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前原外相辞任、菅政権に打撃-外交関係円滑化努力に支障も

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 【東京】前原誠司外相が6日、外国人から政治献金を受け取っていた問題で辞任したことは、ただでさえ不安定な菅政権にとって打撃だ。外交面でも米国などとの関係を円滑にしようとする努力に支障が出る恐れがある。

Reuters

記者会見する前原外相(6日)

 前原氏は日本では最も人気のある政治家の1人で、菅直人首相の最有力後継者とも目されていただけに、同氏辞任は各方面にショックを与えている。過去4人の首相は1年ないしそれ未満で辞任しており、前原氏自身、外相に就任して6カ月も経っていなかった。

 このような目まぐるしい首相・閣僚の交代を受けて、増大する政府債務、人口減少と高齢化、台頭する中国との関係をどう維持するかといった難題に日本は取り組めるのかとの疑問が出ている。

 前原氏辞任は、わずか9カ月前に就任したばかりの菅首相を取り巻く政治的な混乱を一層悪化させるだろう。菅首相は、与野党が対立する国会で野党勢力の協力を取り付けられず、4月に始まる新年度予算案の関連法案通過に四苦八苦している。さらに、民主党内部では内紛が続き、一部の議員が菅首相に反旗を翻そうと身構えており、菅首相の求心力は一段と弱まっている。前原氏の政治スキャンダルは、野党勢力の勢いを増す見込みで、菅首相に対する攻撃をエスカレートさせるだろう。

 前原氏の後任はまだ任命されていない。突然の辞任だっただけに、日本のメディアもほとんど後継者候補の氏名を挙げていない。政治献金は前原氏の地元の京都でレストランを営む旧知の在日韓国人によるもので、金額は25万円、つまり約3000ドルだった。日本では、外国人から献金を受け取ると、政治家は最長3年の禁錮ないし最大50万円の罰金が科される。

 外国人の献金に対する禁止措置は、外国人が日本の政治決定ないし選挙に不当な影響をもたらすことへの懸念があるため制定された。

 前原氏の辞任は日米関係へも打撃だ。2009年に民主党が政権を取って以来、沖縄米軍基地の移転問題で緊張が高まっている。前原氏は親米で知られ、当初は沖縄担当相として、その後は外相として交渉を主導していた。

 経済政策では貿易自由化を推進し、農業関係者から強い反発を受け、国内の議論が二分されている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)についても積極的だった。

 前原氏の辞任は、在日韓国・朝鮮人や在日中国人(華僑)の日本での扱いが注目される可能性もある。問題となった献金は韓国籍の人物が行ったが、長年日本に住んでいた。第二次世界大戦からの経緯もあり、日本では今なお、数十万人もの韓国・朝鮮人が日本に住んでおり、大半は韓国籍を保有している。日本がホーム(故郷)と考えている在日の人々が少なくないにもかかわらず、彼らは外国人として扱われている。

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日本版コラム〔3月8日更新〕