2011年03月02日

ある日オカマに訪れる危機 其の拾肆 対峙

扉が閉まると同時にガクっと膝の力が抜け
その場に片膝を着き溜まりきっていた疲労が一気に押し寄せた
ラヴ子『こんなところで立ち止まる暇は無いのよ・・・』
再び立ち上がり、呼吸を整えたラヴ子は廊下を走り出した。

〜リムサ・ロミンサから北側の海岸〜
ロッティ『と、言う訳で雲の流れが集中しているリムサへ急がなければならないのです』
半蔵『なのぢゃ』
既に夜になっていたが街から少し離れた海岸に無事に上陸出来た3人はリムサ・ロミンサに向かって走っていた。
トニ子『なるほど、じゃぁ大勢のギャザラー、クラフターが大至急必要だって事ね、でもまさか本当にそんな事態に・・・』
半蔵『本当かどうかなんぞ迷っている時間はもう無いんぢゃよ!儂達はこのままリムサへ向かって素材を集める!お主は人を集めてくれるか』
トニ子『任せて頂戴な、トニ子張り切っちゃう!行くわよ!トニ子エキサイティングタァァァーーーーボ!!』
勢いに乗ったトニ子は2人のララフェルをひょいと両肩に乗せ猛ダッシュで走り出した。
ロッティ『あいぁぃぁぃぁぃ、これは早いですぅぅぅぅ』
半蔵『最初からこうすれば良かったのぅのぅのぅのぅ』

〜巴術士ギルド地下〜
ラヴ子がギルドマスターの部屋に入ると人影は無く
代わりに机には一枚の羊皮紙が置いてあり手にとってその書かれてあった文章を読んだ。


 
これを誰かが読んでいると言う事は私は既にこの世に居ないものであろうと思う
やはり神が創造された自然の摂理を曲げる事は何者であってもしてはならないと言う事を私は忘れてしまっていた。
不意に訪れた甘い話に長い間燻っていた過去の理想に囚われ周りが見えなくなってしまい
忠告をくれた者も奴の言うまま排除してしまい決して手をつけてはいけない禁忌を私はその手で実行してしまった。
おそらく最初から奴は私の理想など毛頭も無く、私とこのギルドを利用するだけのつもりだったのであろう
亡者達の軍勢は最初の段階では忠実であったが、いざ作戦実行となると私の手を離れ
私以外の何者かの命令で動いている、ギルドを制圧しろとは指令したが何も罪の無い民や冒険者達を攻撃しろとは決して言っていない。
そこでようやく私は騙された事を知り自分の犯してしまった罪の大きさに大いに悔んだ
こんな大罪を犯した愚かな私が今更何を言っても許されないとは思うが
誰かにはこの事実を知って置いて貰いたい。
私はこれからギルドマスター、いや世界を混乱に陥れた張本人としてけじめをつけに行く。
奴等の力は余りにも強大で禍々しい。私一人の力で勝てるとは到底思っていない
しかし一つだけ知っていて欲しい私はエオルゼアを、この世界を愛している。

  

震えた文字で書かれたその文には後悔と悲しみ、そして覚悟が痛いほど伝わってきた。
文字をゆっくりと指なぞるラヴ子
ラヴ子『まだインクが乾いて間もないわね、急がないと』
師範から教えられた石像を探すと、部屋の角の本棚に背中を向けて置かれている小さなオポオポ像を見つけた。
その前まで行きメモの呪文をゆっくりと詠唱する。するとオポオポ像の尻尾が回転し部屋の中心に魔方陣が現れる。
それはギルドマスターが有事の際に使う転送用魔方陣であり予め指定の座標を登録しておくタイプのものだった。
ラヴ子『ここへ飛び込めって事ね、そいやっ!』

