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交通基本法案:自転車を手段と明記 政府、国会に提出

 政府は8日、国や自治体の交通施策の基本理念などを定める交通基本法案を閣議決定し国会に提出した。自転車を含めた総合的な交通体系の整備を図るとしているが、具体的な施策や目標の検討はこれからだ。

 法案は、自転車を徒歩、自動車、鉄道などとともに交通手段の一つと明記し、それぞれの特性に応じた役割分担と効率的な連携の施策を進めると規定。国、自治体、交通関連事業者らが連携し、交通施策に国民が協力することも盛り込んだ。

 副国土交通相時代に法案とりまとめの中心となった辻元清美衆院議員は「交通の憲法のような法案に自転車を明記した意義は大きい。地域で自転車を活用した交通体系を考えられる」と評価する。

 ただし、自転車を巡っては事故防止や保険普及など課題が山積。課題解決に向けた具体的施策について、法案は交通基本計画の中での検討を予定するが、国交省は「すべてこれから。法案審議をにらみながら進める」と説明する。大畠章宏国交相は8日の閣議後会見で「自転車専用の道路整備は非常に遅れている。欧州には環境問題から自転車を重視すべきだとの意見があり、それも考えなければ」と語った。

 自転車問題を研究する住信基礎研究所の古倉宗治研究理事は「法案は自転車の役割や優先度が不明確」と懸念。自転車問題について提言するトヨタ自動車の亘理章IT・ITS企画部担当部長は「国、都道府県、市町村の役割と責任をはっきりさせることが重要だ」と指摘している。【北村和巳、馬場直子】

毎日新聞 2011年3月8日 21時23分

 

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