熊本市のスーパーに家族で買い物に来ていた保育園児の清水心(ここ)ちゃん(3)が行方不明になり近くの水路で遺体で見つかった事件で、熊本県警は5日、死体遺棄容疑で逮捕した大学2年山口芳寛容疑者(20)=熊本市兎谷(うさぎだに)が計画的に幼い女の子を連れ去ろうとしていたとの見方を強めた。リュックサックを事前に用意し、事件の約4時間前から店内をうろついていたことや、遺棄現場の水路も極めて人目につきにくい場所である点に注目している。
県警によると、司法解剖の結果、心ちゃんの死因は窒息死で、死亡推定時刻は3日夜。目立った外傷はなかった。山口容疑者が「多目的トイレで女の子の口を片手でふさぎ、もう一方の手で首を絞めたら死んでしまった」「遺体の処理に困り川に捨てた」と供述していることも明らかにした。
県警によると、店内の防犯カメラの記録で、心ちゃんが3日午後7時半ごろ1人でトイレに行った約1分後、山口容疑者が追い掛けるようにトイレに向かったことを確認。山口容疑者は「騒がれたので首を絞めて殺した。遺体はリュックサックに入れて運び出し、自転車で川まで運んだ」と供述している。
山口容疑者は3日午後4時ごろから、リュックサックを背負って店内をうろついており、店の奥まった場所にあるトイレ付近を頻繁に行き来する様子が防犯カメラに記録されていた。
山口容疑者は「スーパーを出て自転車でそのまま水路に向かった」とも供述。トンネル状の水路の入り口には鉄柵があるが、これをすり抜けて遺体を持ち込み、約10メートル奥へ入った場所に遺棄していたという。水路の中は川岸から死角になるため、県警は、事前に下見していた可能性があるとみている。
また、スーパーから水路に向かう国道3号沿いの複数店舗の防犯カメラには、自転車で遺棄現場に向かう途中とみられる山口容疑者の映像が記録されていたことも確認された。
容疑者宅の捜索で県警は遺体を運ぶのに使ったとされるリュックサックや自転車などを押収。パソコンや携帯電話も押収しており、保存された画像などの分析を進める。
=2011/03/06付 西日本新聞朝刊=