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2010-03-19

非実在青少年」問題は条文構造が9割

少し時間ができたので、現行条例と改正案を読みながら一連の議論を少し追ってみました。「ゾーニングすればいい、表現規制には反対」っていう人はたぶん条例をちゃんと読んでない。これ表現規制じゃないんだよ。ましてや「文化が滅びる」なんて、ずいぶんオーバーだなと思いました。僕も(エロ)マンガやアニメが大好きだから、不安の声も理解できるつもりだけど、今回の流れでは都議会側に同情する部分もあります。賛成派が不当にフルボッコにされているように見えるので、少し発言して議論に飛び込んでみようと思います。青少年保護育成条例の構造について簡単な図を描きました。

緑の部分は、「図書類」(2条2項)一般。

オレンジの部分(P)は、いわゆるエロ本やエロビデオの類いで、青少年に見せないようにゾーニングする努力義務がある部分(7条)。

赤の部分(Q)は、エロ本等のうちで、特に露骨なもの。都が「指定図書」のレッテルを貼ることができる部分。赤の部分のエロ本は、青少年に販売したりすると、罰則まである(8条・9条)。

この2段階構造は、元々の条例においても、改正案においても変わりません。改正案においては、オレンジの部分と赤の部分に、「非実在青少年」の本やアニメが明文で加えられている、ということです。


表現規制ではない

まずはっきりさせておくべきは、改正案が通ったあとも、漫画家、作家、同人サークル、クリエイターなどなどの人は、これまで通り全く自由に描くことができるし、描いたらいいということです。

たしかに、18歳未満の人に対しては売れなくなります。けど、青少年の発達に悪影響を与えるようなエロいコンテンツなら、それもやむなしということを理解して、18歳以上の大人に売ったらいいのです。18歳以上の人に売ることは元条例も改正案も規制していません。

エロマンガやエロアニメなど二次元のものについて、ゾーニングすべきところ、今まで上手にできていなかったので、これからはちゃんとしましょうね、しないとだめですよ、という条例改正案なのであって、行政権が表現の内容規制をしようとか、そういうものではないことがわかると思います。それでも、「文化が滅びる」かな?


オレンジの部分と赤の部分を混同した発言をしないで

次に、2段階に設定されてる話。

「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」(新設、7条2号)については、図書の販売等をする人に対して、青少年の目に入らないようにするような努力義務が課されます。努力義務があるだけで、不健全図書にされたりするわけでもなく、この場合たいしたことありません。

「販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの」(新設、8条2号)については、都知事が不健全だと「指定」することができ、その場合青少年への販売や貸与が禁止され、コンビニ等には並べるときにシュリンクラップして隔離する義務ができます。

こうやって、2段階に設定されているのだけれど、ネット上ではオレンジの要件を赤の効果と結びつける発言がちらほら見えて、よくないなと思いました。

 藤本さんは「都は、過激な性表現のある作品のみが対象と言っているようだが、条文を照らすとそれは事実ではない」と指摘。現行条例でも不健全図書の規定がある中、改正案では「非実在青少年」に関する規定を新設しており、青少年の性を肯定的に描いたさまざまな作品が対象となり得ると懸念する。

「文化が滅びる」――都条例「非実在青少年」にちばてつやさん、永井豪さんら危機感 - ITmedia News IT media newsより引用

例えば漫画評論家の藤本さんの発言とされるこの部分も、オレンジと赤を混同してるように見えます。藤本さんが言うような、青少年の性を肯定的に描いたさまざまな作品は、オレンジの部分に入るかもしれないけれど、赤の部分にはまず入らないよね。不健全図書にはなりえない。(まさか強姦モノの成年向けコミックを「青少年の性を肯定的に描いたさまざまな作品」とは呼ばないでしょう。)

「ちょっとセクシーな描写があったら、すぐ不健全図書にされてしまうから、不当だ」っていう意見は、ここを混同しているか、意図的に誇張して議論を操作しているかのどちらかで、よろしくないなと思います。


反対派の主張のうちで僕が共感するもの

  • 都条例が青少年を18歳未満と定義するのはおかしい。16歳以上の女子高生がセックスする話を描いて何が悪いのか。婚姻できる年齢だし、自然な性行為ならいいのでは。

僕もそう思います。(まあこれは改正案に限った話ではないですね。)

