も増えている。

ワクチン [ 2011年3月2日(水) 日本経済新聞 朝刊 ]

 病原体の毒を弱めたり、殺菌したりして作る医薬品。体内に注入し、免疫に記憶させることで病原菌への抵抗力をつける。アレルギー反応が起こることもあるが、接種により病気の発生率を下げる利点の方が大きいとされる。2007年の日本のワクチン市場は約800億円程度で米国の10分の1。
 1990年代初頭に副作用が社会問題となり、定期接種義務が撤廃され努力義務になったことで接種率が低下し、製薬大手が事業を縮小。日本は先進技術の導入や量産技術の確立で後れを取っている。

電池の再利用 [ 2011年3月1日(火) 日本経済新聞 朝刊 ]

 リチウムイオン電池など充電すれば繰り返し使える2次電池はコバルトやリチウムなどの希少金属を多く使用している。希少金属の有効利用のために、使用済み電池を集めて再利用する仕組みづくりが始まっている。携帯電話や電動工具などに使われる小型の2次電池では、店頭などで使用済みの電池を集める方式が普及。有用な金属を取り出し、リサイクルされている。
 電気自動車(EV)の普及拡大で車載用の2次電池の市場は今後、急激に拡大する見通し。大型の電池を素材に戻すには、大量のエネルギーが必要。このため、規格の厳しいEV用電源としてでなく、住宅や店舗などで使う定置用電池として2次利用するシステムが有力といわれる。

バイオ医薬品 [ 2011年2月28日(月) 日本経済新聞 朝刊 ]

 ヒトが体内に持つ成分を応用した医薬品の総称。遺伝子組み換え技術や細胞の培養など、最新のバイオ技術を使ってつくる。異物を排除するヒトの免疫機能を応用した抗体医薬品が代表的で、がんや関節リウマチの治療薬が実用化されている。抗体医薬品は標的の異物にだけ作用して正常な細胞を傷つけないため、副作用が少ないのが特徴だ。
 化学合成で作り出す従来型の低分子医薬品は技術の成熟化が進み、画期的な薬を生み出しにくい状況になって久しい。一方、バイオ医薬品の技術はまだ発展途上。独自性を打ち出す余地が大きく、今後も画期的な新薬が登場する可能性が高い。

普通社債 [ 2011年2月27日(日) 日本経済新聞 朝刊 ]

 民間企業が発行する債券の一種。新株予約権付社債などと異なり、償還時の元本受け取りを前提とする普通の社債。設備投資などの中長期の資金を調達するのが主な目的。社債の発行条件は、基準となる国債利回りなどに企業の信用力を反映した一定の上乗せ金利を加えて表面利率を決める。格付けの高い企業ほど有利な条件で資金調達しやすい。
 社債の発行額の増加で、市場における社債の現存額は発行額が過去最高だった1998年度末と比べ5割近く増えた。企業は市場からの調達を増やしている。一方、銀行の貸出残高は頭打ち傾向で、社債の現存額を貸出残高で割った比率は昨年末で16%と98年度末比で7ポイント強上昇した。

自己資本比率規制 [ 2011年2月26日(土) 日本経済新聞 朝刊 ]

 銀行の財務の健全性を保つため、主要国の金融当局が一律で定める規制。投融資などのリスク資産を分母、普通株や内部留保などの自己資本を分子として自己資本比率を計算し、一定割合を上回るように銀行に義務付けている。金融危機をきっかけに、国際的に活動する銀行の健全性を高めるため規制が強化される方向だ。
 現行基準の自己資本には普通株や内部留保、転換権付き優先株で構成する中核的自己資本と、劣後債など補完的項目も含めた全体の自己資本がある。新規制では普通株と内部留保で構成する「狭義の中核的自己資本」を新設。大手銀行は普通株公募増資などで対応を進めている。

レアアース [ 2011年2月25日(金) 日本経済新聞 朝刊 ]

 自動車やIT(情報技術)製品などの製造に不可欠な素材で、埋蔵量が少ないレアメタル(希少金属)の一種。ハードディスク基板などの研磨剤などに使うセリウムや次世代自動車のモーター用磁石の原料のジスプロシウム、光学ガラスに使うランタンなど17種類の元素の総称だ。
 現在は低コストの中国が世界供給の97%を占める。中国が昨年7月から環境対策などの名目で輸出制限を強化したため、9割を中国からの輸入に頼る日本は調達先の多様化が急務になった。経済産業省によると埋蔵量で中国は世界全体の31%にすぎず、独立国家共同体(CIS)に22%、米国には15%が眠っている。

新薬の研究開発 [ 2011年2月24日(木) 日本経済新聞 朝刊 ]

