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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】中国の国防費 日米は脅威増大に備えよ
中国国防費の伸び率が再び2けたに戻った。
中国の全国人民代表大会(全人代)の李肇星報道官が公表した2011年度の国防費は、前年度実績比12・7%増の6011億元(約7兆5千億円)に上り、過去22年間で1けた増にとどまったのは昨年度だけだ。
その突出した軍備増強ぶりは、力ずくの海洋権益拡大と併せて地域と世界の懸念を高めており、米軍も7年ぶりの運用指針改定で対中シフトの強化に踏み切った。尖閣諸島問題を抱える日本は、日米同盟を強化・充実して脅威の増大に備えるとともに、国際社会とも連携して中国に透明性拡大を強く求めていくべきだ。
中国は1989年度以来、国防費の2けた増を続け、2007年度に日本を抜いた。08年以後は米国に次ぐ世界2位だ。円換算で11年度は初めて7兆円を超え、日本の11年度予算案の防衛関係費(4兆7700億円)との差は3兆円に迫りつつある。異様なペースで増強する狙いはいったい何か。
問題は総額だけではない。昨年の尖閣諸島沖の漁船衝突事件が示すように、中国は南シナ海や東シナ海で強引な海洋進出を進め、総額2兆円近いとされる空母建造計画を本格化させている。
1月には初の国産ステルス戦闘機「殲20」の試験飛行も行った。米空母の接近阻止が目的とみられる対艦弾道ミサイル(ASBM)の開発や宇宙、サイバー空間の攻撃能力も増強している。
これらの研究開発費は政府公表の国防費に含まれず、実際の支出額は「公表額の2~3倍」(米国防総省)との見方がある。
にもかかわらず、その戦略的意図や目的を明確に説明しようとせず、それが近隣の疑念を募らせていることを中国指導部は強く認識すべきだ。全人代の李報道官は「中国の軍事力はいかなる国の脅威にもならない」と強調したが、口先だけでは信頼されない。
日本も昨年版の防衛白書で中国の行動を「地域・国際社会の懸念事項」とし、脅威認識を前面に出したが、備えは大丈夫か。
5日には中国の漁業監視船が尖閣諸島沖の日本の接続水域に入った。昨秋以来7回目である。
海洋覇権を狙う動きとして、日米がとりわけ警戒と監視を強める必要がある。菅直人政権は日本の領土と主権を守る確固たる姿勢を行動で示してもらいたい。
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