  • 文言が曖昧なので、恣意的な運用がされうる。

僕もそう思います。わいせつ系の法文はいつも曖昧で、具体性に欠くところがあり、大きな問題ですね。今回は、3月17日付けで、条文の文言をかなり制限的に解釈する都の見解が発表されています。今後の審議の中では、ここにある具体的な解釈を、できる限り法文に取り込む努力をしてほしいと思います。

  • 小学生に見える外観のキャラが小学校に通っていたりするけれど、作品内の設定では、実はエルフで100歳だとか、○×星人だから200歳だとか、宣言されているとき、そういうのをどうするのかはっきりしない。

3月17日付けの都の見解では、たとえ幼児に見えても、18歳以上と設定されていれば、「非実在青少年」にあたらないとしています。するとザル法にも見えます。変な話ですね。

  • そもそも、指定図書制度自体が良くない制度だ。それを少しでも強化することになる今回の改正案には反対だ。

大きな主張ですがありでしょうね。

  • 非実在青少年」の規定はわざわざ加えなくても、元条例の解釈を広げれば、難なく規制できるはず。

これについては鋭い指摘が匿名ダイアリーに上がっています。http://anond.hatelabo.jp/20100319054706 新設される「非実在青少年」の規定は、元条例の部分集合にすぎないように読めるというのです。たしかにそうです。都議会は律儀なことをしているな、という感想さえ抱きます。


今後も感情的にならずに条文に立ち返った議論を

何よりマズかったのは、異常に早く審議が進んで、「都議会は都民に気づかれないようにこっそりとヤバいことをしている」というような印象を与えたことでしょうか。エロマンガゾーニング行政を変えることになるこの改正案、今後もみんなが感情的にならず条文に立ち返った議論をして、妥当な結論がもたらされることを願っています^^

西村潤西村潤 2010/03/20 15:36 文化が滅ぶ滅ばないはさておき、7条2号の「非実在青少 年を相手方とする又は非実在青少年による性交 類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識するこ とができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写する ことにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻 害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」は、青少年に対し販売しないように努めなければならないとあります。これは、成年指定では無いけれども、青少年には売るなよ、そういう義務があるんだからと言っています。そして、この7条2号に該当する図書類は、東京都はいちいち指定しない。この義務に、真面目な本屋さんが従おうとすると、内容に性交類似行為が描かれている絵とかがある本の全てを、青少年に売らないように努力しないといけなくなる。そんな事態になった時、出版社は、表現者が重要なテーマを伝える為にはこの描写は必要なんだと力説したとしても、「東京都で売れないからやめといて下さいよ。これで睨まれて不健全図書指定とか受けたくないんですよ」とか言われたら、立場の弱い書き手なら萎縮するでしょう。結果、重要なテーマ如何に関わらず、青少年の健全な育成如何に関わらず、そうなるでしょう。もっとも、法律家の方は、これくらいで文化が滅びると言うのは不当な表現だと言われるかも知れませんけどね。

kleinteichkleinteich 2010/03/20 17:19 > 西村潤さん
コメントをどうもありがとうございました。萎縮効果からのご意見だと思います。
ご指摘の点、繰り返しになりますが、8条の要件を満たさないかぎり、図書類が不健全図書の指定を受けることはありません。
そして、7条2号の図書類の場合は、「東京都で売れない」のではなくて、「東京都で 青少年に 売れない」というのが正しい理解です。ですから、改正案が通ったとしても、エロマンガを青少年に売りたいような場合を除いては、著作者は必ずしも萎縮せずこれまで通りの表現をすることが可能かと思います。また何かおかしなところに気づきましたらご指摘ください。よろしくお願いいたします。

