昨日、各省庁の大臣政務官(与党議員)の会議で、国会質問を行う際に各省庁へ行う質問事前通告を2、3日前には知らせるように要請することが申し合わされ、「提言」として各党に申し入れることになりました。
国会の本会議、各委員会、調査会で議員が質問を行う内容は、答弁予定者に前日までに知らせることが慣例となっています。(例えば、総務委員会で大臣に質問するのであれば、質問内容を総務省の役人に伝える)
でも、明日、明後日に衆参両院で開かれる予算委員会では、社会保険庁の保険料免除疑惑についての集中審議、福井日銀総裁が村上ファンドに投資していた件等を聞く審議が開かれます。質問者は、質問ぎりぎりの時間まで情報を入手し、質問で反映されるような努力を行います。また、前もって審議される法案内容がわかっていたとしても、質問前日までに関係者の声を聞いたり、独自の取材の結果を質問に反映させるものです。
特に、各省庁は、野党に対しては要求した資料をなかなか提出しないので、自分で調べる準備には時間がかかります。それでも、質問通告を行わないと、実際の質問時に、「通告を受けていませんので、今、お答えできません」と大臣が応えないことが多々あるので、必ず、前日までには通告を行うものです。
今、どうして、与党からこの通告を2、3日前までにさせるような申し入れが行われるのか。
それは、今国会が延長されることなく終わってしまい、政府与党に対して都合の悪い問題を先送りしたからだと思います。
秋に開かれる臨時国会では、米国産牛肉輸入再開、ライブドア、村上ファンドの問題、共謀罪法案、教育基本法法案、社会保険庁の不正等々、与党にとって積極的に審議に応じたくない問題が山積しています。質問の2、3日前までに通告を終わらせる仕組みにしてしまえば、仮に、質問前日に新たな問題が発覚しても、「通告を受けていない」で答弁を逃れることができるのです。
しかも、与党議員の質問はほとんどの場合、各省庁の役人が作っています。自分で質問を作る努力をしたことがない議員は、野党の質問を作る努力を知りません。また答弁する立場の議員ならば、野党の質問をなんとかして難しいものにしたくないと思うのではないでしょか。
先日、ある役人が言っていました。
「野党の質問の答弁を作るのも大変だけど、与党の先生の質問を作るのは気を使う」
「だって、この漢字読めるかな。文脈はわかってくれるかな、と考えるから」
はい〜ぃ?
でも、気をつけないと今は巨大与党。数の力でこの申し入れが通ってしまう可能性もあるのです。
そうなれば、野党の質問が制限されます。大臣答弁に応えなくてもいい根拠を与えてしまう恐れがあります。
2、3日前から決まっている質疑応答は、国会を活性化させないということは強く指摘をしておきます。