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[事件]ニュース トピック:主張
【主張】熊本の女児遺棄 あらゆる手段で子供守れ
熊本市の3歳女児、清水心(ここ)ちゃんは市内のスーパーで「おしっこ」と言い残し、スキップしてトイレに向かった。見送った父親は嗚咽(おえつ)に包まれた通夜で「もう温かいご飯を食べさせてあげられない」と言葉を詰まらせたという。最後の食事は保育園の給食で、ひな祭りのちらしずしだった。
これから彼女が見るはずだったいくつもの夢を思うと、悲しくて、気の毒で、言葉もない。同時に救いようのない犯罪に、激しい憤りを覚える。不幸な被害児童を一人でも減らすために、あらゆる手段で子供たちを守らなくてはならない。
死体遺棄容疑で大学生を逮捕した決め手となったのは、店内の防犯ビデオに写った不審な姿だった。容疑者は4時間もの間、店内でビデオに姿をさらし、遺棄現場の川まで自転車で走る姿も沿道のカメラがとらえていた。
犯行は必ず発覚する。一方で、店には犯行を未然に防ぐ機会はなかったか。店内の死角を減らし監視態勢を強化するなど、子供が出入りする店舗は安全を守る義務を負うと認識してほしい。
警察庁は平成21年、全都道府県警に「子ども女性安全対策班」を設置した。声かけ、つきまといなど性犯罪の前兆行動について不審者を特定し、犯罪に至らないケースでも警告する。昨年1月から9月末までの指導・警告は1262件に及んだ。こうした取り組みは積極的に進めてほしい。
昨年の児童ポルノの事件摘発は、前年比4割増の1342件を数えた。被害者のうち小学生以下は全体の2割に上っている。また現行の児童ポルノ処罰法は、単純所持を禁じていない。法改正に向けた論議も急ぐべきだ。
再犯の可能性がある性犯罪前歴者の所在を監視するため、宮城県と大阪府は、衛星利用測位システム(GPS)端末の携帯を義務づける条例の検討に入っている。GPSの常時携帯が新たな犯罪の抑止力になるならば、国をあげて広範囲に検討すべきだ。
これらが加害者を監視する目であるならば、子供を保護するための目は、地域や家族が担うしかない。日本だけは、子供が一人で歩いても安全であると思いこんでいた。悲しいかな、そう胸を張って言えないことは、数々の事件が証明してしまっている。幻想は捨てなくてはならない。
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