南極海で活動する調査捕鯨船団(4隻)が反捕鯨団体シー・シェパード(SS)による妨害や追尾で、3月末まで予定していた捕鯨が中断している問題について、鹿野道彦農相は18日、船団を帰国させることを決めた。閣議後会見で鹿野農相は「乗務員、調査船の安全確保の観点から調査を切り上げる」と述べた。SSの妨害による中止は初めてで、船団は3月上旬にも帰国する。11年度以降の南極海での調査捕鯨実施に影響を与えそうだ。
今回の調査捕鯨船団は昨年12月に出港し、1月1日にSSに初めて妨害行為を受けた。今年度の妨害はスクリューに絡ませるためにロープを捕鯨船の進行方向の海中に投げたり、船体に瓶を投げるなど計9回あった。
2月に入り、捕獲した鯨を調査、解体する母船「日新丸」が妨害され、その後も追尾され続けたため、調査を中断していた。
水産庁によると、約850頭を捕獲する計画だったミンククジラの捕獲は170頭に、50頭を計画していたナガスクジラは2頭にとどまった。
SSの妨害は05年度の調査捕鯨から続いている。日新丸への妨害は過去にもあったが、そのたびにSSの妨害船が燃料切れでいったん日新丸から離れたため、活動中止には至らなかった。今回は追尾中の1隻に加え、もう1隻が近づく可能性が高いため、やむを得ず調査切り上げを決めたという。【佐藤浩】
【ジャカルタ佐藤賢二郎】日本政府が今季の南極海での調査捕鯨の打ち切りを明らかにしたことを受け、妨害行為を繰り返していた反捕鯨団体シー・シェパード(SS)のポール・ワトソン代表は「素晴らしいニュースだ」とコメント。「我々は日本の捕鯨船が北に帰り、クジラの聖域から出たことを確認するまで付き添う」と話した上で、今後もあらゆる捕鯨を阻止する姿勢を明らかにした。AFP通信が伝えた。
毎日新聞 2011年2月18日 11時39分(最終更新 2月18日 14時28分)