2011年02月25日

ある日オカマに訪れる危機 其の拾 競演

~リムサ・ロミンサ巴術士ギルド前広場上空落下中~
凄まじい風圧で何度も体を持っていかれそうになりながらマリアは黒衣森で優雅にチョコボに乗っていた数時間前を思い出した。
あの時の風はあんなに心地よかったのにどうして今はこんな状況で暴風を感じてるのだろう・・・風が痛い・・。
ラヴ子『もうすぐ地上よ!しっかり掴まってなさい、あと喋ると舌噛むわよ!』
アオ子『はいっ』
アンジー『はい^^ママゆっくりお願いね』
空中では体制を安定させる為うつ伏せになっていたが地面が近くなるとラヴ子は地上に向けて足を延ばし着地体制に入る

まずはドンッ!と鉄球が落ちた様な音が鳴り床石にラヴ子の足がめりこみ、後すぐにギガースの断末魔の様な声が鳴り響く
ラヴ子『フンヌラボォォォォォォァァアアア』
着地の際発生するとてつもない衝撃を下半身から上半身へ順次流していき身体全体のバネと各筋肉で吸収していく
そして吸収しきれなかったその膨大なエネルギーは声に変換し放出させた。髭や髪の毛まで逆立っている。

あの高さからパラシュートも無しで飛び降りたのだから3人は相当凄まじい衝撃を覚悟していたのだが
意外にもほぼ0に近かった。改めて思うがこの人は本当に自分達と同じヒトの枠で括って大丈夫なのだろうか・・・?
尋常では無い身体能力に疑問を感じる間も無くラヴ子が口を開く
ラヴ子『ふぅ、自分の面倒は自分で見なさい、以上。行くわよ』
アンジー『はいママ^^』
マリア『そっちこそ私の獲物取らないでよね』
アオ子『お姉様とこんなに密着して一緒に戦闘・・・夢の様ですわ』

戦闘装備のラヴ子がナックルの重さを体に馴染ませる為に腕をぐるぐると回しながらゆっくりと歩き出す
そしてその両手を胸の前で一度打ち鳴らし大きな金属音が聞こえるや否や、砂埃をあげて走り出した。
そのすぐ後ろにアンジー、少し遅れてアオ子が続く、殿はマリアが努める。
見張りの亡者達が一斉にこちらに気付き虚ろな眼を大きく開くと、まるで玩具を見つけた猛獣が笑っているかの様な表情をして襲い掛かってくる。

進行を遮る様に振り下ろしてきたグラディウスの刃を左ナックル金属部分で受け止める。
キィン!と甲高い音が鳴りそのまま力任せに押し弾きよろめく敵に右の正拳突き。
その傍に居た敵に回し蹴りをヒットさせその勢いを殺さないまま一度軽くバックステップをし、更に後方の次の敵に対して
今度は空中で一回転し浴びせ蹴りをヒットさせる。そして素早く立ち上がると腰の撲殺棒を抜き後方に大きく振りかぶる。
ゴゥ!と風の唸る音がしたかと思うと半円状に居た数人が爆発に巻き込まれたかの様に吹き飛んだ。
アンジー『ママ!二時の方向!』
その声に反応し射られた矢を撲殺棒の幅広い刀身で受け、続け様にその矢を抜き
すぐ隣から襲い掛かろうとしている亡者に容赦無く突き刺した。

先頭を走るラヴ子の射程距離に進入してくる敵は数秒と持たずに
爆走する黒い重戦車に次々と薙ぎ倒されて行った。

そして両サイドと空中を含む少し離れた中距離圏は、普段の緩やかな印象とは裏腹に無骨な斧槍(ハルバード)を構えたアンジーがまるでバトンでも扱うかの様に次々と仕留めていく。
非力ではあるがその長い手足と柔軟な肢体を生かし恐るべきリーチで次々に亡者達を貫いて行った。
その斧槍は銘匠五指の1人Fath会心の一品であり、驚くほど軽く弾力に富んでおりそして群がる亡者達を貫き斬り続けても濡れた様に鈍く光る刃が欠ける事は無い。
ラヴ子が捌き切れなかった亡者が短剣を手にアンジーに襲い掛かる、それを一瞥してハルバードの柄の部分で弾いてから一突き。
反対側からバルビュートやホーバージョンで重武装をした3体の亡者が両手斧を手に時間差で襲い掛かる。
まずは上体を低くし穂先部分で鎧の継ぎ目に向かって一撃を与え、更に少し手前にいた二体目には突き刺した穂先を勢い良く引き抜く動作でそのまま刃のついたフック部分で足元を狙って転倒させる。そして最後の一体には素早く左回転をしその後、遠心力を利用し破壊力を増した斧部分が亡者のこめかみにヒットしバルビュートを粉砕した。
そして背後から追い付いてくる敵にはまるで意思を持つかの様なマリアのウィップが容赦無く唸りをあげ、乾いた音を響かせながら
次々と亡者達を引き裂いて行く。
ウィップの先端部分はあまりの早さの為、ほぼ肉眼で捉えることが出来ないが手元のグリップ部分だけは目視する事が出来る。
マリアの手が右、左と軽く振られる度に数人の亡者達が何が起ったか解らないまま倒れていく。
運よくウィップの餌食にならずに済んだ亡者にも今度は、アオ子の精霊魔法が待っていた。
彼女の詠唱はまるでセイレーンが耳元で囁くように聞こえたと思えば、詠唱の終盤には一転し力強くバトルソングを唄うドワーフの僧兵の様に鳴り響く
そして詠唱が終わるや否や次々に炎や冷気、雷撃が亡者達にに襲い掛かる。

