2011年02月25日

ある日オカマに訪れる危機 其の陸 女傑

〜リムサ・ロミンサ 冒険者ギルド溺れた海豚亭〜
リフト前の攻防を制した冒険者達とラヴ子は今後の作戦に頭を悩ましていた。
バデロン『なるほどモモディが言ってた黒い宅急便ってのはアンタの事だったのか』
ラヴ子『黒い宅急便ってもうちょっと何か別の言い方あるでしょうに・・・モモディの奴』
バデロン『まぁそれは置いといて、とにかく本当に助かった感謝する。正直もう駄目かと思っていたところだった』
ラヴ子『で、さっきはちらっとしか聞けなかったんだけど、あのウジャウジャいるのって何なの?見たところ冒険者風だったけど』
バデロン『こっちもそれについては全く情報無しだ、ただそれ程の強さでは無い事が救いだがとにかく数が半端無い』
節子『先輩達も最初は笑いながら捌いてたんですけど・・・倒しても倒しても後からどんどんやって来るんです・・・・』
ラヴ子(アタシが追ってる大男と関係無いのかしら・・・でもタイミング的には奇妙な程ぴったりなのよね・・・)
節子『ママ、先輩達が心配なんです!ママなら・・・ママなら何とかなるかも、今からすぐお店行きましょう!ねっねっ』
バデロン『お嬢ちゃん、期待しているところ悪いが幾らそのカズママとやら強いとは言え、この時間まであいつら相手に二人では、もう・・・・』
節子『キッ!(睨みつける)先輩は負けない!あの先輩とおけいが負けるはず無い!きっと今でも戦ってるんだ!まだ間に合う、アタシとママが行けばまだ・・・だから・・・・だが・・ら・・お願い・・・わだじのだい・・だいずぎな・・あの2人を・・・わだじの・・・だいぜつな帰るばじょを・・・ばもっで・・・ママァぁァ・・』
一度は怒りを露わにバデロンのシャツの襟を掴み強い口調で声を荒げた節子だが、
段々その握る手も弱くなり我慢していた物が再び一気に噴出したのか最後には泣き崩れながら膝から崩れ落ちる。
そして節子の嗚咽する声が静かな部屋に響き渡る。
もう声が枯れるんじゃ無いかと思う程、呼吸が出来なくなる程泣いた。
悲しく嗚咽する声以外聞こえない、誰一人、言葉を禁じられた時間がしばらく続く中
厳しい顔をしながら黙っていたラヴ子が立ち上がった。

ラヴ子『行くわよ、節子』
節子『えっ?・・・・ずびび』
ラヴ子『貴方に頼まれなくても行くに決まってるじゃない、オカマの絆舐めんじゃないわよ』
バデロン『でも今から行っても、それにアンタの力はまだ必要だ!何なら俺に代わって指揮を取ってくれてもいい!』
ラヴ子『アタシさぁ団体行動苦手なのよね、従業員とオトモダチだけでもうキャパオーバーよ、もういっぱいおっぱい』
バデロン『・・・・そうか仕方ない。でも必ず戻ってきてくれ!それまでにアンタの探してる大男の情報も必ず集めてみせる』
ラヴ子『ええ。頼むわね、急ぐわよ節子!』
節子『ばいっ!』

節子が通って来た地下室への抜け道へ向かうラヴ子と節子
もしかすると無駄かも知れない、見たく無い現実がそこにはあるかも知れない
しかし例え1%の可能性があるならそれに掛けてみたかった。
小さな希望を腰の革袋にねじ込んで2人は急ぎ足で階段を駆け下りた。


〜黒衣森〜
うっそうと茂る森の中、木々の中を軽快に走る2匹のチョコボ
普段見慣れた景色が瞬時にして後方へ流れていく、そして少しひんやりした風が銀色の長い髪をなびかせる。
マリア『ていうかチョコボってこんなに早いのね気に入ったわ。それにしてもあのエロ親父、こっちは急いでるって言うのに頭にくるわね』
アオ子『お姉さまの魅力がありすぎるのですわ。私も許されるならいつまでも見つめて居たい位ですわ。あ、その角そっちじゃなくてこっちですわ』
マリア『あら可愛い子、この件が片付いたらママにお暇も貰って今度2人でクルザスでも散歩に行きましょう』
アオコ『!!!!フゥーーー・・・・』
マリア『ちょっと!こんなとこで気を失っちゃ駄目よ』
嬉しさのあまり気を失いそうになり、危うく落鳥しそうなアオ子を片腕で支えて
2匹のチョコボは順調にウルダハへ疾走していた。

