原水禁ニュース
2010年11月号

▼原水禁ニュース2010年11月号

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■ 米国の臨界前核実験抗議!ヒロシマの心を踏みにじるな!

アメリカの臨界前核実験に抗議して慰霊碑前で座りこみ(10月14日)9月15日、オバマ政権では初となる臨界前核実験を実施したことが明らかになった10月13日、原水禁・平和運動センターは、下記抗議文をオバマ大統領宛に送付しました。

10月14日、核兵器廃絶広島平和連絡会議(12団体)の90人が原爆慰霊碑前に座り込み、抗議の意を示しました。

核兵器廃絶をめざす流れに逆行し、被爆地の思いを踏みにじる許されない行為です。また、被爆国である日本政府がまったく抗議しなかったことも許されません。あらためて被爆地ヒロシマから核兵器廃絶にむけ運動強化をしていきましょう。

県内では、10月13日に、福山市職労が市役所など6箇所で161人が座り込み、三次市、東広島市でも抗議の座り込み行動が実施されました。

臨界前核実験に強く抗議する

9月15日、ネバダ核実験場で通算24回目となる臨界前核実験を実施したことが明らかとなった。核兵器の廃絶を願い、どんな形での核実験にも反対してきた被爆地ヒロシマとナガサキ、「核兵器のない世界」をめざす多くの人々の訴えに逆行する実験である。そして何よりも、被爆者の気持ちを踏みにじる暴挙であり許されるものではない。私たちは、被爆地ヒロシマから強く抗議する。

2009年4月5日、チェコ・プラハでの「核兵器を使用した唯一の核保有国として、合衆国には行動する道義的責任がある。本日ははっきりと信念を持ってアメリカは核兵器のない世界の平和と安全を追求すると誓約する」とした全世界への約束を反故にし、さらに、5月に開かれた「NPT再検討会議」で、「核兵器の完全廃棄」を明確にうたい、それに向けて「核保有国は具体的な取り組みを行う」という制約が銘記された最終合意文書にも反するものであり、貴国のダブルスタンダードの核政策を厳しく糾弾する。

「核と人類は共存できない」。被爆地ヒロシマは、いかなる理由があろうと、いかなる国の核兵器開発・保有を断じて許さない。貴国がNPT再検討会議の合意事項やCTBTの理念に立ち返り、1日も早く核兵器廃絶を実現するよう強く要求する。

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「上関原発いらん!in上関集会」(2010.10.24)■ 「上関原発いらん!in上関集会」に1000人結集!

10月24日、山口県上関町で「上関原発いらん!in上関集会」が開催され、雨にもかかわらず、全国から1000人が結集し、上関建設反対を訴えました。

「上関原発いらん!in上関集会」雨の中1000人がNO!集会は、原水禁山口県民会議など5団体が主催、祝島島民の会代表山戸貞夫さんは「原発建設による埋め立て工事は確実に海を殺す。私たちは安易な妥協は絶対しない。昨年の田名埠頭の攻防以降たたかいは全国にも広がっている。生活を守り建設中止まで頑張りぬく」と決意を述べました。

また、環境エネルギー研究所所長の飯田哲也さんから「日本において自然エネルギーへの転換ができるかどうかは、上関原発建設をとめられるかが一つの試金石になる」と、上関からの変革を訴えられました。集会終了後、デモ行進を行い、下記集会宣言を採択しました。

集 会 宣 言

1981年に上関原発建設計画が浮上して以降29年、建設予定地の目の前の対岸に位置する祝島を中心に、地元反対運動は、生活の糧としての海を守るため、そしてそれは「命」を守るため、一切の妥協なく体を張り続けている。
 私たちは、昨年9月10日から、公有水面埋め立て工事に着手しようとする中国電力と真正面から対峙してきた。そして今なお、田ノ浦の現地において、本格的に埋め立て工事を再開しようとする中国電力と激しく対峙を続けている。
 国や電力事業者が推進する原子力政策は、核のごみ処分を先送りし、二酸化炭素を出さないという一点でのみ、推し進めようとしている。
 原発は、運転時にのみ二酸化炭素は出さないが、放射能を撒き散らす。放射能は目には見えず、上関町内だけで留まる物ではなく、広く拡散されていく。現在の原発技術力をもって、そのことは克服されていない。本来、原発建設問題は、その環境に与える影響を含め、広く是非を問う必要があるはずである。これまでの国や電力事業者の強引に原発建設を推し進める態度に、大きな憤りを覚える。
 中国電力は、今年3月、島根原発における500箇所を超える点検漏れや機器の未交換を明らかにした。さらに点検実績と計画表が合致しないものが1000箇所以上見つかっているが、点検不備による原子炉停止は全国初のことである。この間、中国電力が度々唱えてきた「原発は安全」という言葉に信憑性はない。
 私たちは、昨年10月と今年5月の2回にわたり、全国から85万筆を越える「上関原発建設の中止を求める」署名を国に提出してきた。国は、大量消費を前提とした環境負荷の高い原発は、もはや過去のものとなりつつあるということを自覚し、全国の原発建設反対の声を真摯に受け止めるべきである。中国電力は、本当に一番利害関係が生ずる目の前の人の意見に、真剣に耳を傾けるべきである。そして、全国の電力事業者に先駆け、「原発から再生可能エネルギーへ方針転換」と英断を下すべきである。
 本日ここ上関に、全国各地から、反原発・脱原発を切実に訴えている多くの仲間が結集した。私たちは、平和利用という仮面に覆われた原子力政策に断固反対を貫き、原発によって暮らし、命が脅かされることない平和な社会を、そして、核も放射能もない未来を残していくため、最後までたたかい抜くことを全員で確認する。
 以上宣言する。

