そらのさん&上司さんにインタビューしたよ!

February 12 [Fri], 2010, 22:30
 2月10日夜。紀伊国屋新宿南口店の裏手、明治通り沿いにある雑居ビルの5Fにある、株式会社ソラノートさんのオフィスにお邪魔しました。そこで、『ケツダンポトフ』そらのこと佐藤綾香さんと上司のUさんにお話を伺いました。
 尚、その模様はUSTで逆取材をされて公開されております。お時間のある方は、そちらのご視聴もよろしくお願いします。

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Parsley(以下P):株式会社ソラノートは、株式会社ジリオンという人材派遣の会社の、子会社という認識でよろしかったでしょうか?
そらのさん(以下S):子会社というより、経営している方が一緒だということですね。
P:代表の井上弘さんは、検索してみるとTBSの代表取締役会長と同姓同名なのですが、別人ですよね?
S:そうですね、きっと私の知っている代表ではないと思います(笑)。
P:人材派遣・調査する会社と、Webサービスの運営会社とは一見結びつかないような気がするのですが。
S:もともと弊社の代表がWebで何かおもしろいことをやりたいと考えていて、今の上司が働いていて声がかかったのですね。それで、『ソラノート』というサービスが出来上がり、それで広報の応募があって(私が入社して)、現在に至ります。
P:『ソラノート』をリリースしたのは、どのような経緯で思いつかれたのですか。位置情報と掲示板を連動させるというのはとてもユニークなアイディアだと思うのですが?
S:もともとは喫茶店の席にノートがあってコメントが残していく、旅行先のレストランにあるノートのような「セキノート」という概念があったんです。
上司Uさん(以下U):当時の位置情報の精度が低くて小さな席という単位での実現は不可能だったので、徹底的に広げてみて空にしてみたら面白いんじゃないかな、ということで誕生したのが『ソラノート』です。
P:サービスを終了させた理由は−
U:リソースが足りないからです。『ケツダンポトフ』で依頼が多くなると、常勤二人だとお金も人もかける余裕がまったくない。もともとサービスをどんどん打ち出していって当たったものにリソースを集中しようと考えていました。
P:複数のサービスをリリースするというよりも、『決断.com』や『ケツダンポトフ』といったサービスを出していって、たまたま『ケツダンポトフ』が注目を浴びたので、リソースを投入しているという段階ということなんですね。
S:そうですね。
P:『決断.com』も面白いサービスだと思っていたのですが…。
S:まぁいろいろとプロモーションを失敗したり…。
U:いつもスタートで、お金がないよね、人がいないよね、というところで躓くんですよね。
S:何か困った時に誰かに決めたらどうなの、というアイディアで、私がもともと優柔不断なので、「それ凄い面白いです助かります」って。
U:もとはこういう会話から入って、あとはイメージ化して僕は仕様書を書いて、代表に決済もらって、「さあ作ろう!」と。
P:あの神様にお願いしているロゴがいいですよね。
S:デザイナーさんのセンスですね。ほんとうに残念なんですけど、1月末で『決断.com』はサービス停止しました。
P:残念です。それでは、各サービスでマネタイズということにこだわってはいらっしゃらないのですか?
S:最初に面白そうだから作って、その後にプロモーションやマネタイズについて考えるというようなのが実情ですね。『決断.com』の時も、このタイミングでマネタイズしてとか考えてはいたのですけれど。
P:『ケツダンポトフ』に注力しているので、現在では他のサービスをリリースするということは考えていらっしゃらない?
S:そうですね。皆さん注目して頂いているので、これを生かしてもっと面白いこと出来ないかな、というところです。
U:今は他のことを考えている余裕はないですね。

P:『ケツダンポトフ』は、ソラノートという会社の広報活動の一環ではじめられたのですよね?
S:スタートは『決断.com』のプロモーションの一環で、『決断.com』に人が流れればという思惑があったのですけれど、意外とダダ漏れしているぞ、という方に注目されたということですね。
P:"ダダ漏れ一号"のトミモトミエさんのことを知ったのはいつですか?
S:2009年の5月に入ってからですね。
U:それを知って一週間後にはじめていたと思います。
P:佐藤さんが「やろう」と思ってやったのか、上司さんに「やれ」と言われてやったのかどちらですか?
S:「決断」のインタビューをライブチャットでやるというというアイディアが出て、「面白いですね」と言っていたら、上司がカメラを買ってきて渡されたので、『了解です!』みたいな(笑)。
P:『ケツダンポトフ』をやることにより、ソラノートという会社のイメージ向上に役に立っていますか?
S:実際は結びついていないですよね。私が名刺を渡すと、「えっ、株式会社なの?」とよく言われます。「そらの」という人物の裏には株式会社ソラノートがある。だから、ソラノートのやること=「そらの」のやること、なんですよ。例えば、そらのが新しいサービスを始めるとするじゃないですか。すると、そらのを見ていた人が「何かはじめたぞ」となるだろう、と。
P:今ご自身がされている活動が、今後のサービスに繋がっていく、と。
S:これを上手く生かして、新しく『ケツダンポトフ』の第二第三フェイズに入って、それが成功してソラノートが大きくなったら、と思っています。そうしたら『決断.com』復活させるんだ、と(笑)。
P:やっぱり復活させたいですか。
S:あれは絶対面白いですから。惜しいですもの。

