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費用交渉

PMのタスクの中で最も難しいのが、費用交渉ではないかなぁと思う。
すなわち、お客様からお金を貰うところ。

普段の生活の中でもそうですよね。
お店に行って、良さそうな商品を見つけて、店員さんといろいろ話をして「よし買おう!」ということになっても、最後に出てくるのかその価格。
お金の話になると、店員さんとのにこやかな雰囲気が急になくなりギスギスし始めて、結局あきらめよう、ということになったことは数知れず。

ビジネスの場においては、もっと金額が大きくなり、しかも、個人ではなく会社の代表として責任をもって費用交渉にあたらないといけないので、より大変になります。

保守フェーズに入ったプロジェクトなので、期初に工数の枠を定義してこの範囲内で案件や作業をこなしていく、という契約ではあるのですが、顧客の現場からあがってくる要望が増えてきて、これをすべてこなすためには今抱えている要員だけでは不可能という見込みになってました。
メンバーからも要員を追加してほしいというエスカレーションが。
といって、安易に要員を追加すると期初に定めた工数を超過し、その分コストも流出するということになる。

ということで、こういうときにプロジェクトとして正しい選択は、顧客と交渉して超過分の費用を頂戴すること。
ただ、それが正しいからといって、すんなり行くわけはありません。
お金を支払う側としてはできるだけ払いたくないだろうし、システム投資のために確保しておいた予算を切り崩すための自社内の調整が大変なので、やりたくないということがほとんど。

なので、交渉する側としてもそれなりの理論武装をして、顧客を納得させられる資料を作成して交渉にあたらないといけないわけです。

今回はほんの数百万円の費用交渉ではあったのですが、資料作りにかなり時間を使いました。
また、急に切り出すのではなく、少し前から「工数をオーバーしそう」ということを顧客の部長や担当者に伝えておいて、そのレスポンスを確認することも怠りなく。
そして今日の夕方、顧客の部長のところに交渉に行ったのですが、「こう言われたらこう切り返そう」と事前のイメージトレーニングも綿密に。

「交渉力」を身につけるために、研修にも参加して理論としてもいろいろ学んではいるのですが、なかなか実践で活用するのは難しいですね。
なにせ、相手がいることなので。
相手によって、やり方を変えないといけないところが多く、教科書どおりにはいきません。

また、交渉において、もう一つ大事なのは、「信頼関係」かなぁとも思います。
会社としての信頼関係もそうですが、個人の人間関係というのも大事です。
顧客に「この会社は、あるいはこの人は一生懸命やっている」ということを認識してもらって、「この人が言うんだからいいだろう」という雰囲気を作り出すのも重要。
そのためには日頃から信頼関係を築いておかないといけません。


今日の交渉は驚くほどうまくいって、費用追加を認めてもらいました。
(15分ほどで終わってしまった)
あとは営業の事務処理だけです。
これで、明日から要員の投入ができます。

「交渉スキル」と「信頼関係」の2つの大きな要素に交渉の結果は左右されると思うのですが、私の場合はまだまだ「交渉スキル」が足らないかなぁと思います。
今日も、ほとんどは「信頼関係」で話がまとまったようなもののように感じます。

「信頼関係」という自分しか持っていないモノで交渉を成立させることも大事なのですが、この欠点は「顧客が代わると信頼関係を一から築き直さないといけない」ということ。
今の部長ともここまで親しく話ができるようになるまで、かなり時間がかかりました。
そして、会社には「異動」というものが付き物で、それは突然にやってきたりします。
もちろん、自分もずっとこの顧客と一緒に仕事ができるわけではないので…


今後は「交渉スキル」の向上に加えて、「信頼関係をいち早く築く」というスキルを学んでいく必要がありそうです。

数年前、PMの上司が顧客と費用交渉をやっているのを見てすごいなぁと思っていたのですが、今自分がそれをやっているのに対して自分も成長したなぁと実感します。


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