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【格闘技】

橋本大地 壮絶デビュー 天国の父に「ここまで来ました」

2011年3月7日 紙面から

試合後、コーナーポストに上り、ガッツポーズする橋本大地(武藤健一撮影)

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 18歳の破壊王子がプロレスラーデビュー、壮絶なギブアップ負けを喫した。2005年夏に脳幹出血で急死した“破壊王”橋本真也さんの長男、橋本大地(18)が6日、ゼロワン両国大会でデビューを果たした。父の親友だった蝶野正洋(47)とシングルマッチで堂々渡り合ったが、13分38秒に力尽きた。試合後、リング上から天国の父に対し、独り立ちを報告した。

 「僕の父親が聞いてるかどうか分かりませんが…。やっと、僕、ここまで来ました。支えてくれたみなさん、ありがとうございました」。キックを何度も受けた胸を赤く腫らしながら、大地が天を見上げて報告した。父が急死して6年足らず。当時中学1年だった少年はしっかりした骨格を持つ青年となり、父の親友と相まみえた。

 出番の直前は、控室前で入念にステップを確認。その顔は蒼白(そうはく)で、高校を卒業したばかりの18歳は緊張感に押しつぶされていた。ゼロワン代表で大地の後見人である大谷晋二郎から「大丈夫だ。練習したことを出せばいい」と言われても、どこか上の空。ところが、父のテーマ曲「爆勝宣言」が大音量で流れ出すと、目つきが変わった。

 橋本コール一色のアリーナに、父と同じ白い鉢巻きを締めてリングへ。パンタロンだった父とは違ってショートタイツではあるが、黒地に赤のラインが入ったデザインも同じだ。ゴングが鳴り、ヘッドロックで締めあげられると悲鳴を上げたが、ロープブレークの離れ際に張り手を仕掛けてスイッチオン。空手仕込みの左キックでダウンさせ、レフェリーの制止も振り切ってストンピングの嵐。父が得意にしていた重爆キック(ミドルキック)やフライング・ニールキックもたたきこんだ。

 とはいえ、キャリア26年の大御所と渡り合えたのは10分まで。初体験の場外乱闘の際、薄いマットを敷いただけの床の上にパイルドライバーで頭をたたきつけられて半失神。なんとかリングに戻ったが、再度パイルドライバーでくし刺しにされて顔面キック、そして父も対戦するたびに苦しめられたSTF(ステップオーバー・トーホールド・ウイズ・フェースロック)でとどめを刺された。

 試合後も、しばらく立ち上がれなかった。「おい、立て」と蝶野にマイクを渡されて、ようやく正気を取り戻した。地方の名もない特設リングで第一歩を踏み出した父と違い、100人近い報道陣注視の中、いきなり東京の大会場でデビューした青年は、背負うものがあまりに大きい。だが、試合後に橋本コールをした観客はいない。けれん味のない闘いを見る者の心に届けた大地は、いつの間にか声援を大地コールに変えていた。(大西洋和)

 

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