2011年3月4日22時53分
女の子の行方がわからなくなったスーパー「エース清水バイパス店」=4日、熊本市高平2丁目
女児がいなくなったトイレ。手前から女子用、身体障害者用、男子用の扉が並ぶ=4日午後5時30分、熊本市高平2丁目、恒成利幸撮影
女児の遺体が発見された坪井川左岸の水路。水色の格子の奥で発見された=4日午後4時22分、熊本市八景水谷1丁目、朝日新聞社ヘリから、藤脇正真撮影
女児が行方不明になったスーパー(1)と遺体が発見された山室橋(2)=4日午後4時25分、熊本市、朝日新聞社ヘリから、藤脇正真撮影
熊本市内のスーパーで3日夜、3歳の女児が行方不明になる事件があった。熊本県警は、防犯ビデオなどの情報を基に4日午後、市内に住む大学生の男から事情聴取。「殺して川に捨てた」との供述に基づいて捜索したところ女児の遺体が見つかり、県警は男を死体遺棄の疑いで逮捕した。男は「手で首を絞めた」と話しているといい、県警は殺人容疑の適用を視野に詳しい状況や動機を調べる。
遺体で見つかったのは、熊本市清水東町の介護士、清水誠一郎さん(39)の長女心(ここ)ちゃん。逮捕されたのは、同市兎谷(うさぎだに)1丁目、熊本学園大学2年山口芳寛容疑者(20)。
県警によると、心ちゃんは3日午後7時20分ごろ、両親や5歳の兄と一緒に熊本市高平2丁目のスーパー「ビッグ・ザ・ビッグ エース清水バイパス店」に入店。10分ほど後に両親がレジで精算中、「トイレに行く」と言って1人で店舗内のトイレに向かったまま行方が分からなくなっていた。午後8時ごろ、母親が「子どもが迷子になった。捜しているが見つからない」と110番通報した。
店内の防犯ビデオに心ちゃんがトイレに入るのが映っており、その1分ほど後、男がトイレに入る姿があった。男はしぼんだリュックを背負っていたが、15分後にトイレから出てきた時にはリュックが膨らんでいた。この3〜4時間前の午後4時ごろに、この男が入店する映像も残っていたという。
県警はこの映像を基に300人態勢で聞き込み捜査をし、学校関係者から「似ている卒業生がいる」との情報を得て山口容疑者を特定。4日午後2時ごろ、自宅から任意同行を求め事情を聴いたところ、殺害を認めたという。
県警の説明では、山口容疑者は「トイレの個室に入ってから殺害した。リュックに詰めて自転車で遺体を運び、リュックから出して川に置いた」と話しているという。トイレはスーパーの北側にあり、入ったのは身体障害者用らしい。遺体を遺棄したのは3日午後8時10分ごろとみられるという。
スーパーは熊本市の中心から約4キロ北。周辺は住宅街で、国道3号沿いにある。遺体の発見場所はスーパーから北へ800メートルほど離れた同市八景水谷(はけのみや)1丁目の坪井川左岸にある水路の中。水路の開口部には格子があるが、心ちゃんは10メートルほど奥に横向きに倒れていた。行方不明時と同じ服装で、着衣の乱れはなかったという。
県警は4日午後10時半から1時間半ほど、山口容疑者宅を捜索し、自転車などを押収した。