 高度な科学技術基盤を必要とする新薬の研究開発が可能な国は限られており、新薬創出数で日本は米、英に次ぐ3番手。ただ、技術の高度化や各国の安全性基準の厳格化で新薬はますます出しにくくなっている。この20年で研究開発費は2倍以上になったが、日本発の新薬数は欧米を上回るペースで減っている。
 2010年度の米国の生命科学研究予算は309億ドル(約2兆5000億円)と日本の7倍以上。米国には技術の実用化に向け大学の基礎研究と製薬企業の間を橋渡しするバイオベンチャーの数も圧倒的に多い。競争から脱落しないためには日本でも社内外の技術の結集が必要になっている。

国有財産の活用 [ 2011年2月23日(水) 日本経済新聞 朝刊 ]

 政府が保有する土地を民間に売却したり、地方自治体へ公共利用目的で貸し付けたりすること。庁舎の移転などにより、未利用となった国有地は財務省が「国有財産法」に基づいて管理。入札・売却で得た収入はそのまま国庫に入る。国有財産には土地のほかに船舶や自動車などの動産や知的財産権も含まれるが、通常は国有地を指す。
 国有地の資産は劣化が続く。2001年度には台帳価格で1兆14338億円あったが、09年度には3789億円に落ち込んだ。このため政府は10年6月に決めた新成長戦略で「国有財産の有効活用」を打ち出した。保育所開設などの目的で自治体に貸し付けるなど、新たな活用法を始めている。

ドバイ原油 [ 2011年2月22日(火) 日本経済新聞 朝刊 ]

 アラブ首長国連邦(UAE)を構成するドバイで産出する原油。ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油、ロンドン市場の北海ブレント原油と並んで世界の三大指標原油とされる。
 通常、原油成分の違いから指標原油の価格はガソリンを多く生産できる軽質油のWTIが最も高い。ブレントはWTIより2〜3ドル安く、重油なども含む中質油のドバイはブレントよりさらに安い。だが、地理的に近い中東情勢に敏感に反応した北海ブレント原油、ドバイ原油が騰勢を強め、WTIを上回っている。

携帯電話の基本ソフト [ 2011年2月21日(月) 日本経済新聞 朝刊 ]

 携帯電話上でインターネット接続やメール、ゲームなどの様々な機能・ソフトを動かすための土台になるソフト(OS)。従来は「シンビアン」などのOSをベースにNTTドコモなど通信会社と携帯電話機メーカーが独自に開発したものを自社端末に組み込んでいた。
 最近では米グーグルの「アンドロイド」に代表される開発の仕様を公開したオープン型のOSが主流になっており、一般的にスマートフォン(高機能携帯電話)と呼ばれる。携帯電話メーカーは自由にOSを使って開発できることから、世界共通仕様の製品がつくりやすくなった。

世界経済の不均衡 [ 2011年2月20日(日) 日本経済新聞 朝刊 ]

 国同士の貿易や投資などの資金の出入りを示す経常収支について、黒字と赤字の差が大きく、均衡が崩れた状態となること。近年は過剰消費で経常赤字を膨らませてきた米国と、米国への輸出拡大で経常黒字を拡大させてきた中国の不均衡が問題になっている。経常赤字が大きくなりすぎるといった事態になれば、ドルの信用が揺らぎ、世界経済が不安定になることを懸念する声もある。
 このため20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、不均衡の是正を課題に掲げ、対応策を議論している。各国の経常赤字や経常黒字が是正の必要な水準にまで膨らんでいないかを点検するための尺度とする「参考指針」を2011年前半に作成する方針だ。

合併審査 [ 2011年2月19日(土) 日本経済新聞 朝刊 ]

 公正取引委員会が独占禁止法に基づいて企業の合併などの可否を審査する制度。経営統合や出資比率引き上げなども対象になるため、正式には企業結合審査と呼ぶ。合併などの後に市場競争が実質的に妨げられないかどうかを審査する。
 公取委が「問題あり」と判断すると、企業は統合計画の見直しやシェアを下げるための事業売却などを迫られる。国境を越えた合併などが増え、近年は合併審査の国際連携が進んでいる。パナソニックと三洋電機の経営統合では、日本のほか10カ国・地域の当局が審査した。

2国間クレジット制度 [ 2011年2月18日(金) 日本経済新聞 朝刊 ]

 新興国や途上国に省エネ技術を供与し、温暖化ガス排出量を削減する見返りに排出枠を取得する仕組みで、年末開催の第17回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP17)の場で日本政府が提案する準備を進めている。導入の実現には、参加国の合意が必要になる。
 日本のエネルギー効率は世界最高水準。同額の実質国内総生産(GDP)を生み出すのに、米国は日本の2倍、中国・インドは7〜8倍、ロシアは16倍のエネルギーを消費する。原子力発電や家電の消費電力削減などの省エネ技術が排出枠創出につながれば、省エネビジネスが有望な輸出産業に育つ可能性がある。