P:加ト吉(テーブルマーク株式会社)さんよりの月30万円の出資は、ソラノートさんへのものだという認識でよかったでしょうか。
S:私の"ダダ漏れ"の活動費、ですね。
U:会社同士の契約は交わしています。期間は一年間です。テーブルマークの末広(栄二)部長が豪快な方で、会社のイメージアップのためにやっている人達をバックアップしているというスタンスを見せたいということで、細かいことはおっしゃらないんですよね。びっくりしたのは、はじめてお会いした時に、「いくら欲しい?」と言われて(笑)。
S:それも、私のいないところで決まったんですよ。Twitterの企業アカウントの中の人が集まったところで、KNNの神田(敏晶)さんにご紹介頂いて、スポンサーが決まり、私のiPhoneに「そらのちゃんおめでとうございます!」と電話が入って、「えーっ!!」って(笑)。
U:うちがどれだけ大きくなっても頭の上がらない人が三人いて、トミモトさん、いちるさん、それに神田さんです。当初応援してくれた方々には借りが大きいですね。
P:スポンサーがネット業界ではかなり反響が大きかったと思うのですが、佐藤さん個人に出資されたような印象があったのですが、今は佐藤さんを押し上げていくことを考えていらっしゃいますか?
S:今はソラノートの活動がそらのなので。他のサービスを運営していてサービスの広報だったなら違うので。
U:『ケツダンポトフ』はメディアにしようという構想が明確でしたからね。
P:スポンサーは常時募集中ですか?
S:募集しているということはないですね。お話があれば是非お聞かせ下さいというのはありますけれど。
U:今は第一フェイズなんですよ。今の段階で収益は見込んでいなかったのですね。ビジネス化は第三フェイズで盛り込んでいたので。だから、加ト吉さんは宝くじが当たったようなものです。でも、なって頂けるならよろこんで、ということです(笑)。
P:ちなみに、ご昇給はなさっていませんか?
S:してないです(笑)。赤字ですから。
U:数字出した暁には、二人で横断幕作って社長室へ"ダダ漏れ"しにいくかもしれないです(笑)。

