中学生の交通事故件数の9割近くが自転車乗用中だったことが、毎日新聞の集計で分かった。高校生は7割、小学生は6割に上る。大人を含めたすべての交通事故件数に占める自転車事故件数の割合は2割にとどまっており、小中高生による自転車事故件数の比率は突出している。専門家は「自転車を取り巻く問題に社会的関心が低かった結果、立場の弱い子供が犠牲になっている」と警鐘を鳴らしている。(社会面に「銀輪の死角」)
財団法人・交通事故総合分析センターが集めた08年の全交通事故76万6147件のデータを基に集計した。なお、車や自転車に同乗していた場合は事故件数には反映されないが、負傷者には算入されている。
集計では、過失が大きく主に加害者とされる「第1当事者」と主に被害者とされる「第2当事者」を合算。これによると、中学生の交通事故は1万3047件で、このうち自転車乗用中は1万1311件と86・7%を占めた。このうち第1当事者は2455件、第2当事者は8856件。高校生では3万797件の事故のうち71・2%の2万1938件、小学生も2万2230件中60・6%の1万3472件が自転車乗用中だった。
一方、集計手法は異なるが全世代での自転車事故は計16万2525件で、全事故に占める割合は21・2%。
事故による負傷者が自転車に乗っていた割合も、中学生は65・4%(1万1101人)、高校生は64・2%(2万1246人)、小学生は41・4%(1万3484人)で、全世代の17・2%(16万2250人)に比べ突出していた。自転車事故での死亡者は中学生12人(全事故死亡者の48・0%)、高校生23人(同24・5%)、小学生11人(同24・4%)にのぼる。
警察関係者の分析では、小中高生は自転車利用率が高い一方、小学生は歩行中の飛び出しで事故になるケースがあり、高校生になるとバイクで事故を起こすこともあることなどから、とりわけ中学生の自転車事故の比率が高いとみられる。
旧建設省の元キャリア技官で自転車交通を研究している元田良孝・岩手県立大教授は「自転車の安全教育が不徹底で、ルールを知らず利用していることも原因」と指摘。08年のデータでは、自転車乗用中に死傷した15歳以下は74%が自ら法令違反をしていた。【馬場直子、北村和巳】
毎日新聞 2011年3月8日 東京朝刊