2011年02月25日

ある日オカマに訪れる危機 其の捌 その理由

〜リムサ北側の蒼茫洋海上〜
物々しい武装をした数隻の軍艦がリムサ方向へ南下している
そのマストには向かい風を張らんで激しくたなびくイシュガルドの国旗
普段リムサ近海で漁師ギルドに登録していない船舶にはギルドからすぐに海域侵入の警告が入るのだが
今はギルドそのものが機能していない為、特に進行に支障は無くかなりの速度で南下をする事が出来ている。
そして先頭を進む一際大きい旗艦の船首にフード付きのマントを羽織った1人のエレゼンが佇んでいた。
品の良い老エレゼン『坊ちゃま、甲板は海風が大変きつう御座います、船内でお休み下さいませ』
そのエレゼンは視線だけを老人に配り飄々と語り掛けた。
ハム子『そろそろ坊ちゃまはやめてくれないかしら?そうねぇ船室のアップルに言って暖かいダージリンだけ持ってきて頂戴、あと上の2人にもね』
品の良い老エレゼン『畏まりました。坊ちゃま。くれぐれも無理をなさらずに』
軽く右手を振りながら前方の暗闇を見つめたままのハム子。
ハム子【アラニー、ピコ、そっからそろそろ何か見えるかしら?】
LPで呼びかけた先からミコッテの声が聞こえる。
アラニー【こちら右舷マスト上のアラニスです、まだリムサは見えませんね】
ピコ【こっちもまだ真っ暗です、寒いよ〜】
ハム子【解ったわ、あとで何か暖かい飲み物届けさせるからそのまま頑張って頂戴】
アラニー【はい有難う御座います公爵様】
ピコ【メープルシロップたっぷりのホットミルク希望(`・ω・´)】
ハム子【はいはい、ところでサクヤ、砲台の整備や近衛隊強襲用の装備は問題ないかしら?】
サクヤ【腕によりを掛けて良い武器用意しました!(ごふっ)公爵こそ、そんないつもの装備で大丈夫ですか(げふっ)吐血】
ハム子【大丈夫よ問題ないわ、それよりまた徹夜したわね、しょうがない子ね・・・。あーあとカツヲそっちの状況はどうなの?】
カツヲ【ぁぁああああぁオジキィィ、なんかコイツ全然俺の言う事キカネーーーのぁあぁああぁぁあ】
ハム子【・・・・・・っとに、しっかりなさい。でもまぁその様子だと大丈夫そうね、さぁてと久々の大仕事ね。】

風がまた強くなる、被っていたフードが脱げ頬に冷え切った外気が尖ったナイフの様にピリピリと肌を突き刺す、再び被り直すこともなくただ真っ直ぐと暗闇の先を見つめるハム子

祖国イシュガルドの宿敵ドラゴンは人を喰らう、その対象であるイシュガルドの民に取って
それは脅威以外の何者でも無いので、こちらも生きていく為に知恵と勇気と力を振り絞り懸命に戦っている
しかし彼等も一つ認めているのはドラゴンも生きる為捕食するのであって襲う理由としては理解出来る。
ただ今回の件に関してはまだ全容が見えていないにしても、納得出来る理由がどこにも見つからない
その理由無き暴力に対して、本当であれば永遠に切らないで置こうと心に決めていたカードを迷わず切り
己の持てる力全てで叩き潰す決意を固めていた。


