風食 / 水食 / 塩害
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砂漠化の直接の原因の一つに風があります。風は土を動かす働きを持っています。この働きにより、肥沃な土(表土)が奪い去られてしまうと、植物の根があらわれて枯れてしまいます。また表土が失われた場所は、植物が必要な水や養分を十分に与えることができないので、植物の育ちは良くありません。さらに、風が吹くたびに、残っている肥沃でない土砂も奪われ続けるので、植物は育つことができません。このように風が土砂を運び去ることで砂漠化(がおこるわけです。
ところで、風によって運び去られた土砂はどこに行ってしまうのでしょう?消えてしまうはずはないのでどこかにあるはずです。広い範囲に散らばっているとちょっとホコリっぽいですが、まあ、あまり大きな問題にはなりません。しかし、狭い範囲にたまってしまうとたまった範囲の土地をたまる前と同じようには使えなくなってしまいます。家や農地が土砂に埋もれてしまうと大変ですね。たまる土砂の大半は表土ではないのでたまった場所に植物を植えても育ちが良くありません。さらに風が吹くたびに土砂が運び込まれ植物は埋もれてしまい育つことができません。このように風が土砂を運び込むことでも砂漠化(がおこるわけです。
このように風は、土を運び去ることと運び込むことの二つの方法で、砂漠化(を進めます。
春先に日本にやってくる黄砂は、ユーラシア大陸の中央部における砂漠化(の影響を受けて、どんどん激しくなってきています。日本、中国、韓国、モンゴルが黄砂対策を一緒になって考えています。
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水食
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砂漠化(の原因のうち、最も大きな割合を占めるのが「水食」です。水食とは、雨粒と表面を流れる水の流れの勢いによって、土が斜面の下の方へと少しずつ流され、土の厚さがどんどん薄くなっていってしまうことです。
土には「保水力」と言って、しみこんできた水をため込む能力があります。この土の保水力のおかげで、雨や灌漑(のあと何日も何十日も植物の根が水を吸い続けることができるわけです。土の厚さが薄くなると、薄くなった分だけ水をため込む能力が減るため、余った雨水が表面を流れやすくなります。そうするとますます土が流されて薄くなり、ひどい場合には岩肌がむき出しになってしまいます。岩肌や石ころには保水力がほとんどありません。ですから、土が流されて岩肌がむき出しになった大地には、たとえ雨が時々降ったとしても、もはや植物が生い茂ることはできません。これが水食による砂漠化(です。
砂漠(といえば雨の少ないところなので、雨によって砂漠化(が起こるというのは意外に思えるかもしれません。でも考えてみれば、雨のほとんど降らない地域はもともと砂漠(なので、砂漠化(は起こりません。砂漠化(が深刻なのは日本の1/5程度の降水量((雨と雪の量の合計)
をもつ半乾燥地(です。降水量が1/5と言っても雨季(雨の多い時期)と乾季(雨の少ない時期)がはっきりしているので、降るときには一度にたくさん降ります。年降水量のほとんどが1日で降ってしまうことも珍しくありません。雨季の始まりは乾季の終わりでもあります。樹木は葉を落とし、草花は種となって乾季を乗り切ります。半乾燥地(では日本の森や草原のように植物や落ち葉によって土がおおわれているわけではないため、地面に直接雨粒が当たり、目詰まりを起こして土の中にしみ込みにくくなり、表面を水が流れ始めるのです。
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砂漠(地帯の国々では、地面に塩がたまる塩類集積(という問題を抱えています。塩類集積(が起きると、土の中の塩が植物に害を与えるため、その土地はやがて植物の育たない土の塩だけの砂漠(となっていきます。
1・・塩類集積(とは?
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砂漠(などの乾燥地(では、降水量(が非常に少なく、土も空気も非常に乾燥(しています。このような場所では、雨だけで畑に十分な水をあげることはとてむずかしいことです。そこで乾燥地(では、用水路などを作って近くの川や湖から水を引いたり、地下水をくみ上げたりして畑に水をまいています。畑にまかれた水は、一部は植物がすい、一部は土の下の方へと流れ、一部は蒸発(といって水が水蒸気(に変わって空気中に水が逃げていきます。土の中に残る水はわずかで、その土の中にある水は地面の上の方が乾いてくると下の方から上の方へと少しずつ移動して、表面のあたりで蒸発(してしまいます。
砂漠(などの乾燥地(では、太陽が強く照りつけるため、たくさんの水が下から上へと移動し、蒸発(してしまいます。川や湖、地下水には、いろんな種類の塩がとけているのですが、土の中で水が移動するときにこの塩も水の中に溶けたままで一緒に移動します。しかし土の表面あたりで水が蒸発(するとその中に溶けていた塩は固まりとなって残ってしまいます。「塩が溶けている水をまく→その水が蒸発(して塩が残る」を何度もくり返すうちに、地面にはたくさんの塩がたまり、大きな塩類集積(をおこしてしまうのです。
日本などでこのようなことがほとんど見られないのは、土の中の塩がたくさんの雨で洗い流されてしまうからなのです。
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2・・植物と塩
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植物の体内の水は、何も混じっていない水に比べると濃くなっています。植物の根の周りにある水が植物の体内の水よりも薄ければ植物は水を吸うことができますが、周りの水の方が濃ければ植物は水を吸うことができず、反対に体内の水を失ってしまいます。植物体内の水にも塩が溶けています。
もし根の周りの水に体内よりもたくさんの塩が溶けていたら植物はどうなるのでしょうか?
そうです。植物はその水を吸うことができず、やがてしおれて、しまいには枯れてしまうのです。また体内に水と一緒に取り込まれた塩のうち、ある種類のものは植物の体の働きを狂わせてしまいます。ですから、乾燥地(では地面に塩がたまりやすいため植物が育ちにくく、たくさんの塩類集積(が起こると植物が生きられなくなり、やがてただの塩と土だけの大地となってしまうのです。
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3・・塩類集積(への対策
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この問題を解決するためには、一度にたくさんの水をまかずに少しずつ植物が必要なだけの水をあげるなど、畑の水やりの仕方を工夫したり、土から塩を取り除いたり、塩に強い植物を植えたりしなければなりません。
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