最初で最後なのだそうだ。先月末、米スペースシャトルが国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功し、日米欧ロの有人宇宙船と無人補給機5機種6機が地上約400キロで勢ぞろいしている
日本の「HTV(愛称こうのとり)」2号機は1月下旬に到着した。ISSは世界15カ国の協力で建設、運用されている。ひとときの“にぎわい”は国際プロジェクトを象徴するビッグイベントだ
日本科学未来館(東京)館長で元宇宙飛行士の毛利衛さんは初めて宇宙から地球を見て、「地球全体が一つの生命体となって生きている」と実感した。宗教的体験にも似ていたという(PHPサイエンス・ワールド新書「日本人のための科学論」)
それが、貴重な地球環境を一日でも長く保たねばとの思いにつながった。毛利さんは「科学には個々の人間に人類全体のことを思い起こさせる力がある」という
生命が存在しない真空の宇宙空間で、人類が生き延びられる最先端科学の粋を集めたISS。「ミニ地球」と言われるゆえんだ。宇宙での着実な国際協力の成果を、地球が直面するさまざまな難題解決にも生かしたい
ISSから中東の動乱は見えまいが、乗組員はどんな思いでいるだろう。国の指導者がみな宇宙へ行けば考えも変わるに違いない。