日本相撲協会の放駒理事長(63)=元大関魁傑=が「ガバナンスの整備に関する独立委員会」の木暮浩明委員(伊藤忠商事理事)から協会の理事総辞職の提言を受けていたことが7日、分かった。特別調査委員会による八百長問題の調査を一定の期間で区切り、全容を解明できなかった場合は、外部理事を増やした上で“総選挙”を行うべきだという内容で、夏場所開催のためのやむを得ない処置だとしている。
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夏場所(通例=5月・両国国技館)を開催するためには大きな犠牲も仕方がない。木暮委員は八百長問題の究明に奔走している放駒理事長の手腕を高く評価した上で、「3月末までというように期限を区切り、問題を解明できなければ理事全員が退任するということです」と、総辞職案を語った。
木暮委員によると2月中旬に手紙とファクスで、複数回にわたって理事長に伝えたという。明確な返答は来ていないが、「やめるということを今の時点で口に出せるはずもない。参考にはしてくれているようだ」と胸中を思いやった。
提言は総辞職だけにとどまらず、新しい理事を決める総選挙にまで及んでいる。その際に立候補できる人材を、2月17日に独立委が出した協会の組織改革案にならい「部屋の師匠は立候補できないようにするべき」と絞り込んだ。このルールだと武蔵川親方(元横綱三重ノ海)以外、全員が立候補できなくなる。
その上で「投票権がなかった人も含めて全協会員で選挙をやるべき」とした。さらに、外部理事を5人に増やし、政財官の各界から1人ずつ新たに招へいして、理事長に外部理事を据えるというプランも披露。自身の人脈も生かして、「小泉(純一郎)さんや石原伸晃さん(自民党幹事長)でも呼んだ方がいい」と続けた。
木暮委員は「3月までに(開催を)決めないと5月場所は開けない」と警鐘を鳴らす。調査委は携帯の解析など調査に「あと1カ月はかかる」としており、夏場所開催は不透明な状況。問題の完全究明まで頑として本場所を再開しない意向の理事長が、厳しい“現実”を前に決断を迫られている。
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