自宅からほとんど外出せず、家族以外と交流しない「ひきこもり」について、兵庫県などは主な支援機関や団体へのアンケートを通じ初めて県内の実態調査を実施、10〜60代の1471人を確認した。本人が直接回答するなどしたのは786人で、このうち7割を20〜30代が占めた。50、60代もそれぞれ30人以上に上った。(井関 徹)
調査は、県などでつくる「ひょうごユースケアネット推進会議」が、ひきこもりの現状を把握し、支援に生かすために実施。昨年5〜9月、健康福祉事務所などの公的機関(17カ所)と民間の支援団体(12カ所)、家族らにアンケートや聞き取りを行った。
確認できた1471人のうち未回答を除き、男性は1114人と、全体の約76%を占めた。
本人が直接回答するなどした786人の年代の内訳では、20、30代が合わせて73%を占め、将来への不安や周囲の期待が重圧になっていることをうかがわせた。一方、40代以上も18%に上り、仕事で「燃え尽き」、ひきこもりになったとみられるケースも少なくないという。
全体1471人のうち35%は小中高校時代に不登校を経験。ひきこもるようになった年齢は、回答のあった187人中、10代が65%と最多だった。ひきこもりの期間は、100人が7年以上で、最長は41歳の男性の12年だった。
県などによると、回答からは「自分を守るためのやむを得ない行動」との意識がある一方、「激しい罪悪感」や「人や社会への恐怖」「自己否定と自己バッシング」が伴う傾向が見えたという。
内閣府は昨年、ひきこもりの人が全国で約70万人に上ると推計。同会議座長で県立神出学園の小林剛園長は「確認できたひきこもりは氷山の一角で、支援を受けずにいる人がたくさんいる。まずは親や家族が真っ正面から受け止め、専門の支援機関に相談してほしい」としている。
同会議による電話相談は、月、水、金曜日の午前10時〜正午と午後1〜4時(祝日や年末年始は休み)。専用電話TEL078・977・7555
(2011/03/08 17:00)
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