米原油先物などの投機買いが膨張している。中東情勢の混迷が市場の供給不安を高めているためだ。しかし、過去に例を見ない投機買いの規模は、米国などの金融緩和策と国際商品の金融商品化が強く影響している。各国の政府や中央銀行はこうした現状を警戒し、政策運営を慎重に進めてほしい。
米商品先物取引委員会が発表した売買統計によると、ヘッジファンドなど実需と関係のない投機家による米原油先物の買越量は、直近1日時点で約27万2千枚(1枚は千バレル)と、2週連続で過去最高を更新した。
米原油先物の買越量は2007年7月に初めて10万枚を超えた。03年ころから原油や農産物を組み込んだ商品指数を利用した資産運用や、商品価格に連動した上場投資信託(ETF)などが投資家に浸透し、国際商品の金融商品化が進んだためだ。
さらに、昨年11月に米国が追加的な金融緩和に踏み切った以降は、投機的な買いが急膨張した。米原油先物の買越量は昨年11~12月に一時17万枚を超え、直近2週間だけで10万枚以上増えている。
原油や食糧価格が上昇する背景に中国など新興国での消費拡大があるのは間違いない。今年に入っての原油高騰が、いつ主要産油国の供給が大幅に減るような事態になるかもしれない中東情勢の混迷に影響されているのも事実だ。
ただし、昨秋以降の米原油先物の投機買いの膨張は異常だ。国際商品の金融商品化と米国の一段の金融緩和が、中東情勢緊迫のような材料で03年以前には考えられなかった規模の投資資金が商品市場に流れ込む環境を生み出したことを物語る。
日本銀行は4日、「最近の国際商品市況上昇の背景」というリポートを発表し、こうした環境が続けば国際商品価格は一段と上昇する可能性があり、世界経済のかく乱要因となる、と指摘した。
日銀の言う通り、商品市況の高騰を抑えるために、積極的に引き締めなどの政策を打てば国内経済を逆に不安定にする可能性は高い。だが、金融市場と国際商品市場との一体性が強まり、現実に原油や食糧価格の高騰につながっている以上、今後の政策運営で無視はできない。
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