魔方陣に足を踏み入れると転送の魔法が発動しラヴ子は瞬時に薄暗い部屋に移動した。
そこには血を流して倒れている一人の老人が居た。
上質なローブを纏っており見ただけで高位のギルド関係者である事が理解出来た。
老人『ゴフッゴフッ!そこに誰か・・・・居るのか・・・・』
まだ息があるらしくラヴ子は駆け寄り抱き上げると息も絶え絶えな老人は小さな声で喋りだした。
老人『私は巴術ギル・・ドのマスターじゃ、お主が誰であろうといい奴を・・・奴を止めてくれぃ』
ラヴ子『喋ると傷が開くわ、待ってなさい今ポーションで・・・』
ギルドマスター『もぅ・・・もぅいい・・自分が助かるかどうかの傷位わかるわい。それより・・これを・・』
マスターから一つの小さな赤いクリスタルが手渡された。中に小さな炎がゆらゆらと揺らめいているのが見える。
ギルドマスター『これは昔私が・・冒険者だった頃・・・ある部族から手に入れた・・クリスタルじゃ、・・・使い方次第では何かの・・・・・助けになるかもしれん、持って行け・・・』
ラヴ子『解った、解ったからもう喋っちゃ駄目よ』
巴術士ギルドマスター『最後に・・・・これを伝えて・・欲しい・・ギルドの仲間達・・・そし・・てリム・・サの民よ・・・冒険者・・達よ・・・本当にすまなか・・・・・』
言葉途中でマスターは目を見開き大粒の涙を流しなら力尽きた。
開いたままの目をゆっくりと閉じさせてラヴ子は亡骸を床に寝かせマントを被せた。
ラヴ子『無念だったでしょうね・・・・その命、アタシでよければ背負うわよ・・・。』

『クックックックァk・・・・kkキーーーヒッヒ』
ふと気付くと薄暗い部屋の奥から、気味の悪い笑い声が響いてくる。
その狂気的な笑い声は次第に近づき、それにつれて姿も確認出来る程になる。
そして薄暗い松明に照らされて声の正体が姿をあらわした。
ラヴ子と同じ位ある身長に彫刻の様な見事に引き締まった筋肉、その肌は白く頭髪は全て剃り上げており
特徴的な顎の部分は発達しその先端は二つに割れている。
そして何より不気味なのは眼球の瞳に当たる部分が白く、顎を引いた状態で
おそらく上目遣いでこちらを見ているのだが一体何処を見ているのか皆目見当もつかない。

その風貌と男が放つこの異様な殺気にラヴ子は本能的に今まで会った事の無い危険を感じていた。
ラヴ子『貴方がうちの子達を可愛がってくれた犯人なのね、そうなんでしょう』
と喋るや否や怒りに満ちたラヴ子の右拳が大男を殴りつけた・・・・・・はずだった。
この間合いとタイミングで拳を外したり防がれたりした事は過去一度も無かったラヴ子だが今まさに自分の渾身の拳が掴まれている事実を
しばらく信じる事が出来なかった。
大男『クハァ・・・アーーー』
そしてその拳を掴んだまま逆の手でラヴ子の腹部に鋭くボディブローが刺さりラヴ子の巨体が少し空中に浮いた。
すかさず追い討ちで浮いた身体に今度は膝蹴りが連続で襲い掛かる。
今まで数々の敵やモンスターと戦ってきたが、こちらから空中で連続攻撃を仕掛ける事はあっても
自分自身が空中で連撃を喰らう事は殆ど経験が無く
ましてやそこまでの力量を持つ人間やモンスターと出会った事がほぼ皆無であった。
しばらく意識が飛びそうになり、目線も虚ろになりかけたラヴ子であったがすぐに意識を取り戻し格闘用の戦闘態勢を取る。
大男は構える事も無く、両手をダランと垂らしまるで挑発する様にこちらに歩いてくる。
初撃で相手のパワーはもしかすると自分より上かも知れないと判断したラヴ子は体の動きを妨げる装備を投げ捨て速度重視のスタンスに替え
手数で勝負のラッシュを仕掛けるタイミングを見計らい体勢を低くして懐へ飛び込んだ。
ラヴ子『フンッ!ハイハイハイハイハイ・・・・イサッパー!!』
そしてうっすら残像が見える程の乱打で相手のボディーに拳を叩き込み最後に渾身のアッパーを放つ。
これには確かな手ごたえを感じたのだが
大男は何も無かったかの様に首をコキコキ鳴らしうすら笑いを浮かべて
悠々と一歩前に進みラヴ子の両腕を両脇で閂に掴みそのまま後方へ放り投げた。
轟音と共に激しく壁に激突し、床に投げ出されるラヴ子。

大の字で仰向けに倒れているラヴ子に追い討ちを掛ける様に大男が足を振り上げ
ラヴ子の顔をまるでボールの様に蹴り上げる、更に馬乗りになりその石柱の様な腕で何度も何度もラヴ子の顔面を殴り続けた。
一発一発が鋼鉄のハンマーで殴られている程の衝撃があり凄まじい衝撃の中、ラヴ子は困惑していた。
空中コンボに投げ技、衝撃の展開に悉く自分の技が通用しない。
そして今、自分はなすすべも無く殴られている、強いとは聞いていたがここまで圧倒的だとはラヴ子自身が一番驚いていた。
やがて意識が谷底に落とされたように薄れていく
そう奈落の底へ

続く
posted by ラヴ子ママ at 22:41| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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