P:『ケツダンポトフ』の中でも、「英語ペラペ〜ラへの道」が面白いと思っているんですが、これは店舗さんとのタイアップ?
S:いえ、こちらで何もお支払いできることはないのですけれど、教えて下さい。そのかわり好きなことをPRして下さい、というご好意ですね。いろいろな方に支えられて『ケツダンポトフ』は成り立っております。
P:今一番やってみたいことってありますか?
S:年末くらいからずっとファッションをやりたいと言っていて、3月くらいヘアメイクのファッションショーの"ダダ漏れ"がかなうかもしれないです。
P:亀井静香金融・郵政担当大臣の第二記者会見を生中継されたことはインパクトあったと思うのですが。(参照
S:記者会見の開放はずっと注目していて、雑誌記者・フリージャーナリストの会見が開かれると聞いて、まず議員会館にお電話して、亀井先生の部屋に通してもらって「フリーの会見に参加したいんですけど」と話をすると、何クッションかあって金融庁の担当とメール・電話でのやり取りがあって実現しました。
P:やっぱり大変でしたか?
S:大変でしたね。どう『ケツダンポトフ』メディアとして認めてもらえるか、「オバマ大統領も使ったんですよ」と伝えたり。"ダダ漏れ"が許可されるまでに時間がかかって楽しかった。面白かったですね。「返事きたー電話きたー次は何だ?」みたいな(笑)。
P:ちなみに、同じタイミングで法務省も記者会見の開放しているのですが、ご存知でしたか?
S:いろいろなところが開放をしているのですけれど、手が回らないので、一番最初に許可された金融庁さんを取材しているということですね。
U:我々は報道メディアを作りたいわけではなくて、どちらかといえばエンタメというスタンス取ろうとしていて。ただ、あらゆることの「事例」を作りたいんですね。単純にこれから面白い会見があればアピールするしというスタンスですね。政治系にこだわっているわけではないです。
P:例えば、亀井大臣と国民新党の会見だけを放送して、他の政党・政治家の会見を放送しないと、政治的に恣意的だという批判を受けかねないのではと思うのですが?
U:受けてもいいと思っているんですね。何の(政治的な)ポリシーないですから。
S:実際受けてもないですし。私は亀井大臣の会見に2回しか参加していないですし、ずっと張り付いているわけでもないですし、批判されたら批判されたでいいかな、と。
P:では、もともと政治に興味があったというよりも、はじめて記者会見が開放されたから行ってみようというスタンスだった、と。
S:そうですね。どちらかというと私そういうこと分からないから、という。
U:最終的に僕の指示ということになってしまうんですよね。ある意味、メディアとして認めてくれるかな、という博打を時々してみたいんですよね。
P:レガシーな存在や官公庁が認めてもらえるかという石を投げてみたい?
U:そういう天邪鬼なところがあるので(笑)。亀井大臣のインタビューでも、twitterで募集をかけるので、彼女の言葉ではないのですよね。
S:私の声ではあるけれど、私の言葉ではないのです。
P:tiwtterのタイムラインから、質問を選別することって、大変なんじゃないかと思うのですが。
S:実は私が選別しているわけではないんですよ。
U:僕がしています。我々は生放送のクオリティはすごく気にしていて、トラブルに対応しています。それで放送中は必ずモニタリングして、指示をしょっちゅうしているんですね。質問の選別はその中で僕が三つか四つ投げるんですよ。その中で、分かりやすいものを彼女が選んでいるんです。
S:撮影していると、見る時間はあるんですけれど選別している時間はないんですよ。
P:上司さんがピックアップした中から一つ二つを質問してみるというフローなんですね。
U:選別の最大の指針は、端的かどうかなんですね。出来るだけ短い文章で、突っ込める内容を選んでる。
P:ではご自身「ジャーナリスト」という感覚はない、ということですね。
S:「ジャーナリスト」ではないです。わたしは「アバター」なのです。

P:今後、インタビューする相手や挑戦してみたいことはありますか?
S:鳩山由紀夫首相ですね。いつか行きたいですね。実は、"ダダ漏れ"をはじめる前から、「決断インタビュー」でずっと取材依頼をしているんですよ。
P:まだ民主党代表当時から?
S:ブログの方から依頼していて、「こちらではスケジュール管理していないから」と別のアドレスに誘導されたところにずっとメールしているのですけれど、お返事頂けてないんですよね。
P:そこまで鳩山由紀夫さんに注目されている理由は何ですか?
S:とりあえず今は首相だからですね。何かのブレストをしている時に、それこそ「面白そう」だから「鳩山さんだ」ってなって。最初小沢(一郎)さんにいこうとして(進退的に)まずそうなので、鳩山さんだ、鳩山さん、鳩山さん、って。
P:政治家以外では?
S:ユーザーからリクエストを頂いているんですけれど、その中ならスティーブ・ジョブズというお声があって。ジョブズも逢ってみたいなーアポイント取れたらすごいなーって。
U:基本的にそらのは天邪鬼で、断られると燃えるタイプなのでムキになりますよ(笑)。
S:お断りのメールがないとお断りだと思っていないんで(笑)。断り文句が一つでもあれば諦めるんですけれど、それがない以上送り続けますね。

U:パセリさんは、彼女のことをジャーナリストだと見えますか?
P:簡単に言ってこれまでのジャーナリズムが壊れてきていると思うのです。その上で、既存のものとは別の文脈からtwitter上などネットで一般人がtwitter上で火事の速報を行ったりする事例が次々に現れている。そういった現象はジャーナリストではないのだけれど、(コンテンツが)ジャーナリズム的だよね、と興味深く見ているのですね。そらのさんがやっていらっしゃるUSTも、そのようなものの一端を担っているのではないかな、と見ています。
U:うちの社訓は「面白いもの」なんですね。それの内面というのは、「対立軸」という言葉が大嫌いなんですよ。「いっしょにやろうよ」というのが僕のポリシーなんですよ。出来るだけオープンにしましょう、と。既存のジャーナリストの批判目線が大嫌いなんです。僕らは目の前にあるものを面白いというと思ってやっているんです。そらのも、ジャーナリストというとちょっと不機嫌そうな顔をすると思います。もう批判はやめましょう、と。今度、上杉隆さんと池田信夫さんの対談をやりますけれど、確かに面白いんですけれど最後は本気で握手して欲しいんですよ。
P:個人的には、日本が批判している余裕もなくなっていくんじゃないかという思いもあって、それで既存のメディアがどう感じるかは分からないですけれど、新しい動きは追っていきたいなと思っています。
U:我々のような動きでやると、いっぱい問題が起きてくると思うんですね。今年は、問題が出るだけ出ればいいと思っています。起こった時に対処すれば前向きにしておけばいいと考えています。弊社はノーアポではなく、プレスパスを取っているので、適当に突撃すればいいと思われると困るな、というのはありますね。
P:そらのさんの場合、交渉もtwitterで可視化されているというのはありますよね。
S:蓮舫さんの事業仕分けの時がまさにそうですね。言ってみるもんだなーって(笑)。
P:そらのさんがなさっていることで、UST自分も出来るんじゃない、と思ってやってみようという人が増えるんじゃないかと思うのですが。
S:そういう人が増えてほしいんですよ。ただ、ちゃんとアポを取ってマナーは守って欲しいです。

