越境住民27人、北朝鮮側拒否で送還できず(下)
1.体制への脅威と判断
今回南下した住民は過去最大規模の31人に上る。彼らが北朝鮮に戻り、4人が亡命した事実が明らかになれば、住民が動揺する可能性がある。中東で民主化デモが続き、突発事態に備えた韓米合同軍事演習が行われている現状も、北朝鮮を敏感にさせたとみられている。
2.反撃機会
北朝鮮は哨戒艦「天安」爆沈事件、延坪島砲撃で韓国側から強い非難を受けた。しかし、今回は北朝鮮が「南が亡命工作をした」「人道主義問題を悪用した」などと攻勢をかけている。韓国政府の関係者は「北朝鮮が送還問題を逆襲の機会として活用しようとしているのではないか」と述べた。
3.追加的な亡命防止
北朝鮮住民が韓国側に南下するケースは増えつつある。北朝鮮は、さらに似たようなケースが発生することを懸念している。高麗大のチョ・ヨンギ教授は「(北朝鮮は)海上で亡命者が続出する事態を防ぐため、強硬に対処している」と指摘した。
慶南大の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は「(米韓合同軍事演習の)キーリゾルブが終わる10日まで、北朝鮮は圧力攻勢をエスカレートさせるはずだ」述べ、北朝鮮は今後、米朝、南北間の水面下での接触を通じ、韓国側に「謝罪」を求め、27人を受け入れるとの見方を示した。
■延坪島以降、越境者の調査様変わり
統一部によると、2004年以降、北朝鮮の船員、船舶が韓国側に南下してきたケースは30件あるという。大半は2日以内に送還か亡命が決まった。しかし、昨年11月に北朝鮮が延坪島を砲撃したのを境に、韓国側の調査期間が長期化した。
昨年12月3日に延坪島に南下してきた3人、同25日にペンニョン島に南下してきた1人は1カ月以上の取り調べを受けて、北朝鮮に戻った。
安全保障当局者は「今回は31人も南下してきたため、25日間調査したのは長いとは言えない」と述べた。北朝鮮は韓国の船舶が越境した場合、通常1カ月程度取り調べた末、韓国側に送還している。
アン・ヨンヒョン記者
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