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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】規制仕分け 本丸は農業の競争力強化
政府の行政刷新会議による「規制仕分け」が6日から始まる。
時代に合わなくなったさまざまな規制の緩和や撤廃などを進める規制改革は、財政出動を伴わない経済活性化策で、経済再生に向けた起爆剤として位置付けるべき重要課題だ。
しかし、今回用意された仕分け対象は「成果」を優先するあまり、本当に必要な改革に迫れてはいない。国民向けのパフォーマンスでなく、実効性のある規制改革を政治主導で断行することこそ求められる。
規制仕分けは「事業仕分け」の手法を活用し、公開の場で個々の規制の是非を議論する。蓮舫行政刷新担当相は「その場で即廃止という従来の手法はなじまない」として廃止などの判定結果は出さない方向だが、合理的な理由がないと判断された規制は積極的に廃止していくべきだろう。
今回は電気自動車(EV)向け充電器の設置基準や野菜生産施設の農地転用基準、一般医薬品のインターネット販売など12項目の規制が仕分け対象となっている。EVの普及には充電スタンドの整備が不可欠だが、現在は一つの事業所に対して電圧が異なる複数の電力契約を認めておらず、市街地での充電器設置を妨げている。
疑問に思うのは、これらの仕分け対象のうち、医薬品のネット販売を除いては所管官庁も改革に前向きな姿勢を示している分野が多いことだ。省庁の抵抗が強く、協議が難航しそうな規制を、あえて対象から外したのなら「本質隠し」と言うしかない。
仕分けすべきは、企業の農地所有制限や農業生産法人への企業出資規制だ。農協の農業事業と金融事業の分離なども検討しなければならない。これらは、農業の競争力強化につながる。民主党の農水部門会議は慎重な対応を求めているようだが、これらの規制こそ大胆に改革し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に弾みをつけてもらいたい。
政府は成長戦略でも規制改革の必要性を指摘しているが、目に見える成果はあがっていない。企業の創意工夫を引き出す規制改革は、新規産業の育成や雇用の創出にもつながる。
規制仕分けは今後も政府の規制・制度改革分科会と連携し、日本経済に元気を与える改革を進めていかねばならない。
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