P:仮に、USTする人が増えたらライバルにはならないんですか。
S:ならないです。「そらの」というインターネット放送局をブランド化したわけではないんですね。
P:「ライブ動画の総合メディアを作りたい」という記事を読ませて頂いたのですけれど(参考)、現状では『ケツダンポトフ』がコンテンツなわけですよね。多くの動画が集まったプラットフォームというのは、先程から出ているフェイズの何段階目になるのですか。
S:二段階目を予想しています。どちらかというとCNNの24時間放送のように、今現在やっているライブ配信、ここでセミナーしています、DJしています、出版記念パーティーをしています、とキャスターが独断と偏見でどんどん紹介していく、というイメージですね。
P:そのキャスター役をそらのさんがやりたい?
S:私であってもいいし、2号、3号、4号でもいいし。現状でもいろいろなところで、USTは行われているわけじゃないですか。それを知りえる機会がない。私もクリスマスイブのDJ・okadadadaさんのUST見たかったですもの! 今これをやっていますよ、というサービス、サイトを作りたいですね。
P:今USTをやっている人が少ないのか、USTをやっている人が見つけられていないだけなのか、どちらなのでしょう?
S:見つけられていないだけなんじゃないかと思いますね。twitterでもUSTのURLが記載されている発言を見かけるようになりましたし。
U:視聴率と同じで沢山の人が見てくれないとモチベーションが持たないんですよ。今USTをしていることをリアルタイムで知るメディアはtwitterしか存在しないんですね。だからフォロアー数の多いユーザーに集まってしまう。だから実験的にはじめた人にはモチベーションになかなか続かない。それを紹介するものが絶対に必要。それはメディアになるだろうと思います。プラス、ネットみたいに前のめりに検索するのではなく、テレビのように「ながら検索」という考え方のほうが正しいと思っています。例えば24時間キャスターがいて、デスクトップ上に表示できると。そこで時々ユーザーに絡むし、ダイレクトにここで火事があります、とピックアップして紹介して、そこにビューアーが増える。だからなんとなくラジオ的に流れている検索手法が出てきてもいいんじゃないかと思っています。
P:お話を伺っていて、はてな提供していたYouTubeの人気動画をテレビのように見られる「Rimo」というサービスに近いのかな、と感じたのですが。
U:ただ、USTの面白みって共有と参加なんですよね。この前、FM東京さんのスタジオでUSTの"ダダ漏れ"をしたのですけれど、パーソナリティがリアルタイムで反応してくれたりすると、圧倒的に楽しいわけですよ。そのライブ感をなくてただ機械的に情報を流すというのはTVの延長じゃないの、と。我々はリアルタイム+双方向のながら検索というのを目指していて、いろいろな人のご協力を得て、もう実現に手の届く状況にいます。多くの人にライブ配信は楽しい、何千何万見ている、という感覚を伝えたいですね。

S:この取材はいつUPされますか?
P:明日しまーす。(といいつつ一日遅れです。ごめんなさい!)
S:今日はありがとうございました。
P:ありがとうございました!

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 今回、タイミングがよかったのは、ソラノートさんの新ロゴになってからの名刺を頂けたこと! Parsleyが一番だぁーわーい!!
 お二方には、非常にフレンドリーに迎えて頂けたのも嬉しかった。改めて感謝です。
 最後に、「間借りの会議室から、自分達のオフィスを持つのが夢です」とおっしゃっていたのが印象的でした。でも、その願いがかなうのは、そう遠くないんじゃないかな、と思いました。『ケツダンポトフ』には、見ている側が思っているよりもずっと大きな夢がつまっているのだから。



 
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