「カニカマの謎とカニカマおにぎり」
さて、とうとう
200個目のおにぎり紹介です。
超ド級レアおにぎり、その名も「カニカマおにぎり」
うおおっカニだ、蟹だ、と喜んだあなた。
カニカマは蟹の事ではありません。
カニカマとは、色や形・食感をカニの身に似せたかまぼこ(魚肉練り製品)のこと。
つまり「カニカマ」はかに風味かまぼこを略した名称で、カニ棒・かにぼこともいいます。
この種の製品の名称は、
JAS法の品質表示基準によれば「風味かまぼこ」または「風味かまぼこ(かに風味)」
と記載することができるそうです。
しかし、カニ肉は入っておらず、原料はスケトウダラです。
ほとんどのメーカーは海外であらかじめすりみ(擂り身)にして
冷凍した輸入冷凍すりみを主原料としています。
最外層の赤色は食品添加物の食用色素である天然着色料のモナスカス色素(紅麹色素)、
コチニール色素、トマト色素などで、カニの香りと味は、
同じく食品添加物の香料(フレーバー)とカニ抽出物(かにエキス)でつけられています。
冷凍すりみを急速に解凍し、もう一度冷凍すると、カニの足と同じような繊維ができます。
すり身に含まれた水分が、一定の方向に向かって流れるようにすると、よりカニに似ます。
食品スーパーや回転寿司店などで見かける大量生産型のカニ風味かまぼこは、
切れ目を入れたシート状のかまぼこを、
ロール状に巻くことで製造しているものが多いそうです。
また、近年は消費者の本物志向や高級志向もあってか、
本物のカニ肉が使用されたカニカマというややこしい商品も少数ながら実在します。
1973年(昭和48年)に石川県七尾市の水産加工メーカーであるスギヨが、
着色・着香した蒲鉾を細く裁断した商品である「珍味かまぼこ・かにあし」を
発売したのが最初といわれます。
スギヨの三代目社長杉野芳人が、
コンブから取れるアルギン酸で人工クラゲを作ろうとしていたところ、
その失敗作がカニの食感に似ていることに気づき、人工カニ肉の製作を思いつきます
(アルギン酸ナトリウムの溶液はカルシウム溶液に入れると凝固する性質があり、
人造イクラも同じ製法で作られている)。
試行錯誤の末、「珍味かまぼこ・かにあし」を開発し発売したものの、
「インチキだ」などとスギヨに苦情が寄せられました。
しかし、杉野はこの消費者の声を逆手にとり
「カニのようでカニでない」とのキャッチコピーで、
あくまでも「アイディア商品」として全国に広告宣伝活動と販売を行いました。
ちなみに、「珍味かまぼこ・かにあし」は、取り出されたカニの身のような蒲鉾が、
プラスチックパックの中に入れられていました。
1974年(昭和49年)には、広島県の水産加工メーカーである大崎水産が、
現在もっとも一般的な形状である、棒状のカニ風味カマボコ「フィッシュスチック」を
発売し、業務用を中心に現在も発売が続いています。
写真の通り、カニカマおにぎりもこの「フィッシュスチック」をのりで巻いたものですね。
カニカマは世界各地で安値で食べられるサラダなどのトッピングとして広がり、
水産加工メーカーとしてはいち早く欧州、米国に進出を果たした紀文食品のマリーンを
足掛けに、日本から多く輸出されました。
しかし、EU、アメリカの水産食品製造施設へのHACCP導入により、
対応できる日本の企業が限定されること、現地生産の増加、BSE等の影響で
輸入冷凍すり身の高騰したことなどから輸出は減少傾向となり、
現在海外では韓国製のものが多く流通しています。
EU、アメリカでは肉より魚を好む傾向が強くなり、日本食ブームが追い風となって、
世界の消費量は拡大しています。
カニカマを指す「スリミ(surimi)」という単語も定着していますね。
フランスではこのスリミと野菜類を普通のフランスパン(バゲット)よりも
柔らかい食感のスエードワ(スウェーデン風パン)で挟んだものを
「スウェーデン風サンドウィッチ」と称して街のパン屋などで広く売られているそうです。
またアメリカには"KANI"という商品名のカニカマも存在しており、
スシバーなどでは蟹を意味するcrabに対して、kaniと言えばカニカマのことを指すという
誤った用法が定着している地域もあるとのことです。
中国では日本から技術導入した工場が現地製造しています。
「人造蟹柳 レンザオシエリュウ rénzào xièliǔ」などと呼ばれますが、
鍋料理など、各種の中華料理に加工されて普及しており、
「蟹柳」と書かれた料理を注文する際には、
本物のカニ肉を使ったものか確認が必要です。
また、本物のカニが安価に手に入るタイやフィリピンでも、
代用品としてではなくカニカマ自体が人気食品となり、
鍋や天麩羅の具として一般化しています。
さあて、カニカマおにぎりですが、
見た目のインパクトはそれなりにありますが、
かまぼこに酢めしのほんのり甘い味わいです。
薄味ですが、上品ですね。嫌いではありません。
カニカマでおにぎりを作るという冒険に敬意を評し、
おにぎり評価は星四つ☆☆☆☆★
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