12人が死傷した昨年6月の広島・マツダ工場無差別殺傷事件は、殺人などの罪に問われた引寺利明被告(43)の起訴から4カ月がたったが、公判前整理手続きのめどがたたない。争点をめぐる意見の違いから、引寺被告と弁護団の調整が長引いており、被害者家族からは不満の声も上がる。
公判前整理手続きは争点や証拠を絞り込み刑事裁判を迅速化するのが目的で、最高検は「起訴後、半年以内に完了させることが望ましい」としている。最高裁によると、2009年5~12月に審理された否認事件は起訴から手続きの終了までの平均が3カ月余りだ。
これまで引寺被告の弁護団は、心神喪失で責任能力がないとして、無罪を主張する方針を表明。殺意も否定してきた。
一方、引寺被告は広島拘置所で取材に「責任能力を争うかは検討中」と話した。犯行の動機について「マツダで複数の従業員に嫌がらせ(集団ストーカー行為)を受けたこと」を挙げ、殺意については「なかったとは言えない」と述べている。
両者の意見の違いについて、弁護団の久保豊年弁護士は「責任能力の欠如は被告も納得している。殺意の有無はこれから被告と打ち合わせる」と説明。「(公判前整理手続きが)遅れているという認識はない。年内に終了すればいい」として、時間をかけて引寺被告との調整を進める方針だ。
こうした弁護側の状況に、被害者の家族は「手続きが長引けば、事件のことなどを考えてしまう時間が増えるだけ」と不満を漏らしている。
▼マツダ工場無差別殺傷事件 広島県府中町のマツダ本社工場と隣接する広島市南区の宇品工場で2010年6月22日、出勤中の男性社員12人が次々と車にはねられ、1人が死亡、11人が重軽傷を負った。広島県警は殺人や殺人未遂などの容疑でマツダの元期間従業員、引寺利明容疑者を逮捕。精神鑑定の結果、広島地検は完全責任能力があると判断。昨年10月29日に殺人罪などで起訴した。
〔共同〕
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