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[2010年08月13日(金)]
【MLB】A・ロッド、600号本塁打の偉業と米国内の冷ややかな反応

水次祥子●文 text by Mizutsugi Shoko
Getty Images●写真 photo by Getty Images
画像(124x180)・拡大画像(412x594)

史上最年少で600号本塁打を達成したアレックス・ロドリゲス

 ヤンキースのアレックス・ロドリゲス内野手が史上最年少で歴代7人目の600本塁打を達成したが、米国内での反応は予想以上に冷ややかなものだった。

 大記録を達成したのは現地8月4日のブルージェイズ戦。先発右腕のショーン・マーカムから今季17号、通算600号の2ラン本塁打を放った。ヤンキースタジアムのバックスクリーンには「アレックス、600号おめでとう」の文字が映し出され、お祝いムードを演出。だが、地元ニューヨークの有力紙デイリー・ニューズの翌日の裏一面には「汚れた大記録、おめでとう」と、皮肉たっぷりな見出しが躍っていた。

 600本塁打を達成する選手が今後何人現れるだろう。現役選手で一番近いのはジム・トーミ(ツインズ)で578本(8月10日現在)だが、39歳という年齢を考えると、来季以降契約する球団があるのかどうかも分からず、微妙な状況だ。メジャー屈指のスラッガー、アルバート・プホルス(カージナルス)はまだ30歳という年齢で、600本まであと約200本。十分に到達可能な数字ではあるが、最近は故障も多く先のことは予測がつかない。

 とすればA・ロッドが最後の600本塁打達成打者となる可能性があり、少なくとも当分他に現れそうにないため、本来ならもっと騒がれ、称賛されてしかるべきだっただろう。

 だが、レンジャーズでプレイした03年にステロイドを使用したことを自ら認め、薬物使用がもっと長期間に及んでいたのではないかという疑惑まである選手に、温かい拍手を贈るファンやメディアは多くはなかった。

 批判的なメディアの中には「A・ロッドは野球詐欺だ」と刺激的な見出しを躍らせ「彼のすべての記録はステロイドのために、永遠に汚れたものであり続ける」とA・ロッドの記録を完全に否定したものもあった。米ヤフーの有名野球コラムニスト、ジェフ・パサン氏は「A・ロッドに対する大衆の怒りは、彼はステロイド時代にクリーンでいれば、その素晴らしい才能で野球界の汚名返上に貢献できたかもしれないという無念さの現れ」と指摘している。

 実際、米国に行くと現地の人々のA・ロッドに対する嫌悪の情を肌で感じることがある。私が渡米したときの入国審査の際、係官が私のビザを見ながら「野球記者? ヤンキースの取材はするの?」と聞いてきて、さらに「オレはA・ロッドが大嫌いなんだ」と言い、それを聞いていた隣の係官まで「オレも嫌いだよ」と言ってきた。入国審査の場がアンチA・ロッドで盛り上がるという、思わぬ出来事に接したのだ。

 冷ややかな声が多い中、もちろん同情的な意見もある。ヤンキースで4年間一緒だったジョー・トーリ監督(ドジャース)は「彼に薬物のことが永遠について回るのは不幸なことだ。私が一緒にやった選手で彼ほど熱心に練習をする者はいないのに」とかばっていた。

 もっとも、トーリ監督は昨年2月に出版したヤンキース監督時代の回顧録で、A・ロッドの自己中心的性格や陰で仲間から「A・フロード(詐欺師)」と呼ばれていることなどを暴露し、大きな話題となった。それだけに、同監督がいくらかばったところで誰もそれを文字通り受け取る者はおらず、むなしい慰めはかえってA・ロッドの孤立感を際立たせているかのようだった。

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