日比野庵 離れ 胡錦濤主席の訪日について
日比野庵の日比野氏からTB頂いてエントリーを興味深く拝見させて頂いた。
特に【4.影な総理の威力】に関して書かれている事は激しく同意する。
何かと優柔不断な態度の福田総理への批判は多いのだが、今回の胡錦濤主席の訪日でも総理の優柔不断さは如何無く発揮されたと思う。日比野氏の言われるように大事な事は「暖簾に腕押し」で全然態度がはっきりしない。北京五輪へも行くとも行かぬともはっきり言わぬ。
日本の本当の実力者と交渉したかったようであるが、日本にはそんな人は存在しない。(誰かいるか?)。これでは胡錦濤主席も困った事だったろうと推察できる。
日本国内のマスコミの歓迎に満ちた報道で訪日は大成功だったという印象をもつかも知れないが、中国共産党としては、今回の訪日は大失敗だったのかも知れない。まぁ表面的には大成功を取り繕わなければ北京五輪の成功は無い。北京五輪で日本の観光客を呼び込めなければ北京五輪は大赤字で終わるだろう。
餃子問題、チベット問題、ガス田問題と沢山の外交問題を何一つ片付ける事も無く、日本にパンダを送る事だけを約束して去った胡錦濤主席は、日本の対中国感 情が少しは和らいだと思ったであろうか? 結果はNOである。日本人の対中国感情は何も変わっては居ない。不信感は何も変わらぬままに通り過ぎただけであ る。
これから胡錦濤主席は、どのような手を打ってくるのだろうか?
楽しみである。私には、全然、想像が付きません。(^^;)
4.影な総理の威力
今回の日中首脳会談で、一部からパンダしか成果は無かったとさえ揶揄される福田総理。なにをしたい、というビジョンもないように見え、自分の意思をはっきりと語ることもない。
だけど、そのキャラが逆に絶大な威力を発揮している面がある。
今回の胡主席の訪日に先だって、福田総理はロシアを訪問し、日ロ共同油田開発に合意している。また、多弾頭迎撃MDシステムの導入も決定している。
この二つはとても重要な意味を持つ。もちろん中国に対してのもの。
日ロ共同油田開発は、石油パイプライン問題で日本に有利、中国に不利な合意であるし、多弾頭迎撃MDシステムは、多弾頭大陸間弾道弾(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に対抗するもの。
そこにきて、チベット問題に端を発する中国への人権改善への世界各国からの圧力。
以前、「中国の世界覇権戦略」の中で、中国の人口攻撃に触れ、日本の対策として、
・エネルギー戦略としてロシアと関係改善を進め、中国と大きく対立しないで、多少の貢物を捧げつつ、EU、アメリカなどの自由 主義国家と協調して、中国内部から民主化させていく戦略
・武力攻撃させない為に、圧倒的技術優位を確立する象徴的な兵器を開発・配備。
の二つをあげたことがあるけれど、今回の日ロ共同油田開発と、多弾頭MDシステムは、まさにこの戦略と合致している。
中国はソフト、ハード両面から、じわじわと包囲網を形成されつつある。
今の中国は、食料高騰、環境汚染、エネルギー問題などを抱えていて、それらをなんとかしないと、国が持たないようなところまで来ている。その解決の鍵はみんな日本が持っている。だから日本に泣きついて、すがりつくしかない。
中国からみれば、暗黒の小泉・安倍路線が終わって、ようやくにして日中間の対話ができる環境になった。日本の相手は親中派と目される福田総理。対話のタイミングは今しかない。
実際、今回の訪日にあわせて、中国国内では日本に学べと低姿勢の大量報道をして、事を荒立てないようにしてる。
それなのに、日本は表向きの笑顔の裏で、着々と包囲網を形成してくる。
中国はその動きを非難したくても、相手が福田総理なものだから、表立って口にだせないし、嫌がらせもできない。まったく憎たらしいったらありゃしない。
中国は、福田総理のことを実は「隠れ反中派」なのではないか、と疑っているのではないか。
しかも、福田総理のキャラと日本国内の環境が、また中国にとって最悪。
福田総理のキャラとその対応・発言をみると、外見上は何をしたいのかさっぱり分からない「暖簾に腕押し」。しかも国内の支持率は政権維持できるかどうかの危険水域。
いったい全体、福田総理は、本当に日本の権力者なのか。まるで影を相手にしているかのよう。
中 国からみれば、国家主席が出て行って日中間のトップ会談をしたいのに、日本から出てくるのは「影な総理」。でも影は所詮影。本当の実力者・権力者と会って 打開策を協議したい。影と話をしても仕方がない。いつ退陣するか分からない相手といくら口約束しても、いつ反故にされるか分かったものじゃない。
5月8日に行われた歴代総理との朝食会は、中国にしてみれば、本当の日本の権力者が誰なのかを見つけ、直接交渉をしたかった、もしくは、歴代総理に諸々の合意事項について本当に守って欲しい、とお願いしたのではないか。
中国崩壊要因にもなりえる3大問題、食料高騰、環境汚染、エネルギー問題のうち、今回の訪日で目処が立ったのは、環境汚染とエネルギー問題の半分くらい。
毒餃子がらみで日本向けの食料品輸出が減っているけれど、その分を中国国内に回して急場をしのぐのだろう。いずれにせよ、中国の人口が減るか、食料の増産ができないと厳しい。それも汚染されたものではなくて。
今の中国に必要なのは、独裁者ではなく、真の意味での賢帝なのかもしれない。
by 珈琲好き
喪中です。