おととしの9月、鳩山由紀夫氏を首相にいただく民主党政権の船出にあたり、乗客の国民には期待が半分、不安が半分と書いた。寄り合い所帯の政党だけに、「船頭多くして…」で困るのは乗客、とも書いた
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それからの船旅は、期待がしぼむ半面、不安が膨らんだ乗客がおおかたではなかろうか。船名は「鳩山丸」から「菅丸」へ変わったけれど、逆風は強まるばかりだ。そこへ腕利きの乗組員で外相の前原誠司氏が、自らの「政治とカネ」の問題で船を下りた
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政治資金規正法に触れる外国人からの寄付を受けていた。年5万円の単位の献金をしていたのは、家族ぐるみの付き合いがあるという72歳の女性。京都市内で焼き肉店を経営する在日韓国人である。前原さんによれば、中学2年生の時から親交があるが、献金のことは知らずにいた
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中学2年といえば、前原さんは父親を自殺で亡くしている。この女性や同年齢の息子との交流は、何らかの支えになったのだろうか。外国人の政治献金が違法であるのを、女性は「知らなかったし、知っていたらするはずがない」と話す。それを信じたい
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やりとりが故意ではないにしろ、決まりは決まりだ。国会での説明も求められる。こう書いてきて、あらためて気がついた。説明責任を果たさない船頭の多い党だ、と。鳩山さんしかり、小沢さんしかり。乗客は立ち尽くすしかないのか。