ラヴ子が少し前方に抜けてベヒーモスの突進の如く亡者達を弾き飛ばして行く後方で
時間が経つに連れて彼女達の3人の連携速度も上がり始め、マリアのウィップが変則的ではあるが節を刻み空気を切る音が美しい音色を奏で出す。
呼応するかの様にアオ子の詠唱がまるで賛美歌の様に高らかに鳴り響き、辺りに数本の火柱と氷柱があがる。
アンジーがハルバードを巧みに使いその複数の火柱や氷柱を掻い潜り黒衣森でシルフが舞うが如く縦横無尽に亡者達を打ち伏せて行く。

マリア「!?アオ子、危ない!」
詠唱中で無防備なアオ子が一体の亡者が迫る。
アンジー「マリア姉さま、これをっ!」
放り投げたハルバードをウィップで絡め取り一振りすると勢い良く亡者に突き刺さった。
手首で捻りを加えもう一振りするとハルバードはくるくると回転しながらアンジーの手元に戻り再び戦いの舞いを再開する。
詠唱が1オクターブ上がり術式が完成すると、金色の蛇の様に地面を這う雷撃が赤と青の柱の間を縫う様に走り出し
それはアンジーとぎりぎりの位置で並走し次々と亡者達を飲み込んでいった。
そして最後の一体を飲み込んだかと思うと
舞台の終幕を知らせるかの様に一際大きな雷撃の轟音が鳴り響き辺りが一瞬昼間の様に明るくなる。

しばらく経つと静寂が訪れ
その場で動いているのはラヴ子達だけになっていた。
アンジー『これだけ?何だか拍子抜けね^^』
マリア『まぁこんなもんじゃないの?』
アオ子『・・・素敵でしたわお姉さま(うっとり)』
ハルバードに持たれかかりながらアンジーとマリアが談笑していると遠くをじっと見つめていたラヴ子が急に走り出した。
何かを察知したアオ子がすかさず全員にシェルとプロテスを詠唱し防御体制に入る。
マリア『どうしたの!ママ』
ラヴ子『貴女達はそこ動くんじゃな・・・グフっ!!』
突如、どこからか禍々しい空気が辺りに充満しその刹那、ラヴ子の肩に一筋の呪矢(ファントムダート)が直撃した。
勢いよく走っていた所に直撃した為ラヴ子はバランスを崩し盛大に転んでしまう。
唖然としているマリア達にも雨の様な霊矢(スピリットダート)が次々と降り注ぐ。
しかし先ほど詠唱していたアオ子のシェルが発動しており柔らかな光に遮られ霊矢の殆どが彼女達に届く事は無かった。
防ぎ漏れた数本を武器で弾きながら霊矢が飛んできた方向を見るとフォレスト色のカウルのフードを深々と被った亡者の呪術師が多数のソーサラーを引連れ現れていた。
彼等が纏う澱んだ雰囲気と霊矢の威力から先ほどの連中とは明らかに強さが違う事が読み取れた。
一方直撃を受けたラヴ子だが、すぐさま立ち上がり再び走り出していた。しかしその足取りは遠目でも明らかに遅くなっていた。
リムサに着いてから、ほぼ休みなしで戦い続けていた疲労がここに来て一気に襲って来たのだった。
ようやく敵の近くまで辿り着き撲殺棒で薙ぎ払おうとするが、呪矢の傷口が思った以上に深く
いつもの様な勢いは無く全力で振りぬけなかった為、何とか数人は倒せたが他には殆どいとも簡単に避けられてしまう。

助けに入ろうとする彼女達だが霊矢の雨が絶え間なく降り続けている為、その場を動く事が出来ない。
そして次第にアオ子のシェルも効果が薄れてきた様で降り注ぐ霊矢の威力を緩和し切れなくなってきた。

更に最悪のタイミングでギルド方面とフェリードック方面から『ガシャン、ガシャン』と金属鎧の不規則な音が聞こえ屈強なルガディンやハイランダーの亡者達が増援として現れた。
マリア『本隊は別に居たって訳ね』
金属音が次第にすぐ近くになり、かなりの数の亡者達が集まりだした。
ラヴ子も呪術師達に攻撃を繰り返しているが殆ど数を減らせていない。
アンジー『ママを助けに行かないと・・・。』
アオ子『でもこの矢の威力はかなり危険ですわ、今から隙を見て再度シェルを張りなおしますので少し待っ・・・』
絶対絶命と誰しもが思ったその時、轟音と共に亡者の一団が吹き飛んだ。

続く
posted by ラヴ子ママ at 11:22| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
早速拝見! 次回が気になります^^
...どのくらいの高さから降りたのか知りませんが規格外すぎw
Posted by シアナ at 2011年02月25日 15:08
まず空を見上げて頂戴、そして飛行機が見える高さ、それ位よ。
Posted by ラヴ子 at 2011年02月26日 08:45
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