柳美里「ソウルで自分のルーツ探す戯曲を書きたい」(下)

20年前に書いた『向日葵の柩』、韓国で公演

 作家になる前、柳美里の人生は挫折の連続だった。16歳のとき高校を退学し、家出した後、劇団に入った。3年間俳優として訓練を受けたが、配役と自分自身が衝突し、失語症に苦しんだという。自殺未遂を起こしてからは、家族や自殺を主題に戯曲を書き始めた。『向日葵の柩』は7番目の作品だ。

 「昨年、自殺をテーマにした小説を発表した。自殺サイトの会員たちの自殺を見守る15歳の少女が主人公。日本では年間3万人が自殺するが、人々は無関心だ。地下鉄の電光掲示板に『人身事故により運行が遅延している』という案内が流れても『きょうはこれで遅刻だ』と傍観するだけ」

 柳美里もまた、抗うつ剤を服用しているという。柳美里は「私の作品は葬式だ」と言ったことがある。バラバラになった家族をもう一度集めるには、誰かを殺すか自分が死ななくてはいけないという。柳美里は「私はいつも死を考えている。未来や希望という単語はなく、いつも過去が待ち構えているという感じ」と話した。

 「私の作品は数カ国で翻訳されましたが、韓国で一番多く売れた。私が描く人物は『いるべき場所がない人たち』。どの社会にもそのような人たちはいる。彼らのために書くことが私の宿命」

朴敦圭(パク・トンギュ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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