そもそも女性にしか使えない兵器だったんだ、あの人が作り上げたものは。
だから俺がそれを世界でただ一人使える男になったのは、絶対にあの人が絡んでいる。そうだ、そうに違いない。その兵器に意志があって、俺を選んだと言うのならそれはそれで有りだと思うが疑問は残る。
何故、俺なんだ。
俺よりISをうまく使いこなせる男たちがいるだろうに、世界中を探せばきっと。たぶん。
パシンッ。
「何をボケッとしている、ようやくお前の専用機が到着したんだ。さっさと装着しろ」
現実逃避するヒマもさせてくれないのか千冬姉、悪魔だ鬼だ。出席簿は地味に痛いんだぞ、それでポンポン頭を叩かないでくれ。そう思っただけで……
ギロッと睨まれた、ヤバい。あの目付きは爆発三秒前、山田先生も涙目になっている。箒は目を逸らしていた、助けてくれないんだな。俺の味方はいない、にしても到着した専用機とやらを見れば現実逃避も仕方ないだろう。
それは《金色》だった。
思わず隣にいた箒と目を覆う程、眩しい金色のIS。
山田先生によれば名前は……《百式》。
「は?」
百式というと、まだだ! まだ終わらんよ! なあの人のMSじゃないですか、関係ないけどISとMSって似てるよね!
いかん混乱してる、落ち着け俺。それとコレ用意した奴誰だ、あの人か。絶対に面白がって作っただろ。
アリーナ側から催促のアナウンスが響く、併せて対戦相手セシリア・オルコットの声も聞こえてくる。
どうやら待ちくたびれているようだ、装着するしかないか。あの人の思惑がどうであれ、俺のやるべきことは変わらない。
俺は俺の力で目に届く人を守る、それだけだ。
百式に手を伸ばし……
セシリア・オルコットは呆然と対戦相手を見る、クラス代表を決める模擬戦。相手は織斑一夏、自分の祖国を馬鹿にした男だ。その発言が許せなくて、確かにイギリスの料理は不味いけど味が独特だけなのだ。うん、きっとそう。
決闘する事になったのはいい、ブルー・ティアーズを装着し待っていたのだが遅い。
女性を待たせるとは礼儀がなってない、全く男という人は……と思い始めた頃それは現われた。
全身装甲、しかも金色。
眩しいですわ! とセシリアが思ったのも無理はない、ないが他にも衝撃する。頭部に当たる部分に光るツインアイ、背中には翼のようなスラスター、まるでアニメに出てくるロボット。ISは飛行パワードスーツだけど。
「……ガ、ガンダムですの?」
そう呟いたセシリアは見守るアリーナ観客の気持ちを代弁していた。
これはガンダムですか? はいインフィニット・ストラトスです。
何か電波を受信したな、気にするな俺。百式から提示された武装を見てみる、どれどれ?
――メガバズーカランチャー。
……。
……撃てるかぁぁぁっ!?