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【編集局デスク】

ネット社会の罠

2011年3月5日

 仙台の予備校生がインターネットの「知恵袋」という質問掲示板に京都大の入試問題を投稿していたとして偽計業務妨害容疑で逮捕された事件には、大いに驚かされた。さらには、ネット社会がここまで進んできたことへの不安と恐怖を覚えた。

 言うまでもなく、人間は言葉でものを考えて、伝える。そのコミュニケーションは、初めはフェース・ツー・フェースであった。つまり対話である。怖いときには怖い表情をして、愉快なときには笑いもしながら話したに違いない。

 それが、手紙になり、電話になり、さらにはネットになると、徐々に表情は失われていった。話の終わりに(笑)などと付けるようになった。自然に対人関係が希薄になり、相手とうまく関係が切り結べなくなる人が増えている。これがネット社会の罠(わな)でもあろうか。

 今、教育現場の閉鎖性が問題になっているらしい。教え子にわいせつメールを送るなど不祥事を起こす教員が増えたという。教育評論家の尾木直樹さんは「授業後に職員室でパソコンに向かう教職員が多い。もっと児童生徒と触れ合う職場環境づくりも必要」と言っている。

 人様のことばかり言っていられない。新聞記者も支局や本社でパソコンに向かう記者が多い。記者はまずもって現場である。何もなければ、居酒屋にでも行ってどんなことが酒のさかなになっているのか、聞いた方がよほどためになる。

 最近はマイカー通勤の記者が多く、なかなか酒の機会もつくれないが、私は、車を買うお金もなかったためしばらく、公共交通機関で通っていた。

 さて、注目の出直し名古屋市議選が告示された。選挙は言葉による戦いである。名古屋の将来はどうあるべきか。有権者の「知恵袋」たるべく中日新聞は判断材料を示していく。

 (名古屋本社編集局長・志村 清一)

 

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