政治【主張】中国ヘリ異常接近 抗議無視した力の誇示だ2011.3.9 02:47

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【主張】
中国ヘリ異常接近 抗議無視した力の誇示だ

2011.3.9 02:47

 東シナ海の日中共同開発の協議対象であるガス田付近で、中国国家海洋局所属のヘリコプターが海上自衛隊の護衛艦に異常接近した。日本の防空識別圏の内側で、護衛艦まで水平距離約70メートル、高度約40メートルまで近づき、周囲を1周した。極めて危険な行為だ。

 日本政府は外交ルートを通じ抗議した。しかし、同様の事案は昨年4月にも起きている。沖縄本島と宮古島の間を通過した中国海軍の駆逐艦など10隻を監視していた海自護衛艦に対し、艦載ヘリが複数回近接飛行した。

 この時の日本政府の対処は遅れ、しかも鳩山由紀夫首相(当時)は日中首脳会談で取り上げなかった。甘い対応が再発を許したと言わざるを得ない。

 中国ヘリの異常接近は海洋権益を獲得・維持する能力を誇示するためだ。中国国家海洋局は測量や資源調査・保護などを任務とするが、最近は調査船を増強し、軍との連携を強めている。

 中国国防費の伸び率が再び2けたに戻ったことでも明らかなように、胡錦濤政権は力ずくで海洋権益を拡大する意思を隠さなくなった。北京で開会中の全国人民代表大会(全人代=国会)に提出されている第12次5カ年(2011~15年)計画草案の重要な柱の一つが「海洋経済発展の促進」だ。

 この項目には、天然ガス、石油などの資源開発や漁業振興と同時に離島の管理強化なども盛り込まれている。計画の成立を受けて、中国が沖縄・尖閣諸島周辺の東シナ海や東南アジア諸国との領土権紛争を抱える南シナ海で艦船活動を強化するのは間違いない。

 空母建造計画などのほかに、海洋戦略の拡大を裏付ける事態がすでに起きている。全人代の開会直前、最新鋭の衛星通信システムを備えた最大級の海洋調査船「海監50」(排水量3336トン)が進水したと中国国営新華社が報じた。東シナ海に配備するという。

 温家宝首相は全人代の政府活動報告で外交政策について「周辺諸国に善意をもって接し、友好協力関係を深める」と演説した。楊潔●外相も日中関係について「良い両国関係を築くことは中日双方のいずれにとっても賢明な選択だ」と改善への意欲を見せた。だが、実際に起きていることは言葉とは裏腹である。

 矛盾を日本は指摘し、独断的な戦略に備えを万全にすべきだ。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

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