2011年3月7日23時42分
世論調査で人気の高かった前原誠司氏を外相辞任に追い込んだことは、自民党の政権奪還戦略にとって大きな意味を持つ。「ポスト菅」の本命をつぶし、不人気の菅直人首相のまま、解散・総選挙に追い込むことが、理想的な展開だからだ。
自民党は今国会、野田佳彦財務相、蓮舫行政刷新相、枝野幸男官房長官ら、ポスト菅世代を狙って次々とスキャンダルを追及した。中でも力を入れたのが、前原氏だった。
先月21日の衆院予算委員会。保守派論客である稲田朋美氏は、前原氏が1992年と99年に北朝鮮を訪れていることを指摘。前原氏に「よど号」乗っ取り事件の犯人と「平壌市内のホテルでばったり会った」「(一緒に)写真をとった」と認めさせ、北朝鮮と前原氏の親密ぶりを印象づけることに成功した。
そんな中、西田昌司参院議員のもとに京都の支援者から「前原氏を熱心に応援している飲食店がある」との情報提供がもたらされた。調べると経営者は在日韓国人であることを公言し、前原氏に献金をしていた。「これはいける」。西田氏は直感したが、女性が日本国籍を得ているかどうかについては詰め切れなかった。
4日の参院予算委。「その方は日本国籍はお持ちなんでしょうか」。西田氏はかわされるのを覚悟で聞いたのだが、前原氏はあっさりと認めた。「在日の方であります」
前原氏が辞意を表明したのはその2日後だった。(渡辺哲哉)
中東に駐在し、日々、中東の動きに接する川上編集委員が、めまぐるしく移り変わる中東情勢の複雑な背景を解きほぐし、今後の展望を踏まえつつ解説します。エジプトからの緊急報告も。