西村潤西村潤 2010/03/20 18:30 素早いコメント、ありがとうございます。
確かに不健全図書指定は8条1号及び2号の曖昧な要件を都が満たしたとした場合のみの指定となります。
萎縮効果は「不健全図書指定を受けるかも」という萎縮もありますが、それ以外もあります。
7条2号に関しては、確かに「東京都で青少年に売れない」が正しいですね。訂正いたします。
繰り返しますが、7条2号に関しては、出版社にはそれだけでも萎縮するに充分だと思います。7条2号は成年指定ではないが性描写がある物も全て含みます。エロマンガを青年に売りたい場合に限らず、リアルな高校生の生活をリアルに描写したものであろうと、過去の歴史的な名作を漫画化した物でも、道徳的な物でも、青少年に訴えるべき内容であっても、さまざまなファクターに関わらず、この条例は行為の描写が少しでもあっただけで、基準が曖昧な為に該当しうると本屋さんも出版社も表現者も考えるのではないでしょうか。「健全な成長を阻害するおそれ」なんて、どんな表現だってありますよ。それでも、「必ずしも萎縮」しないと主張されるのでしょうか。
 もっとも、エロマンガというきわめて曖昧な語句を、僕は「成年指定」と判断しましたが、kleinteichさんが、性行類似行為にかかる描写があるものを全て『エロマンガ」と表現していたのなら、ここで描いた僕の反論は意味を成しません。その場合はご容赦願います。
ちなみに18歳以上を対象にソーニングをしてある図書(成年指定)を販売している人たちは、今まで通り自由に描く事が出来ると書かれていますが、成年指定なら不健全図書指定を受けないとは条例案のどこにも書かれていませんよね。不健全図書指定と成年指定は全く同じだと主張するのであれば、僕の条例案の読み込みが不足しているのかも知れませんね。

md2takmd2tak 2010/03/21 03:48 >表現規制ではない
という表現に引っかかりを感じます。
「表現の自由」とは単に表現することを妨げられない自由だけではないのでは?
その表現を受け取る側の自由も鑑みて判断する必要があるかと思います。

18歳未満の人は当該の表現を見ることが出来なくなるので、その部分に関してははっきり表現規制だと言うべきでしょう。

kleinteichkleinteich 2010/03/22 12:04 > 西村潤さん
ご質問の答えは「必ずしも萎縮」しない、でYesです。さすがに僕も、ご指摘のような萎縮効果が全くないと主張する気はなくて、著作者が一定の表現を躊躇うことはあるだろうと思っています。ずるい書き方のようですが、「必ずしも」と書いたのはそういう気持ちです。7条の場合は販売やレンタル等をしないようにする努力義務があるだけですから、もしかしたら罰則があるかもと気にすることもないし、大きな影響はないんじゃないかな。7条と8条の違いが作家の方や出版関係の方に認識さて、条文の意味内容がはっきりすれば、萎縮効果は最小限になると思いました。もっとも西村潤さんのようによく勉強されている方と、萎縮効果がある/ないで議論をするのは本意でありません。7条と8条を混同してオーバーに書き立てるような文章をたくさん見て、そのあたりをなんとかしたいなと思ったのが、これを書いた動機でした。以上簡単なレスですみません。

kleinteichkleinteich 2010/03/22 12:27 > md2takさん
どうもありがとうございます。コメントいただいて、「表現規制ではない」はよくない言葉だったかなあと思いました。
自分で使っておいておかしな話ですが、そういえば「表現規制」という言葉は意味がはっきりしません。ブログやニュースの見出しやなんかでよく見かけたのですが、法律の概念ではないし、「検閲」とも「表現の自由の侵害」とも意味が違いますし。行政がある表現行為を禁止すること…くらいの気持ちで、やや「検閲」という言葉に近い気持ちで使いました。一般的な語法とずれているのかな。
このエントリで書きたかったのは、
・この条例で規制されるのは青少年への販売等である(18歳以上には自由に販売等することができる)
・表現行為自体は制限されない
ということでした。一部の誤解してる人向けに、特定の表現行為が都によって禁止されるんじゃないのですよ、描くことは自由だし、青少年への販売等ができなくなるようにゾーニングされるだけですよ、と書きたかった。これを短くするつもりで「表現規制ではない」と書いたのは不適切だったかな。
表現の自由について、受け取る側からも構成すべきことはまさにおっしゃるとおりです。現在18歳未満の人に当該表現を伝えることができないという部分では、ご指摘のとおり表現しづらくなります。重要な補足をしていただきありがとうございました。

pecorin911pecorin911 2010/03/22 14:09  永山薫です。
 そもそも行政が表現にかかわる部分で強制力を行使しうること自体、問題だと考えています。
 現行条例の規制ですら、憲法判断では合憲とされているようですが、事後検閲と発禁制度に近い実効性を持っています。そこに指定できる範囲を拡大するような文言を加えるとしたら、「表現規制の強化」という評価を与えざるを得ない。
 後半部分を読むと、小池さんはそうした考えがあることを承知の上で書かれていることもわかります。にもかかわらず最初の方で「これ表現規制じゃないんだよ」と書いてしまったのは、すでにお気づきのようですが、いただけません。
 私は表現規制という言葉は「表現物の発表、流通への規制」だととらえています。従って表現行為自体は制限されません。表現行為を禁止したら、それは「表現規制」ではなく「表現弾圧」です。
 また、小池さんの「大きな影響はないんじゃないかな」「条文の意味内容がはっきりすれば、萎縮効果は最小限になると思いました」という発言は、出版現場にいる人間としては少々無神経に感じました。現場の人間にとってはその「最小限」ですら死活問題です。出版社が萎縮したら、漫画家は仕事を失うんですよ。

