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特集社説2011年03月06日(日)付 愛媛新聞

松山市工事裏金疑惑 徹底した調査と公表が必要だ

 松山市の元市職員と建設業者らが、市発注の下水道工事を孫請けするためにポンプ設備工事会社を設立し、工事代金に上乗せする方法で多額の「裏金」を捻出していた疑いが浮上している。
 愛媛新聞社の取材によると、2004〜05年の大可賀雨水排水ポンプ場機械設備工事で2千万円の「裏金」をつくりだした。そして2割を同社長が受け取り、残り8割は元職員に渡ったという。
 疑惑が指摘されている工事では、下請けと孫請け間で5145万円の工事請負契約を結んでいる。2千万円は決して少なくない額だ。
 元職員は十数年前に市の工事部門を最後に退職したという。その人物がなぜ、公共工事に絡んで多額の現金を受け取っているのか。その使途は。そして、役割は何だったのか。
 下請けとの交渉を担当し、上乗せ金額も決めていたという元職員。市発注工事の下請けや孫請けを調整し、経理操作で「裏金」をつくっていたのではないか。普通でない金の流れに、さまざまな疑問がわく。
 元職員が何らかの形で関与しているようなことがあれば、ゆゆしき事態だ。松山市は、事実関係の確認作業を進めているという。徹底的な調査と、一刻も早い調査結果の公表を求めたい。
 孫請け会社の帳簿や関係者の話では、大可賀の工事のほかにも、01年12月〜05年8月の間に施工された4件の工事でも、裏金がつくられた疑いがあるという。
 いずれも大可賀の場合と同様で、見積金額に「裏金」分を上乗せする形で請負契約をしていたという。
 また県知事の中村時広氏は「証明はできなかったが、就任当初、市OBが何らかの役割を果たしているとのうわさがあり、対策を取った」と、疑惑発覚後に報道陣に語っている。
 中村氏の松山市長就任は1999年。同市発注の下水道工事で、長年にわたって不正が行われていた可能性を類推させはしないか。
 松山市は疑惑が浮上した元職員の関与した工事だけでなく、過去の下水道工事にさかのぼっての調査にも取り組む必要がある。市役所内部の調査では、限界があろう。弁護士など第三者機関に委ねるのも一つの方法だ。
 いうまでもなく、公共工事に絡む不正は許されない。市民の行政への信頼を失墜させる要因にもなる。松山市は疑惑の調査とともに、不正を許さない仕組みづくりも進めなければならない。
 一般的に下請け、孫請けには行政の監視が届きにくいといわれる。元請け任せにせず、工事内容や請負契約の内容を確認することも必要だ。

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