チェンマイ・イニシアチブ [ 2011年2月17日(木) 日本経済新聞 朝刊 ]

 急激な資本流出で、ある国が対外的な支払い不能に陥った場合、アジア各国が外貨準備のドルを融通し合う仕組み。1997年のアジア通貨危機の反省に基づく危機対応策として構築された。2000年春に東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国の財務相がタイ・チェンマイで開いた会合で創設に合意した。
 拡充や制度見直しを重ね、現在では資金枠1200億ドルで、計13カ国が参加する。危機が生じた国から要請があった場合、その国の通貨と要請を受けた国が保有するドルを交換し、外貨不足を補う。

新興国向け小型車 [ 2011年2月16日(水) 日本経済新聞 朝刊 ]

 経済成長に伴い、拡大する新興国の中間層の取り込みを狙った小型車。低価格であることに加え、原油高や地球温暖化への対応もあって一定水準の燃費性能や環境性能も求められる。トヨタ自動車や日産自動車など日本勢に加え、米ゼネラル・モーターズ(GM)や韓国、欧州のメーカーも開発に注力している。
 新興国の政府も税制などの優遇措置を打ち出して工場誘致を狙う。タイはガソリン1リットルあたり20キロメートル以上走れる小型車で「5年以内に年10万台生産」といった条件を満たせば法人税の減免などを受けられるようにし、自動車の生産拠点が増えた。インドネシアも年内メドに小型車生産の優遇策をまとめる。

G20財務相・中央銀行総裁会議 [ 2011年2月15日(火) 日本経済新聞 朝刊 ]

 日米英独などの先進国に中国やインド、ブラジルなどの新興国を加えた20カ国・地域の財務相と中央銀行総裁が集まり、世界経済の課題について話し合う枠組み。今週末にパリで開く会議では、高騰する食料価格の抑制策などについても議論する見通しで、取り扱うテーマの多様化が進んでいる。
 始まりは1999年にベルリンで開いた財務相・中央銀行総裁会議。2008年秋のリーマン・ショック後には世界的な金融危機に対応するため、20カ国・地域による首脳会議(サミット)が始まった。先進国が中心のG7やG8に比べて存在感が増しているが、合意形成の難しさなどの課題も浮かび上がっている。

FTA [ 2011年2月13日(日) 日本経済新聞 朝刊 ]

 複数の国・地域が関税などの障壁を減らし、貿易の拡大を目指す協定。経済連携協定(EPA)は貿易に加え、人の移動や政府調達ルールなど幅広い分野の協力を目指す。菅政権が6月までに参加の是非を決める環太平洋経済連携協定(TPP)も広域のEPAといえる。
 日本は東南アジアやメキシコなど11カ国・地域とFTAやEPAを締結済みだが、これらの国・地域が日本の貿易総額に占める割合は16%と低い。現在交渉中のオーストラリアなどの大型案件では、農業保護を巡って国内調整が難航している。

技術輸出 [ 2011年2月12日(土) 日本経済新聞 朝刊 ]

 最新の生産技術を持つ日本企業が国内の生産拠点で1〜2世代前の技術を使う機会は少ない。新興国の企業にこうした技術を輸出すれば、使用料を得られる。総務省によると2009年度に日本企業が特許などの技術を輸出して稼いだ「技術輸出収入」は2兆153億円だった。
 輸出先を地域別でみると、中国などのアジアが42.1%とすでに最大となっており、今後も経済成長を続けるアジア諸国・地域を中心に輸出が増える見通しだ。ただ、技術の輸出にはリスクも伴う。ニッセイ基礎研究所の百嶋徹主任研究員は「旧世代とはいえ最先端に近い生産技術は慎重に扱い、国内で防御する必要がある」と指摘している。

民主党倫理規則 [ 2011年2月11日(金) 日本経済新聞 朝刊 ]

 5章16条で構成。1条の「目的」では「党員の倫理規範、倫理規範の違反に対する措置および処分、および倫理委員会の運営等、党員の倫理の順守に関して必要な事項について定める」と明記。処分や措置に関する項目は4条に列挙している。
 これによると、処分は軽い順に(1)党員資格の停止(2)離党の勧告(3)除籍――の3つ。執行上の措置には「幹事長名による注意」「常任幹事会名による厳重注意」「党の役職の一定期間内の停止または解任」など5種類ある。過去に党所属議員が起訴されたケースでは、除籍処分が大半。ただ、検察審査会による起訴議決を受けて強制起訴された小沢一郎元代表に関しては党内に「通常の起訴とは異なる」との意見が出ている。

ロシアの自動車市場 [ 2011年2月10日(木) 日本経済新聞 朝刊 ]