黄色異人黄色異人 2010/03/22 14:49 表現弾圧とかいろいろな問題があるのですが、ちょっとその辺は自分でも少しまとめなとと思っている部分なので置いときます。
表現規制ということについては確かにご指摘の通りです。おそらくかなりの人が、7条の自主規制と8条の指定制度を混同しているのではないかと思います。(別に存在するということを理解できてないのではないか)
ただ自主規制を求める範囲を広げるということは、これもまた実質的に規制を広げることにつながるということ、そもそも条文として規制を求めるべきではない範囲までも含めていることから、私自身は敢えて「表現規制」という言葉を使っています。(戦略的な意図もあるといえばありますが)
実質的には、今後の規制範囲拡大の踏み台になるという危惧、萎縮効果の懸念等、安易に規制を狙う体制の懸念がありますね。他方で本来必要な保護策があまり強化されているように思えない点も気にはなっています。(例えばPTAなどが問題にしている「子供が性的描写の色濃い漫画を手に取れてしまう状況」というのは、実はこの施策だとあまり改善されないよな?とか、擬似児童ポルノ関連は全部努力義務だよな?とか。)

なお該当の図についてなんですが、現都条例から見てQの範囲が若干広がっていることについては指摘しておきます。ただ、これは現都条例でも指定制度の範囲内にあるものを明文化したに過ぎず、どの程度意味があるのか?とも思いますが…。

yhyh 2010/03/22 15:57 巧みに隠し、煽情的にすることで成年指定との壁を潜ってきた作品、
テーマの関係等から年齢制限をなくしたいという信念から、成年指定との壁を潜ってきた作家さんのことを考えると
単なる検閲や、青少年に対して売ることができなくなるだけとは言い切れない問題でもあるので、
広義の表現の自由の侵害だという意見も尤もだと思います。
(※狭義…「表現する側の自由」、広義…「受け取る側の自由も含む」とします)
そもそも、児童保護の為に優先するべきことは何か、現状における問題は何かと考える限り、
架空表現や創作物に関する規制は、
他にするべきことを尽くし終えた後に行なうべき、真の最終手段であると思うのです。

md2takmd2tak 2010/03/23 01:00 id:kleinteich さん
丁寧な返信ありがとうございます。
狭義の意味だと表現規制ではないでしょうね。ただ、自分も表現の自由にそこまで含めてしまうと意味が伝わりにくい場合があるなぁと思っているので、もっといい表現がないか探している所です。

kleinteichkleinteich 2010/03/23 14:33 > id:pecorin911 永山薫さん
改正案を読んで、そして17日の都の見解を読んで、僕が思ったことを書いたのですが、不快な表現があったようで、失礼いたしました。
最も強い影響を受けるのは永山さんのような現場の方々ですから、現場から多数の反対の声がある以上は、やはり改正案には問題があるのでしょうね。仮に改正案が通るのであれば、表現活動に与える影響を最小限にするよう、行政や司法は早期に基準を明確にしないといけません。
そして、永山さんのコメントのような、そもそも現行条例がよくないところ、改正案はもっとよくない…という意見は筋が通っていてよくわかります。この話はそもそもの現行条例とあわせて議論されるべきところです。
貴重な現場からのコメントをどうもありがとうございました。

kleinteichkleinteich 2010/03/23 14:47 > 黄色異人さん
コメントをどうもありがとうございます。7条と8条のことを主に書きたかったので、その点を共感していただけて嬉しく思います。今後も慎重にフェアな議論がされてほしいところです。図についての補足もしていただき、ありがとうございました。

