上場企業が子会社も上場させる「親子上場」を解消するケースが増えている。資本の効率を高め、スピード感のある経営を目指すもので、そうしたグループ企業の再編が進むことを期待したい。
パナソニックはパナソニック電工と三洋電機の上場をやめ、4月1日に100%子会社にする。
パナソニック電工は照明や浴槽など住宅設備に強みを持つ。パナソニックの家電や情報機器と合わせ、家庭に必要な設備をまとめて売り込めば、顧客の需要に応えやすく価格競争も避けやすい。三洋電機の電池事業も、パナソニックが家庭用の蓄電池を強化する際に欠かせない。
営業分野の調整もさることながら、経営判断を迅速にし、収益力を高めるために、2社を非上場とする点に注目したい。背景には親子上場が効率的でないとの判断があろう。
上場していれば、子会社であっても取締役会が親会社から独立しているのが当然だ。一般株主が親会社と連携した事業に反対すれば、子会社は人材や資金を思い切って投じにくい。これとは逆に子会社が一般株主を軽んずるようだと、上場企業としての体をなさない。突き詰めれば、親子上場はこんな利益相反を起こしかねない問題をはらむ。
だから親子上場は米英ではきわめてまれだ。一方、東京証券取引所には上場親会社の子会社が230社上場している。全上場企業の1割にのぼるが、東証は「必ずしも望ましくない」との見解を示している。
大きな価値を生む子会社ならば、いっそのこと完全に取りこんだ方が、競争力を高めるうえでも企業統治からも賢明だ。そう考える企業はパナソニックだけではない。
みずほフィナンシャルグループは、上場している傘下の証券2社と信託銀行を完全子会社とし、証券2社は合併させる方向で検討中だ。
総合金融機関として、成長性の高い証券や信託といった業務を今後の経営の柱に据えていきたいとの判断が背景にある。ともすれば込み入っていたグループ内の資本関係を整理し、組織をすっきりさせることは、経営効率を向上させ国際競争力を高めるうえでも大切である。
2010年には日立製作所が、5つの上場子会社を完全子会社にした。親子上場の解消は10年には54件と、09年に比べ5割近く増えた。
今や日本の上場株式の3割近くを保有するのは外国人投資家だ。資本効率の向上を求める投資家の目を十分に意識して、グループの姿を柔軟に変える経営が求められている。
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