平成22年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (舟橋一浩議員)
内部障害者が安心して暮らせる社会づくりについて
Q 舟橋一浩議員(刷新の会)
昭和24年に制定された身体障害者福祉法は、「身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、身体障害者を援助し、および必要に応じ保護し、もって身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする」と、その法律制定の目的を定義しています。
障害の種類には、肢体不自由、視覚障害、聴覚、言語の障害など、見た目にも他者から認知しやすい障害と、心臓、腎臓、呼吸器、膀胱または直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能など、7つの内部臓器障害とに大別されます。内部障害と総称されるこれらの障害は、血液の循環や浄化、呼吸、排せつ、消化、免疫など、生命を維持するという観点から大変重要な機能の障害であり、その影響により日常生活活動への制限をせざるを得ない方々も数多くいらっしゃるのが現状です。
本県(さいたま市、川越市を除く)の平成21年度末の身体障害者手帳交付状況を見ると、交付総数は15万9,422人、そのうち4万4,897人が内部障害者であり、障害者全体の約30パーセントを占めています。
また、平成20年度末と比較してみると、手帳交付数は4,690人の増加で、そのうち1,659人が内部障害者への交付増であり、増加数の3割以上を内部障害者が占めています。このように、障害者全体の増加傾向と、その中の内部障害者の占める割合の増加傾向は今後も続くと思われます。
内部障害者の抱える最も顕著な問題として挙げられるのが、外見からは障害者であることが分からないため、本人やその知人が周囲に知らせない限り理解を得られにくい状態にあることです。
また、障害者マークが車いすの形をしているため、身体障害イコール可視的なものであるといった印象を強める結果となっていることも、内部障害への社会の理解度を上がりにくくしているようです。そのため、電車の優先席に座っていて心ない言葉を浴びせられたり、障害者トイレから出てきたとき健常者だと思われ注意を受けるなど、当事者にとってはつらい状況にあります。
このような状況を回避しようと、平成19年9月に設立されたNPO法人ハート・プラスの会では、内部障害者の方々の存在を可視的に示し、理解の第一歩とするために、ハート・プラスマークの利用を広く呼び掛けています。これがそのマークです。
昨年度は、本県福祉政策課と協働事業により、埼玉県立大学や聖学院大学などでの出張セミナーの開催や県内全路線バスへのポスター掲出、市町村コミュニティーバスへのシールおよびポスター掲出など、周知の活動も進み始めているところです。
そこで、私はこの活動をさらに大きな活動とし、内部障害への理解を深め、ノーマライゼーション意識あふれる埼玉県をつくり上げていくべきと考えますが、知事のご所見を伺います。
また、この問題への取り組みに関して、NPOと協働という活動にとどめるのか、県としてイニシアチブを持った活動として考えて活動していく考えがあるのか、併せてお伺いいたします。
A 上田清司 知事
「内部障害者が安心して暮らせる社会づくりについて」のお尋ねのうち、ノーマライゼーション意識にあふれる埼玉県づくりについてであります。
平成20年の12月に内部障害をテーマにしたシンポジウムに参加をしました。
私もあまり気付かなかったのですが、「心臓病だがペースメーカーが止まると生きていけない、命の爆弾を抱えている」と、こんなお話を聞きました。本当に外から見たら全く分からない。
「障害者駐車場を利用して注意を受けた、何の障害もないのになんだと、嫌な思いをした」とこんなことを聞きました。
内部障害は外見から分からないので、障害のある方々はそれ相応に苦労をされているという状況をお聞きしたところです。
従って、いかに内部障害者の方々が内部障害であるかということを分かっていただく、この取り組みが必要だと思っております。
次に、県ではどんな取り組みをしているんだということでございますが、先ほどお示しされましたハート・プラスマークが、いまだ国内で十分認識されてない状況であります。
公共スペースでマークを表示し、その存在を示すことが大変重要だと考えます。
昨年度はハート・プラスマークの周知を図るため、県内全路線1,390系統2,004台の路線バスや37市町村のコミュニティーバス179台にポスターの掲示を行いました。
また、県内の福祉系2大学で内部障害についての出張セミナーを行い、理解を求めたところでございます。
ハート・プラスマークそのものに内部障害という文字が入っていないので、何ものかがわからないままにそれを宣伝している。
今後、もう少しハート・プラスマークそのものイコール内部障害ということが分かるような、そういう打ち込みもする必要があると考えているところでございます。
・上記質問・答弁は速報版です。
・上記質問・答弁は、正式な会議録とは若干異なります。