kleinteichkleinteich 2010/03/23 14:56 > yhさん
コメントをどうもありがとうございます。行政による制限は最終手段であるべきということ、もっともなご意見かと思います。
「成年指定との壁を潜ってきた作家さん」は、ぱっと思い浮かばないのですが、どういう人でしょう。「ふたりエッチ」を書いている克・亜樹さんなど?でしょうか?いくつか読んでみたいので、後学のためにコメント欄やメールなどで教えていただけるととても参考になり嬉しいです。

naqtnnaqtn 2010/03/23 16:36 ・記事中「都議会」は、「都」あるいは「審議会」では?
・表現規制反対論を理解するには「第三章の三」を合わせて考慮する必要があると思います。

pecorin911pecorin911 2010/03/23 17:00  ご丁寧にありがとうございます。
 しかし、
「現場から多数の反対の声がある以上は、やはり改正案には問題があるのでしょうね」
 というくだりにはあきれました。
 猛烈に反対している人がいるからといって正しいとは限らないぞ、というのが小池さんの出発点だったはずです。
 その立ち位置を放棄してどうするんですか?
 
 あと、ご参考までに、都側が判例として依拠していると思われる「岐阜県青少年保護条例事件」の判決文(合憲判決)はこちらから読めます↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25893&hanreiKbn=01

kxkx 2010/03/24 09:15 条例文だけを分析するのは不十分です。その運用姿勢と運用結果が問題なのですから。

kleinteichkleinteich 2010/03/24 16:27 > naqtnさん
どうもありがとうございました。「都議会」の表記は近く修正したいと思います。

kleinteichkleinteich 2010/03/24 16:41 > id:pecorin911 永山薫さん
どうもありがとうございます。改正案に問題があることは最初から認めています。このエントリは7条と8条の違いを説明すること、表現行為そのものへの広範な制約ではないことの2点をハイライトすることで、それほど悪いものではないのではないかと主張するものです。法律の良し悪しは目的と効果の総合評価ですので、賛成か反対か、正しいか正しくないかという単純な二項対立で話せるものでないことはご留意ください。

kleinteichkleinteich 2010/03/24 16:43 > kxさん
運用面の重要さを補足していだきありがとうございます。

pecorin911pecorin911 2010/03/24 18:10  もちろん、何事もそうですが二項対立ですむ問題だとは思っていません。
 反対派・賛成派という対立軸を前提とした論議自体、いいことだとは思いません。
 私自身、反対派にカテゴライズされがちなんですが、反対派と一括りされることには違和感をおぼえています。
 あと、すでにお気づきと思いますが、こと「表現」にかかわる問題は、常に歴史的文脈と政治的なレイヤーが関係してきます。条文解釈は重要ですが、この二つを切り離してテキスト分析のみで条例を評価できるとは考えていません。
 その意味で小池さんのアプローチは評価しますが、「それほど悪いものではないのではないか」という改正案への評価は首肯しかねるわけです。

popoipopoi 2010/04/11 16:27  はじめまして。
 複数の方々が言われておいでの「ゾーニング」等について、多少調べたり考えたりして、当日記に書いてみました。
 現状での、条例に基づく「有害」指定・「不健全」指定は、流通規制に繋がり、事実上の発禁状態になりかねません(当然、それは、表現をも萎縮させます)。
 或いは、沢山の書店・コンビニを圧迫するものです。
 ゾーニング的にも、逆効果と考えます。
 今回の都条例改正案は、その状況を、更に悪化させることでしょう。

http://d.hatena.ne.jp/popoi/20100330/1270191153

壺 2010/05/03 13:39 初めまして、なかなか面白い分析で参考になりました。
ただ今回の規制について、非実在青少年規定は努力義務規定だから大丈夫だといっていることについては疑問を感じます。
非実在青少年の規定が有害図書指定を行う青少年問題審議会の参考基準にされてしまえば、実質的な規制になるからです。
そして都もこう答えています。

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm
6.18歳未満の登場人物の性的な描写があれば、全て規制の対象になるのですか?

