2011年3月9日5時32分
大阪朝鮮高級学校の教室に掲げられた金正日総書記らの肖像画=昨年3月、大阪府東大阪市
大阪朝鮮学園の李英敏副理事長(左)が福田昌弘府民文化部長に回答書を提出した=8日午後、大阪市中央区の大阪府庁、筋野健太撮影
大阪府の橋下徹知事は8日、大阪朝鮮高級学校(大阪府東大阪市)と同校の生徒に対する府独自の補助金計約1億円について、2010年度は支給しない方針を明らかにした。高校無償化制度に絡み、朝鮮学校側への補助金見送りを決めたのは、都道府県では大阪府が初めて。
橋下知事は「拉致問題と切り離して考えることはできない」として、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記らの肖像画を教室から外すことなどを補助金支給の要件の一つに挙げていた。これに対し、学校側は同日午後、府の示した方針に対する回答書を提出。肖像画については「検討を重ねる」とする表現にとどめた。
一方、9校ある府内の朝鮮初中級学校は元々、教室に肖像画を掲げていない。そこで府は、朝鮮学校を運営する学校法人大阪朝鮮学園に対する補助金約1億1800万円のうち、初中級学校分の約9100万円については、学校側が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)など特定団体の干渉を受けないための基本方針を年度内に策定することを条件に、支給する方向で調整する。
府は当初、各種学校である朝鮮高級学校の生徒についても私立高校の生徒と同様、年収350万円未満の世帯の授業料無償化などを決め、2010年度の当初予算では7600万円を計上。さらに、学校法人に対する外国人学校振興補助金のうち、高級学校分約2700万円も支給する方針だった。
しかし「朝鮮学校は授業料無償化制度から除外すべきではないか」と政府内で議論されたことなどを背景に、昨年3月、橋下知事は(1)学習指導要領に準じた教育の実施(2)朝鮮総連と一線を画す(3)財務情報の公開(4)金正日総書記らの肖像画を教室から外す、の4項目を補助金支給の要件に挙げていた。