が、その時
クェェェェェ!!と一鳴きしたかと思えば突然チョコボ達が急ブレーキで立ち止まり
そして二匹ともパニック状態となり制御が出来なくなりだした。

その原因は粘液と異臭を放ちながら小高い丘の大木の影から進路を遮る様にゆっくりと現れた。

口と思わしき部分からはこの世のものとは思えない酷い臭いを撒き散らし
それはまるで陸上のイソギンチャクの様な容貌のモンスター『モルボル』だ。

巨大な体躯から鞭の様に繰り出される触手の攻撃も脅威だが
何より恐ろしいのは直接吸い込むと瞬時に神経を麻痺させ至る部分に異常を来たすと言われる臭い息
モルボルは獲物を見つけるとまずこのブレスで獲物のあらゆる動きを止め
普段は歩行目的の手の様に器用な触手で捕獲したと思えば大きな口に放り込みその後ゆっくりと消化する。
手錬の冒険者ですら恐怖でおののき近づくのを嫌う、黒衣森の主だ。

マリア『こんな時にまた面倒なのが出てきたわね、カオスだわ』
アオ子『お姉さま、私こういうウニョウニョ系は苦手ですわ・・・。』
マリア『ここは私に任せなさい、チョコボの方は頼むわよ』
暴れるチョコボの首筋を撫でて落ち着かせてから手綱を任せるマリア
そして鞍の上に立ち上がり腰に装備していたバッファロー革製の紐状の武器を右手に持ち
おもむろに頭上で8の字を描くように回し始める。

彼女が好んで使うこの武器はベラズウィップと言い一般の冒険者にはまだ馴染みの無い名前だが
異国では凶暴なモンスターを従わせ共に戦う特殊な職業、獣使いだけが使うかなり異質な武器である。
長いリーチから繰り出される一撃は打ち付けると言うよりも引き裂くと言う表現が適しており
比較的非力な女性でも使い方次第でモンスター相手でも充分な威力を発揮する。

うっすらと笑みを浮かべるマリアの操るベラズウィップが残像を残しながらヒュンヒュンと風を切る音が少しずつ早くなり
やがてある一定の速度を超えた途端に無音に。そしてうっすらと見えていた残像すら見えなくなった。
マリア『さて、準備は出来たわよ子豚ちゃん。これからお楽しみの時間よ』

しばらくこちらの様子を伺っていたモルボルから触手の一本が
アオ子の乗っているチョコボに向かって凄まじい勢いで繰り出される。
スパーーーン!乾いた音が付近に鳴り響き
マリアの放つウィップがその触手を打ち落としていた。
アオ子『素敵ですわ!お姉さま、ではアタシもそろそろお手伝いを・・・』
矢次早に別の触手が今度は2本掛りでマリアに向かって放たれる。
マリア『遅すぎて居眠りしそうよ、子豚ちゃん』
乾いた音が2度鳴り、ギリギリの距離で届く事無く一振りで遮られる。

このモンスターに考える能力があるかどうかは理解し難いが
普段のアンテロープやテロックを捕食する時とは余りにも違う状況に疑問を感じ
モルボルは狩りの仕方を変えることにした。確実に獲物を仕留めれる方法に。
ヒュゥゥと周りの空気を吸い込む不気味な音が鳴るか否や
モルボルは臭い息をマリア達に向かってむわぁと吐き出した。
しめしめこれで獲物は動けなくなったはずだ、あとはゆっくり触手で口に運べばいい
そう思って?いたモルボルがゆっくりと息を吐いた方向へ進んで行くと
思いも寄らない事態になった。そこにいるはずの無力な獲物が居ない。
そして足元の影が絡みつき触手での移動が出来ず振り返る事すらも出来ない。
アオ子『さぁクライマックスですわお姉さま』
動く事も振り返る事も出来ない理由は、静かだったアオ子がサウスピークでリポーズの魔法を詠唱しており既に発動させていた為
そして最大の疑問もすぐに解決した。モルボルの放った渾身の臭い息は素早く回転させたベラズウィップから放つカマイタチの風圧で全てかき消されていたのだった。

全ての疑問を理解?したモルボルの背後から悩ましい声が鳴り響いた。
マリア『残念ね。私、香水はローズの香りしか付けないって決めてるの、さぁ、可愛い声でお鳴きなさい』
動く事も出来ず隙だらけのモルボルに見えない鞭撃が何十回、何百回と襲い掛かる。
太い触手が切り刻まれ、大きな口の部分にもまるで鋭利な刃物で切られた様な斬り跡が瞬く間に増えていく。

黒衣森の食物連鎖のほぼ頂点に居るモルボルであったが新たな女王にはなすがままだった。
その自慢の触手は全て切断され、動けない胴と口の部分だけになった。

マリア『これでお部屋に飾れる位になったわね。とっても可愛いわよ』
アオ子『エクセレントですわお姉さま(うっとり)でも臭いのは私ちょっと・・・そうだ。もう燃やしちゃいましょう』
アオ子のファイアU
炎上するモルボルを見ながら呟くマリア
マリア『そういえばモルボルのねっとり感って何かに似てると思ったんだけど・・・アレね。クスッ』

そして再び走り出した2匹のチョコボはようやく黒衣森を抜けザナラーンに入った。

〜ウルダハ噴水前広場〜
アリオク『クシュンッ!あら全裸で寝ちゃってたわ・・・・きっと誰かがエロスな噂をしてるのね、ウフフフフ』

続く
posted by ラヴ子ママ at 11:14| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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