いいえ、そのようなことはありません。
今回の条例改正で、「子供に売らない」対象となるのは、18歳未満の登場人物の「性交又は性交類似行為」が明確に描かれたものに限られます。(「性交類似行為」については問4をご覧下さい。)
さらに、そのような「性交又は性交類似行為」の明確な描写を、正当な理由なく、読者の性的好奇心を満たすことを目的として、不当に賛美したり強調したりしたものに限定しています。
つまり、子供と大人、又は子供同士の性行為が、全編の大部分にわたって描かれたような、いわゆる「エロ漫画」のうち、子供との性行為の描写がメインとなっているものに限られます。
単なる裸はもちろん、子供のベッドシーンや性行為の描写が含まれるというだけで、規制の対象になることはありません。


つまりは、規定を満たせば18歳未満の性行為が規制の対象になるということです。
個人的に『エロマンガ』を規制したいのであれば、現状のポルノ規制の条項で十分だと思うわけですが…

壺 2010/05/03 13:39 初めまして、なかなか面白い分析で参考になりました。
ただ今回の規制について、非実在青少年規定は努力義務規定だから大丈夫だといっていることについては疑問を感じます。
非実在青少年の規定が有害図書指定を行う青少年問題審議会の参考基準にされてしまえば、実質的な規制になるからです。
そして都もこう答えています。

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm
6.18歳未満の登場人物の性的な描写があれば、全て規制の対象になるのですか?

いいえ、そのようなことはありません。
今回の条例改正で、「子供に売らない」対象となるのは、18歳未満の登場人物の「性交又は性交類似行為」が明確に描かれたものに限られます。(「性交類似行為」については問4をご覧下さい。)
さらに、そのような「性交又は性交類似行為」の明確な描写を、正当な理由なく、読者の性的好奇心を満たすことを目的として、不当に賛美したり強調したりしたものに限定しています。
つまり、子供と大人、又は子供同士の性行為が、全編の大部分にわたって描かれたような、いわゆる「エロ漫画」のうち、子供との性行為の描写がメインとなっているものに限られます。
単なる裸はもちろん、子供のベッドシーンや性行為の描写が含まれるというだけで、規制の対象になることはありません。


つまりは、規定を満たせば18歳未満の性行為が規制の対象になるということです。
個人的に『エロマンガ』を規制したいのであれば、現状のポルノ規制の条項で十分だと思うわけですが…

壺 2010/05/03 15:05 こっちのほうがモロに宣言してますね

9.東京都だけが新たに「青少年の性行為が描かれた漫画やアニメ」を規制するのはおかしいのではないですか?

東京都以外の大部分の道府県は、個別指定制度のほか、包括指定制度(「全裸・半裸での卑わいな姿態」または「性交もしくは性交類似行為」の描写の分量により幅広く規制する制度(ページ数や一冊に占める割合を基準として子供への販売制限を決める制度)を併用しています。
この包括指定制度は、大部分の道府県で「全裸・半裸での卑わいな姿態」または「性交もしくは性交類似行為」の描写の分量によって指定を行うものです。そして、「性交又は性交類似行為」については、性的刺激の程度とは関係ないことが多く、描かれている性行為の主体が青少年か否かを問いません。このため、他の道府県では、現在でも、青少年の性行為が一定の分量以上描かれた漫画などは指定の対象となり得ます。
一方、東京都は、個別指定制度のみを採用することで、特に慎重な手続きをとってきました。個別指定制度とは、販売されている本の中から、個別に本の内容を確認し、その性的刺激の程度を踏まえて、青少年健全育成審議会という第三者機関に諮った上で、いわゆる「18禁図書」として指定し、指定後は、子供への販売などを制限する制度です。
今回、東京都では、これまでの「性的刺激の程度」という基準では対象とならなかったもののうち、子供を悪質な性行為の対象とする図書類について、「18禁図書」に追加できるように明確に条例で規定しようとするものです。
したがって、東京都のみが、「これまで他の道府県では規制されていなかった」「青少年の性行為が描かれた漫画などを規制する」ものではないのです。

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また都の説明では『18歳未満のキャラクターに対する強姦(レイプ)や近親相姦(親子や兄弟姉妹間のセックス)など、実社会では社会的に許されない悪質な性行為について、読者の性的好奇心を満たすため、あたかも楽しいこと、社会的に許されることであるかのように描くような漫画』を規制するためのものだと言っていますが条文では『年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写すること 』としか書いていません。

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最後にゾーンニングは表現規制ではないという意見ですが、ポルノ市場は極めて市場規模が限られます。特に女性用ポルノはほぼ0です。
そういう状況を無視して『いかにも如何わしいですよ』というポルノ市場で売れというのは、インディアンを居住区に押し込めて、「今日からここで暮らしてくださいね!え、ここじゃ生きていけない?んー、頑張ってくださいよw え、絶滅する?そりゃー自己責任ですよw」みたいなことだと思います。

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