 欧州ビジネス協議会(AEB)によると2010年の新車販売は前年比3割増の191万台。ピークだった08年と比べ6割の水準だが、政府による新車買い替え補助などの後押しで好転している。AEBは11年は224万台に増えると予想。インド(10年に304万台)などと並ぶ世界有数の成長市場に育つとみられている。
 ロシア政府は新車への輸入関税を09年から平均25%から同30%に引き上げた。このため日本勢は現地生産の強化に動いている。トヨタ自動車と日産自動車は西部のサンクトペテルブルクに工場を持つ。ロシア政府は極東のウラジオストク周辺でも本格的な新車生産拠点づくりを探っている。

総合特区 [ 2011年2月9日(水) 日本経済新聞 朝刊 ]

 政府が2010年6月に閣議決定した新成長戦略の柱。個別に規制を緩和する現行の特区制度と異なり、複数の規制緩和と税優遇策を組み合わせるのが特徴。地域を限定して企業の自由度を高め、国内外の投資を呼び込む狙いがある。
 環境技術、物流など国際競争力強化を目指した「国際戦略総合特区」と観光資源や自然などを生かした「地域活性化総合特区」の2種類を指定する。医療、環境、観光など戦略に応じて地域が規制緩和策を要望するため、実効性のある提案が吸い上げられると政府は期待している。

農業生産法人 [ 2011年2月8日(火) 日本経済新聞 朝刊 ]

 一定の条件のもとで農地の所有を認められた法人。株式会社形態のほか、有限会社や合資会社などの形態をとる場合もある。2010年1月時点で1万1829社があり、前年同期と比べて約800社増加した。既存農家が大規模化を進めるため生産法人を立ち上げる場合や、建設業や食品関連産業などの企業が農業参入のため設立する場合が多い。
 ただ、一般企業から生産法人への出資が50%未満に制限される他、役員の半数以上が常時、農作業にかかわること、売上高の半分以上が農業事業であることなどの条件がある。また、株式会社形態の場合、株主は生産法人の株式を自由に譲渡できない。こうした規制から「使い勝手が悪い」との指摘もある。

先端素材 [ 2011年2月7日(月) 日本経済新聞 朝刊 ]

 電気自動車(EV)やスマートフォン(高機能携帯電話)など新型製品の性能を支える原材料を指す。省エネルギーや長寿命化などに貢献し、世界でも日本メーカーの競争力が高い。照明や薄型テレビなどに使う発光ダイオード(LED)市場などでも素材需要が拡大している。
 技術流出の防止や雇用確保の観点から、各社は先端素材の国内での開発・生産を重視している。政府も昨年末にEVの心臓部のリチウムイオン電池やLED関連の設備投資に補助金を出すなど、国内投資の奨励に動いている。

日中韓首脳会談 [ 2011年2月6日(日) 日本経済新聞 朝刊 ]

1999年11月の東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓の首脳会議をマニラで開いた際、当時の小渕恵三首相と中国の朱鎔基首相、韓国の金大中大統領が朝食会の形で初めて開催。2000年から政治、経済、文化交流など3首脳で幅広く議論する場として定例化した。
 07年11月には当時の福田康夫首相、温家宝・中国首相、盧武鉉(ノ・ムヒョン)韓国大統領が3カ国の持ち回りで開催することを合意。国際会議の場と切り離し、独立して実施することを決めた。今年は5月に都内で予定している。

経常利益 [ 2011年2月5日(土) 日本経済新聞 朝刊 ]

 企業が事業や財務活動で稼いだ利益のことで、収益力を示す代表的な指標。売上高から原材料費や人件費などを引いた営業利益に、財務活動で生じる営業外損益を加えて算出する。営業外損益には支払利息や配当収入のほか、関連会社の最終損益を持ち株比率に応じて計上する持ち分法投資損益などが含まれる。一時的な収入や費用を加味する前の利益のため、企業の実力を継続して見る場合などに使われることが多い。
 米国会計基準や国際会計基準の損益計算書には経常利益の項目がない。このため、「税引き前利益」が経常利益に最も近い指標とみなされることが多い。

粗鋼 [ 2011年2月4日(金) 日本経済新聞 朝刊 ]

 鋼材の半製品で、溶けた鋼を鋳型に流し固めたもの。圧力をかけるなどの加工で材質を均質化したり強度を高めたりして鋼材にする。鋼材は自動車や電気製品などさまざまな分野に使用されるため、粗鋼の生産量は景気の動向や国の工業力などを示す指標となっている。
 日本鉄鋼連盟によると2010年の日本の粗鋼生産量は、前年比25.2%増の1億960万トンで3年ぶりに増加した。一方、世界鉄鋼協会がまとめた10年の世界粗鋼生産量は、前年比15%増の14億1360万トンで過去最高を記録。日本など先進国が金融危機後の低迷の反動で大幅に増加したほか、全体の約44%を占める中国も堅調だった。



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