2010年10月24日

10.24 原発いらん!in上関集会

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■ 強制連行の歴史を刻む!「安野 中国人受難者の碑」除幕式

安野 中国人強制連行受難の碑西松建設との和解成立からちょうど1年を迎える10月23日、安芸太田町中国電力安野発電所で、強制連行の歴史を刻む「安野 中国人受難の碑」(高さ3.6m)の除幕式が、中国から来日した5人の元労働者を含む遺族ら40人や、関係者、支援者など120人の参加で行われました。

和解条項に基づいて設立された西松安野友好基金運営委員会が、受難者への補償金支給、末判明者の調査、受難者による故地参観・慰霊などの和解事業の一つとして、この記念碑の建立も実現しました。

「安野 中国人強制連行受難の碑」除幕式に120人が参加記念碑は、中央および左右の碑から構成され、「安野 中国人受難之碑」と刻まれ、裏には歴史を後世に伝え日中友好を願う碑文(下記)が刻まれています。左右の碑には、この地に強制連行された中国人全員の名前が記され、歴史的に見てもきわめて画期的なものです。

参加した元労働者の邵義誠さん(85歳)が受難者、遺族を代表し、「生きてこの日に立ち会え大変うれしい。残念ながら立ち会えない亡くなった労工たちの天国の魂に私はここで報告する」と涙ながらに思いを込めて挨拶されました。

 

安野 中国人受難の碑 <碑文>

 第二次世界大戦末期、日本は労働力不足を補うため、一九四二年の閣議決定により約四万人の中国人を日本の各地に強制連行し苦役を強いた。広島県北部では、西松組(現・西松建設)が行った安野発電所建設工事で三六〇人の中国人が苛酷な労役に従事させられ、原爆による被爆死も含め、二九人が異郷で生命を失った。
 一九九三年以降、中国人受難者は被害の回復と人間の尊厳の復権を求め、日本の市民運動の協力を得て、西松建設に対して、事実認定と謝罪、後世の教育に資する記念碑の建立、しかるべき補償の三項目を要求した。以後、長期にわたる交渉と裁判を経て、二〇〇九年一〇月二三日に、三六〇人について和解が成立し、双方は新しい地歩を踏み出した。西松建設は、最高裁判決(二〇〇七年)の付言をふまえて、中国人受難者の要求と向き合い、企業としての歴史的責任を認識し、新生西松として生まれ変わる姿勢を明確にしたのである。
 太田川上流に位置し、土居から香草・津浪・坪野に至る長い導水トンネルをもつ安野発電所は、今も静かに電気を送りつづけている。こうした歴史を心に刻み、日中両国の子々孫々の友好を願ってこの碑を建立する。

二〇一〇年一〇月二三日

安野・中国人受難者及び遺族
西松建設株式会社

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■ 【書籍紹介】 破綻したプルトニウム利用 −政策転換への提言−

    編著:原子力資料情報室原水禁  発行:緑風出版
    定価:1,700円

日本のエネルギー政策は、依然として原子力を中心としています。そして、原発の使用済み燃料からプルトニウムを取り出し、高速増殖炉で燃料として使用することを模索しています。本書は多くの科学者が疑問を投げかけている「核燃料サイクルシステム」が、すでに破綻し、いかに危険で壮大なムダであるかを、詳細なデータと科学的根拠に基づいて分析しています。そのうえで、このシステムを無理に動かそうとする政府に対して、政策の転換を提言しています。ぜひお読みください。


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