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[2010年11月11日(木)]
【MLB】ピート・ローズが語る「イチローはもっと強いチームでプレイすべきだ」

奥田秀樹●文・写真text&photo by Okuda Hideki
画像(180x135)・拡大画像(640x480)

通算4256安打のメジャー記録を持つピート・ローズ

――球界を離れて20年以上経ちますが、現在のメジャーを見て感じることはどんなことですか。
「この前、テレビでダイアモンドバックスの試合を見ていたら、打率2割以下で、三振が200を越える打者がいた。それでも32本塁打だから試合に出してもらえる。最近は狭い球場が多く、ホームランを打ったほうが給料が良いから、この手の選手が増えているが、野球にとってはよくないことだと思う」

――あなたはホームランが少なかった。 
「私は反対方向に強い打球を打つのが得意で、よく外野の頭を越えたが、当時の球場ではそれがホームランになることはなかった。外野が広かったからね。私の時代のパワーヒッター、ウイリー・メイズやハンク・アーロンでさえ、反対側にホームランを打ったのを見た記憶がほとんどない。当時ホームラン王になるのは引っ張り専門の打者だけだった。それが今の球場は狭くなって、反対方向でもライアン・ハワードのように簡単に柵越えしてしまう。私はシーズン16本が最高だったが、今の球場なら25本はいくだろうね」

――ホームラン偏重で野球の質が低下していると。 
「昨年のWBC決勝の日本対韓国は素晴らしいゲームだった。基本がきちんとできていたし、メジャーの選手も見習うべきだ。70年代、80年代、当時から私はアメリカの選手は一度日本に行って、彼らの練習態度から学ぶべきだと主張していた。メジャーリーガーだから、守備がうまいとか、バントがうまいということは決してない。誰だってきちんと練習しないとうまくなれない。それと私の現役時代は、ゲームが終わると、クラブハウスで、その試合のすべてのアウトがどういう状況で起きたか、みんなでおさらいしたものだった。野球は状況に応じて、プレイの仕方が変わるゲーム。次の日まで待たず、記憶が新しいうちに確認作業をしておく。こういうことは大事だが、今ではほとんどおこなわれていない」

――イチローと同じ2001年にデビューしたアルバート・プホルスも、10年連続30本塁打、100打点を達成しましたが?
「プホルスも幸運だったね。だがはっきり言うけど30本塁打、100打点を10年続けるより、200安打を10年続けるほうが断然難しい。理由は明らかで、いったい今年何人200安打に届いていたかだ?イチローが214安打、ヤンキースのカノーがちょうど200安打、ナ・リーグはゼロだ。一方で今季本塁打を一番たくさん打った打者は54本で、30本なら大勢いる(18人)。100打点はもっといた(25人)」

――以前ゲーリー・シェフィールドがシングルヒットだけ狙えば200安打は打てると豪語したことがありましたが。 
「それはどうかな。私はヤマを張るのではなく、速球のタイミングでボールを待っていた。というのは長い選手生活で、速球より速い変化球はゲイロード・ペリーのスピットボールだけだったからね。速球を待っていれば、他の球種が来ても対応できるし、打ち返せる。カーブに合わせていたら速球には手が出ない。一方、シェフィールドのようなホームラン打者は球種とかコースにヤマを張っている。そしてホームランをたくさん打つ代わりに、三振も多くなり、死球も増える。外角のスライダーを待って内角に速球が来たらよけきれないからね。イチローは私と同じタイプだと思う。ヤマを張らないかわりに何が来ても対応できるから200安打も打てるんだ」

――あなたとイチローは共通する点が多いようだ。 
「彼がどれだけ野球が好きで、ヒットを打ち続けることがどれだけ大事か。いい通訳をつけて、じっくり野球の話をしてみたいね。」

――バットも同じミズノ製を愛用していました。 
「私がメジャーリーガーで最初にミズノの道具を使うようになった。1979年、日本を訪ねたときに、ミズノの社長さんと会って大阪で契約、シューズもグローブもミズノ製を使うようになった。その年はフィリーズに移籍した1年目で、スポーツイラストレイテッド誌の表紙を飾ったり露出も多かった。おかげでミズノのロゴが注目されアメリカでも人気が出たんだ。その後も最多安打はじめ、記録のほとんどはミズノのバットで達成している」

――現在のメジャーで最高の一番打者は誰だと思いますか?
「ジーターもいいけど、やはりイチローだね。彼を見ていつも思うのは、いいチームに行ったら、もっと評価されるのにということ。今年のイチローは得点数がすごく少なかった(74得点)。でもいいチームなら、120得点から130得点に届く。気の毒に思うのは、悪いチームでは、結局は個人記録しか目標を見つけられないこと。チームのためにプレイしろといっても難しい。私だってずっとマリナーズにいたら、通算2165得点なんて無理だった」

――イチロー選手は移籍すべきだと?
「今年なら、ヤンキース、レイズ、レッズのような強いチームでプレイすべきなんだ。ジーターのように全米でテレビの露出が増え、イチローのプレイを見る機会が増えれば、それはアメリカの野球ファンにとっても素晴らしいこと。守備でも、走塁でも、本当にいいプレイをするからね。もし私が彼の監督なら、毎シーズン、300出塁を目標にさせたい。具体的には220本のヒットと、80個の四球。彼なら可能だし、そうすれば出塁率は常に4割か4割近くになり、さらに得点の機会が増えるだろう」

――イチローの最も素晴らしいと思うことは何ですか?
「ホームランは打たないが、守備でも走塁でも打撃でもいろんなことができる。タイ・カッブもそういう選手だった。イチローが引退するときは、私のようにホームラン、三塁打、二塁打、すべてで通算100を越えるだろう。今の野球はこういう選手をもっとリスペクトしなければならない。今の時代に、イチローのような選手が巨額の契約をしているのはとてもいいことだと思うよ」

【Information】
ピート・ローズ インタビュー
「日米通算だろうがオレの記録は抜けないよ!」

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