〜とある場所〜
背中を中心に体全体が痛い。ところどころにも鈍い痛みが走る。
長い間気絶していたらしい。それにしてもここは何処だ?
そうだ、突然入って来た大男に俺は・・・・待てよ、どんな顔だったか・・・
誰だった・・・思い出せない・・・何度もあっている気がする・・・・・・・そうか!思い出した
この顔だ!
目を開けると大男が覗き込んで居た。
俺は声にならない叫び声をあげそうになるが寸前のところで我慢する。
そして奴は不気味な顔を歪ませてにやりと笑い視界から消えた。
何処に消えたか探そうと思い体に力を入れてみるが動かない
どうやら手、足、腰、首と体の至る所に固定する為の革ベルトがきつく締められ
俺は立ち上がる事はおろか首を動かす事すら出来ない。
そして奴は少し離れた位置で誰かと会話の様なものをしていた。お世辞にも流暢とは言えないが奴の喋る声を聞いたのは初めてだ。
まるで言葉を覚えたての赤子の様な喋り方で何者かと喋っている。
首を動かせないので相手が誰なのかは解らないが、それにしてもおかしい・・・ここには奴と俺以外、人の気配が感じられない。
大男『ワレrノカ・・ミn・・・・ダラtカーヨ・・・iケニ・・・シm・・シタ・・・クハアa・・』
天井しか見えないがそれにしてもここは静かだ・・・一体何処なんだろうか・・・静かさだけで言うと奈落もそう変わんねぇがここは空気が淀み、そして重過ぎる。
しばらくすると奴がまたこちらに歩いてきた・・・何か儀式用の剣の様な物を持っているが・・・!?
おいおい!まさかそれを・・・もしかしてもしかすると俺ここで死ぬ?・・・まだ一杯やりたいことあるよ?食べたいものとかも山ほどあるし、黒猫姉さんとデートすらしてないよ?モリオに貸した海串代もまだ返してもらってないよ?
嫌だーーーーーーーーーーーーぁぁ!!
〜リムサ・ロミンサ冒険者ギルド 溺れた海豚亭〜
ジャガーノートから現れたのは3人のすらりと背の高いエレゼンの女性達と1人の黒いミコッテだった。
4人は群集の中でも一際目立つラヴ子を見つけると表情を変えその元へ駈け寄って来た。
ラヴ子『あら貴方達、どうしてここへ?』
マリア『て言うか、どうしたもこうしたも無いわよママ』
アオ子『お姉様と私達を置いていくなんて、まずありえないですわよね』
アンジー『ママ元気?で今日はどんな殿方のお相手なのかしら^^』
黒ゴマ『おっす留守番は退屈だから来てやったぜ』
バデロン『ラヴ子、この3人の令嬢と一匹は知り合いなのか?』
黒ゴマ『をい』
ラヴ子『うちの従業員達よ、あとペット』
黒ゴマ『をいをい』
マリア『事情は大体モモディから聞いてるわ、あとこれハム子から』
LPをラヴ子に手渡す。
アオ子『あとこれはママの装備ですわ』
愛用の撲殺棒(マクアフティル)と格闘用ナックル、ビスタハーネス、ビスタリストガード他戦闘用装備を受け取る。
アンジー『それと奇襲するならこのジャガーちゃんを使うと便利よママ^^』
ラヴ子『何よこの空飛ぶうまい棒みたいなのは』
アンジー『えっとね、最近よく指名してくれる仲のいいお客さんにお願いしたら貸してくれたの*^^*』
黒ゴマ『一体どんな客だよ・・・・。』
アンジー『お客様のプライベートはナイショよ』
バデロン『おい、本当にこれが帝国の魔道アーマーだとしたらトンデモない代物だぞ、あんたら一体何者だ?』
マリア『私のウルダハにある』
アンジー『お金持ち&素敵なおじ様優遇の会員制バー ファットドードーの』
アオ子『美しいお姉さま&従業員と』
ラヴ子『女帝』
黒ゴマ『。』
その場にいた全員が呆気に取られているのを尻目にしばらく色々相談する5人・・・もとい4人と1匹。
マリア『・・・・えー私は行くわよ。だって・・・・・』
・・・・・・・相談中
アオ子『・・・・ええ勿論私も覚悟は出来てますわ。あら、そういえば・・・・』
・・・・・・・相談中
黒ゴマ『・・じゃあさじゃぁさ、危なくないなら操縦役で、でも・・・・・』
・・・・・・・相談中
ラヴ子『・・・・駄目よ、全員残りなさい、今回は・・・・』
・・・・・・・相談中
アンジー『・・・・私も一応武器とか持ってきたんですが><。あ、もしもし・・・』
・・・・・・・相談中
マリア『・・・絶対嫌よ。いっつもママはそう・・・・』
・・・・・・・相談中
ラヴ子『もう、勝手になさい』
・・・・・・・終了
バデロン『終わったのか・・・?』
ラヴ子『ええ、納得はいかないけどこのままじゃ平行線だからね』
マリア『じゃ、すぐ行くわよ』
次々とジャガーノートに乗り込んで行く面々。
そしてゆっくりと起動し静かにフワリと浮かんだと思うと西の空へ飛び立って行った。
奇妙な髪型のハイランダー剣術士『大丈夫なんでしょうか・・・あの4人と1匹に任せて・・』
バデロン『何故だろうな、俺の中で不安より期待が高まってるんだ・・根拠は無いがな』
少し訛りのある口調のララフェル幻術師『バデロンさんまた大変なの、今度は海上に識別信号無しの艦隊が・・・』
バデロン『何だと!?・・・ったく今日はどうなってるんだ・・・解った今すぐ向かう!』
〜リムサ・ロミンサ上空〜
黒ゴマ『この辺りが多分ギルドの南側広場だけど、巴術師ギルド前で無くていいのか?』
ラヴ子『もしそこが本拠地だったら厳重な警備をするはずよ、だから比較的手薄になりそうな自由に動ける広場から勢いを付けて正面突破するわ』
アオ子『それってどっちにしても正面突破では・・・』
マリア『解りやすくていいわね賛成よ』
アオ子『では勿論私も賛成ですわ』
黒ゴマ『はいはい、じゃぁそこへ降りればいいんだな、それにしても簡単な操縦方法だなぁ』
ラヴ子『待ちなさい、さっき見てて思ったんだけどこれって降りる時と飛ぶ時って隙だらけよね』
アンジー『そういえば、そうね。多分空中戦で使うからあまり機会の無い離着陸時は危険だって言ってた様な気がします^^』
黒ゴマ『そんな極秘情報・・・ホントに誰と繋がってんだよ・・・』
アンジー『ミステリアスが売りです』
その会話を聞いているのかいないのかゲートを開け地上を見ながらラヴ子が一言。
ラヴ子『あー、ここでいいわ』
マリア・アオ子・アンジー・黒ゴマ『え?』
目が点になる4人、その反応を気にせず準備を始めるラヴ子。
右脇にアンジー、左脇にアオ子を抱え、そして背中には事態を飲み込めず驚いているマリアを素早く担いで
ラヴ子『じゃ、行くわよ。あとは頼むわね』
まるで3段程度の階段を降りる様にひょいっと飛び降りる。
そしてあっと言う間も無く落下
マリア『っていうか、ありえなくなぁぁぁぁぁぁい』
ラヴ子の首にしっかりとしがみ付いたマリアが叫びながら落ちていくのを黒ゴマは眉を潜めながら眺めていた。
黒ゴマ『ギャザラーで良かった』
続く
2011年02月25日
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