前原誠司外相が辞意を固め、菅直人首相に伝えた。前原氏は政治資金規正法が禁止している外国人から政治献金を受け取っていた事実が判明しており、その責任を取った。
政権を支えてきた有力閣僚の辞任は、求心力低下が際立つ菅首相にとってさらなる打撃となった。
前原氏の政治資金問題は、4日の参院予算委員会で自民党が追及し、明らかになった。前原氏は6日夜の記者会見で、在日外国人の飲食店経営者から合わせて25万円の献金を受け取っていたと説明した。
政治資金規正法は、外国人や外国法人から政治活動に関する寄付を受けることを禁じている。故意に破ると3年以下の禁錮か、50万円以下の罰金が科される。罪が確定した場合には公民権停止となる。
前原氏は「献金の事実を知らなかった」と釈明したが、明白な法律違反であり、軽率な行為だったことは否めない。日本外交を担う外相としての適格性を疑われるもので、辞任は当然だろう。
前原氏の政治資金を巡っては、脱税事件で起訴された男性の関係会社に、自らの政治団体がパーティー券を購入してもらっていたなどの疑惑も表面化している。政治資金の扱いがあまりにずさんであり、脇が甘いと批判されても仕方があるまい。
2009年の政権交代以降、民主党議員の「政治とカネ」の不祥事が相次いでいる。これが政治不信を高める一因になっている。「政治とカネ」の問題がこれ以上、広がらぬよう、党としての対策を真剣に検討すべきである。
前原氏がわずか半年で外相を辞任することは、手詰まり感が強まっている菅政権の外交政策に悪影響を与えるのは必至である。
今後の政権運営への影響も深刻だ。野党側は変更手続きを忘れて年金保険料が未納になっている主婦の救済問題を巡る不手際で、細川律夫厚生労働相の問責決議案を提出する構えをみせる。閣僚の「辞任ドミノ」が現実味を帯びており、まさに崖っぷちに追い込まれた感がある。
前原氏は「ポスト菅」の有力候補だった。今回の辞任で、次の代表選に前原氏が名乗りを上げるのは困難になったとの見方が広がっている。民主党にとっては「ポスト菅」の有力カードを一枚失った形である。
前原氏の辞任で自民党など野党は勢いづいており、国会での与野党協議の機運は一段と遠のきかねない。首相は捨て身の覚悟で、マニフェスト(政権公約)を見直し、野党との打開の糸口を探るしかない。
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