2011年3月5日19時12分
【ソウル=牧野愛博】中国が昨年10月以降、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男、正恩(ジョンウン)氏の中国訪問を重ねて要請している。韓国の情報機関、国家情報院は4日の国会情報委員会で「中国の招待を受けており、金正恩氏は訪中するだろう」と報告したが、今月の訪中はないとの見方も示した。
中朝関係筋によれば、中国は昨年10月に訪朝した中国共産党の周永康(チョウ・ヨンカン)党政治局常務委員が、金正恩氏ら9月の朝鮮労働党代表者会で選ばれた新指導部の訪中を要請。12月に戴秉国(タイ・ピンクオ)国務委員が、今年2月に孟建柱公安相がそれぞれ訪朝した際に、金正恩氏の訪中を重ねて招待したという。
韓国政府は、米国の影響力拡大を嫌う中国と、権力継承を急ぐ北朝鮮の思惑が一致したとみている。
ただ、中国の招待攻勢について「誇り高い北朝鮮の体面を考えたリップサービス」(別の関係筋)との見方がある。金正恩氏の国防副委員長への就任など、権力継承作業の進展が必要との指摘もある。国情院高官も4日、「訪問の時期は把握できていない」と述べ、訪中が差し迫っていないとの見方を示した。