ファンナ【おいぃ!アタシの事を忘れてるにょ!】
ハム子【あ、ファンナ居たの?】
ファンナ【ムキー!】

そして漆黒の海の向こうに不気味に赤く輝く灯台の光を見つけたのはそれから数十分後であった。

〜リムサ・ロミンサ 冒険者ギルド溺れた海豚亭〜
バデロン『おぉ戻ってきたか!喜べ、新しい情報が手に入ったぞ!!』
ラヴ子『それよりこの2人をすぐに治療して頂戴!』
バデロン『なっ!こりゃ酷い、おいおいこの怪我でまだ生きてるのか?』
節子『馬鹿言わないで下さい、当たり前です。死ぬ訳無いじゃないですか!』
バデロン『解った、すぐに治療にあたる、おい誰かソーサラー達を片っ端から掻き集めて来てくれ!』
バデロンの一声で数人の高ランク幻術師と呪術師達が集まりすぐに回復魔法を詠唱し始めた。
ベッドに寝かされた2人の体が柔らかく暖かい光に包まれ出した。
物腰柔らかなヒューラン幻術師『それにしてもこれはかなり酷い状態ですね、正直助かる確率は良くて五分五分ってとこです。』
ラヴ子『ゴブでもオークでも何でもいいからとにかく治療して頂戴、絶対に死なすんじゃないわよ!』
その様子を心配そうに見守る節子、そこにカウンターの奥からバデロンが厳しい顔をして声を掛けてきた。

バデロン『ラヴ子、ちょっといいか新しく入手した情報の件なんだが』
ラヴ子『よくってよ。で、何が解ったのかしら』

節子を2人の傍に残しカウンターに座ったラヴ子にバデロンは淡々とした口調で且つ感情を押し殺した声で喋りだした。
バデロン『定期船到着後、占拠される直前の巴術士ギルドに
気を失ったミッドランダーの男性を担いだ異様な雰囲気を放つ大男が入って行く姿を
先ほど助けたフェリードッグ受付をしていた者が見たらしく、その直後に定期船から雪崩込むように亡者の群れが押し寄せたらしいんだ
そしてその亡者達は斧術士ギルドのあるアリスタシア号に襲い掛かった。
何故か一番近くにある巴術士ギルドには目もくれずに。』

ラヴ子『てことはよ、巴術士ギルドが大男1人によってに真っ先に占拠された、あるいは・・・・』
バデロン『ギルド自体が何らかの形で関与していた・・・・と言う事だ、立場上信じたくは無いがな』
しばらく考えた後、ラヴ子は机に置いてある数本のポーションとエーテル。貯蔵庫から生肉を腰の革袋に詰め込み
カウンターから立ち上がろうとした。
ラヴ子『色々考えてみたけど、やっぱりアタシには難しい事はわかんないわ。自分の眼で確かめるのが一番よね』
バデロン『おいまさか1人で行くつもりか?巴術士ギルドに行くまでにどんだけ敵が居ると思う?いくらアンタでも着く頃にはボロボロだ!
援軍を待てばもっと有利に駒を進める事が出来・・・』
言葉途中でラヴ子が遮った。
ラヴ子『もう、誰かが傷ついたり泣くのは勘弁して欲しいのよ』
そう言い残すとラヴ子はカウンターから離れ、冒険者達が交代で休息している広間に出た、

入れ替わる様にバデロンの元へ外の見張りをしていたハイランダーの剣術士が慌てた様子でやって来た。
奇妙な髪型のハイランダー剣術士『バデロンさん大変だ!そ、空から得体の知れないものがっ』
バデロン『何だって!・・・畜生!何でまたこんな時に』
それを横で聞いていたラヴ子とバデロンは勢い良く外に飛び出してギルド前広場に駆けつけた

広場には武器を構えた多数の冒険者達が突然現れた来訪者を中心に輪を描く様に囲みゆっくりと降りてくる円錐状の乗り物を睨みつけていた。
そこには冒険者ギルドを収めるバデロンですら噂でしか聞いた事の無いガレマール帝国の機動兵器(ジャガーノート)が今まさに着陸しようとしていた。
ジャガーノートの脚らしき部分が音も無く地表に着き、静かに搭乗口と思われる扉が開く。

その場にいる全員が息を飲み武器や盾を持つ手を握りなおした。
そして中から・・・

続く
posted by ラヴ子ママ at 11:17| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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